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2007-11-16

産科崩壊 「この1年半で子どもを産める病院は全国で1割減」読売が連載開始@11/15

2006年は産科受難の年だった。
 2月18日 2004年12月の産婦死亡に関して、福島県立大野病院の産婦人科医K医師が逮捕される(現在公判中)
 8月24日 2003年12月の産婦死亡に関して、横浜堀病院が「無資格助産行為」で捜査(夫は共同通信社記者)
 10月17日 2006年8月の産婦死亡に関して、町立大淀病院のバッシング報道を毎日新聞奈良支局が開始(第一報の担当は青木絵美・林由紀子記者)
この3つの事件・事例が現場の産科医に与えた衝撃は大きかった。

昨日から、読売新聞が、産科崩壊の特集連載を開始した。
その記事の一つは
 この1年半で出産の取り扱いを休止した病院が全国で1割に及ぶ
ことを報じている。


産める病院 1年半で1割減…読売新聞全国調査

(グラフ)出産を取り扱った医療機関数(厚生労働省調べ)

昨年4月以降 127か所で休止

 産科医不足の深刻化に伴い、昨年4月以降に出産の取り扱いを休止した病院が、全国で少なくとも127か所に上ることが読売新聞の全国調査でわかった。出産を扱う病院がこの1年半で約1割減ったことになる。

 休止は、地域医療の中核を担う総合病院にも及び、お産の「空白地帯」が広がっているほか、その近隣の病院に妊婦が集中し、勤務医の労働環境がさらに悪化する事態となっている。

 調査は、各都道府県が休止を把握している病院の数に、ホームページなどで休止を周知している病院への取材結果も加えて集計した。それによると、2006年4月以降にお産の扱いを休止した病院は132病院だったが、このうち5病院は、その後、産科医を確保するなどして再開にこぎつけた。また、来春までに休止方針を打ち出している病院も12か所あった。

 国は3年に一度、出産を扱う病院数を調査しており、直近の05年10月現在では1321病院だった。これを母数とした場合、すでに休止した127病院は全体の9・6%に相当し、来春までの休止予定も含めると、10・5%の病院がお産の扱いをやめることになる。

 都道府県別では、兵庫の10か所が最多。北海道の9か所、福島、東京、新潟の6か所、千葉、神奈川、山梨、長野、大阪の5か所と続く。主な休止理由は、〈1〉医師不足に伴い、大学医局からの派遣医を引き揚げられた〈2〉労働条件の悪化を理由に、勤務医が開業医や(お産を扱わない)婦人科に転身してしまい、その穴埋めができない〈3〉産科医不足対策の一環で、近隣病院に産科医を集約化することになった――など。

 お産の空白地帯が広がった結果、「(県内に11ある)2次医療圏のうち、出産できる病院が一つもない医療圏がある」(愛知県)、「ハイリスクの出産では2時間かけて救急車で搬送するケースがある」(岩手県)といった状況が生じている。各自治体では、産婦人科を優先した研修医への貸付金制度や、公募医師をへき地の公立病院に派遣する「ドクターバンク」制度を創設するなどしているが、医師確保が追いつかないのが実情だ。

 1994年に1万1391人いた産婦人科医の数は、2004年には1万594人と約7%減った

(2007年11月15日 読売新聞)

予想されていたことではあったが、
 1年半で1割減
は厳しい数字だ。昨年の「報道による産科総バッシング」が、現場の産科医の心を折り、高齢の先生方に産院を閉めさせている、とは言われていたのだが、この数字は、それが事実であったことを裏書きしている。

読売の記事で、フォローして欲しいのは
 お産を扱う産科の医師の平均年齢および年齢・性別構成、そして休止によって他へ流れることになる「お産取り扱い数」
である。
1. 産科医の半分以上は50代以上
2. 産科に進んだ女性医師は10年以内に産科から脱落する率が高い
3. どのくらいの人数の「将来の妊産婦」が「お産難民になるのか」
という点について、更に突っ込んでくれると
 いかに産科が風前のともしびか
というのが、もっと鮮明になると思う。

関連記事はこちら。
激務、訴訟…産科医が消えていく
産める病院、地方では医師一人の確保に懸命

産科は激務だが、産科だけが労働条件が悪いのではなく、医師の労働条件そのものが劣悪である。
同じく読売より。


病院・診療所に労基署立ち入り、8割で違法確認

 医師の過労死が相次ぐ中、昨年1年間に労働基準監督署が監督に入った病院や診療所のうち8割以上で労働基準法違反などの違法行為が確認されたことが14日、厚生労働省のまとめでわかった。

 全業種の違反の割合は平均7割弱で、医療現場の過酷な労働環境が浮き彫りになった。過労死弁護団全国連絡会議が同日、医師の過労死防止や勤務条件改善を厚労省に申し入れた際、明らかにした。

 各地の労基署が昨年1~12月、病院や歯科医院に監督のため立ち入るなどしたのは1575件。このうち違反があったのは1283件で、81%を占めた。違反の内容は、労働時間の超過や残業代の不払いなど。

(2007年11月15日 読売新聞)

これでもまだ厚労省は
 医師に働け
と言い、診療報酬を下げると言っている。労働基準法を遵守させるべき監督官庁が、一方で、医師の過重労働を招く医療行政を放置しているのだから、話にならない。
現状では、医師や病院がなにもかも抱え込む形になり、更なる過重労働になる。福祉で引き取るべき仕事は福祉で引き受けるなどの切り分けができていない。そうしたことにこそ、厚労省は働くべきなのだが、見ているのは「医療費削減」の「数字」だけだ。紙の上では医師は足りていることになっているんだろうが、現場では人手不足がひどい。現場に根ざさない医療政策は愚策というよりも、医療を殺す毒になる。そのことに厚労省が気づいているとは思えないのだが。

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コメント

いつもいい記事をありがとうございます。
この読売の記事ですが、記者さんはよく勉強していて内容にもかなりいいものだと思いました。ぜひ、こういう真実を伝える努力を継続してほしいと思います。

産科だけでなく、小児科、外科、内科(とくに循環器)、脳神経外科などもひとい状況にあるのは明らかです。それらについても記事を詳細に報告してほしいですね。


投稿: ダブルムーン | 2007-11-17 06:05

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