商品としての屍体 土葬の弊害
傷害致死事件に発展しそうな
時津風部屋集団リンチ殺人事件
では、前時津風親方が
火葬にして渡す
と言ったのが、運の尽きだったと思われる。あまりにも酷い遺体の状況を遺族に見せまいとしてのことだったのだろうが、結局、遺族が行政解剖してもらうことになり、死因が
外傷性ショック死
であると判明した。
日本では殆どの地域が火葬だから、
一旦火葬にすると、その後の死因調査は難しい
のである。
翻って、アメリカなどの欧米の場合は
土葬
が中心だ。遺体は葬儀屋に渡され、エンバーミングを施して遺体の腐敗を防ぎ、損傷個所があれば修復し、できるだけ生前の姿に近づける。
日本の葬儀屋がせいぜい湯潅に手を貸す位なのに対し、土葬する地域の葬儀屋は遺体に深く関わる。だからこそ
『検屍官』シリーズ
が成立するわけだ。パトリシア・コーンウェルの『検屍官』シリーズでは、時に墓を暴いて死因を調べたりするのだが、火葬で綺麗さっぱりお骨にしてしまった後なら、Dr.スカーベッタも腕の見せ所がないのだ。
2003-12-30 黒蠅 上・下』 パトリシア・コーンウェル 相原真理子訳 講談社文庫
http://d.hatena.ne.jp/iori3/20031230/p1
2006-06-12 違うシリーズになって三作目 パトリシア・コーンウェル『神の手』上下 講談社文庫
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/06/post_aa09.html
そうした
焼かないで、エンバーミングを施す習慣
の国だから起こった事件。
zakzakより。
バチ当たり…葬儀会社幹部、死体千体以上「切リ売り」【フィラデルフィア4日=ロイター】米フィラデルフィアにある葬儀会社の幹部3人が、死体1000体以上を不衛生な環境で切断し、移植用などとして医者に売っていたことが明らかになった。
フィラデルフィアのリン・アブラハム地区検事が公開した大陪審の記録によると、男らは2004年2月から2005年9月にかけ、ペンシルベニアのほかニューヨークやニュージャージーで死体を売り、総額380万ドル(約4億4000万円)を手にしていた。
3人は不衛生な死体防腐処理室に元歯科医などを入れ、死体から骨や皮、腱などといった部位を切り出していたという。
それらの部位は移植用として骨折治療などに使われたが、死体はHIVや肝炎などに感染していた可能性もある。移植を受けて病気になった患者がいるかどうかは今のところ分かっていない。
ZAKZAK 2007/10/09
いまや
人体は新たな富を生む資源
なのである。以前
2005-09-14 中国で死刑囚の皮膚から抽出したコラーゲンを化粧品に使用 輸出か 英ガーディアン紙報じる
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2005/09/post_f626.html
という記事を書いたけれども、
死体や切断された人体の一部は貴重な医療用の資源になる
のである。その価値に目をつけたのが、上記zakzakの記事に出てくるフィラデルフィアの葬儀屋で、同様の連中は、他にもいるだろう。
日本ではさしあたって
産後に出る胎盤と臍帯血
が、おおっぴらに再利用されている人体の一部だけど、それ以外の部分はどうなっているんだろう。火傷の移植用の皮膚とか、いろいろと必要な
人体の一部
はあるのだが、残念ながら詳しくない。
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