« 福島県立大野病院事件第八回公判@9/28(しばらくこの記事をトップに表示します) | トップページ | クロ現 夜間・休日 パンク寸前〜小児治療の現場から〜@10/9 19:30-20:00 NHK総合 »

2007-10-09

Nスペ 北朝鮮帰国船〜知られざる半世紀の記録〜@NHK総合 10/8 22:00-22:50

秋の夜長にふさわしい、手のかかったNスペ。
サイトはこちら。
Nスペ 北朝鮮帰国船〜知られざる半世紀の記録〜

制作は川口潤PD。(CPの名前は失念)
川口PDは昨年の北朝鮮三部作の第一集
 個人崇拝への道
のPDであり、同じシリーズの第三集
 核をめぐる戦慄
の取材を担当した。
今回の
 北朝鮮帰国船
昨年の北朝鮮三部作の番外編とも言えるもので、
 1959〜1984年までの25年間続いた北朝鮮帰国事業の本質
を明らかにするモノである。
 地上の楽園 北朝鮮への帰国事業
は、北朝鮮にとっては
 政治宣伝と経済的効果
があり、送り出す日本にとっては
 貧困層を形成する在日朝鮮人にかかる社会的・経済的コストの「削減」
を意味した。すなわち
 北朝鮮帰国事業は二重の意味での「棄民」事業
であったことが、
 世界各国から集められた機密文書の解読
によって、番組の中で丹念に明らかにされる。

番組は、いったん一家で北朝鮮に帰国したものの、痩せた厳しい気候の土地に集団移住させられ、常に北朝鮮の共産党党員である「里親」に監視され、一言でも体制批判をしたならば、収容所送りになる恐怖の生活を続けた末に、最近脱北して日本に戻ってきた1人の男性を軸に展開する。彼の生活を支えたのは、日本にいる祖母からの支援物資だった。祖母は身を削って働き、北朝鮮の息子一家に物資や金を送り続けたのだ。それによって、彼は生き延びることが出来たという。
番組の最後で、98歳になる祖母と男性が再会する。老齢のため記憶をほとんど失っていたはずの祖母は、男性を見たとたん、記憶が蘇り、男性に矢継ぎ早に語りかける。このシーンは二人のこれまでの50年の厳しい生活を語ってあまりあるモノだった。そして、朝鮮半島の人々の肉親に対する激しい情を見せつけられた。
もう一人、朝鮮大学の元副学長が登場する。金日成体制を信じ、体制を賛美し、教え子を帰国させたこの85歳の老教師は、「自分の罪である」と帰国事業に荷担したことを懺悔する。それまで賛美し続けた北朝鮮の社会主義建設が、宣伝とかけ離れたモノであったこと、そしてそれまでに送り込んだ教え子達が失意の生活を強いられていることを目の当たりにしたのは、74年のことだった。しかし、その後も30年にわたって転向せず、この男性は教師として、主体思想の研究を指示され、それに従う。なんども矛盾を感じたが、それを表に出すことはなかった。3年前にこれまで偽ってきた自分の生き方を手記にまとめ、懺悔反省したこの老教師は、朝鮮総連の要職を離れた。今回カメラの前で語る老教師の言葉には、まだ矛盾が残っているのだが、個人崇拝の一党独裁体制下の祖国を支持し、それを教育する立場にあった人間の苦悩が見える。たぶん、この老教師を「絶対に許さない」という恨みを抱く人もいるに違いないのだが、敢えて顔をさらすことによって、いかなる批判も甘んじて受けるという態度を表明したのであろう。
帰国船が、対日工作船であり、また北朝鮮の軍事技術を支える物資を運ぶ船であったことも、元工作員などの口から語られる。北朝鮮の防空システムの基盤となるコンピュータは日本から持ち込まれた、というのだった。果たしてどの程度の「防空システム」なのか、カメラの前で描かれた概略図では、わからない。あんまり大したことなさそうなシステムに見える。

全体のトーンは淡々としているのは、証言者に罪悪感を抱かせないためか?
ともあれ
 壮大な棄民事業

 祖国建設
 人道的配慮
の名の元に20世紀後半に4半世紀にわたって継続されていたという事実は大きい。

|

« 福島県立大野病院事件第八回公判@9/28(しばらくこの記事をトップに表示します) | トップページ | クロ現 夜間・休日 パンク寸前〜小児治療の現場から〜@10/9 19:30-20:00 NHK総合 »

コメント

経済的な理由もあったと思いますが、彼らは集団で市役所などにおしかけ、時には暴力の行使をちらつかせ、本来個人で受け取るべき生活保護費を《集団》で受け取り、警察力の弱い事を利用して無法地帯を作りました。また、共産主義と結託し、暴動を起こし、警察と戦いました。警官を殺した事を誇らしげに機関誌に載せたりしました。このような日本人ではない(と彼らが決めた)集団を、希望する地域に送り届けたのはごく当然の事だったと思います。もし日本の政府などが中立的な立場を取っていれば、彼らは暴力に訴えてでも、意志を通そうとしたでしょう。政府がどうしたとか言う前に、彼ら自身が選んだ道だったと思います。まともな国家を持たなかった朝鮮人の《運命》または《宿命》とでも言うのでしょうか?

投稿: Nebula202 | 2007-10-09 10:34

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Nスペ 北朝鮮帰国船〜知られざる半世紀の記録〜@NHK総合 10/8 22:00-22:50:

« 福島県立大野病院事件第八回公判@9/28(しばらくこの記事をトップに表示します) | トップページ | クロ現 夜間・休日 パンク寸前〜小児治療の現場から〜@10/9 19:30-20:00 NHK総合 »