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2007-11-14

医療崩壊 支払いの滞った全盲の糖尿病患者を公園に遺棄(その2)この病院では患者からの未収金400万円 低所得者の未払い医療費は「不良債権」となり医療費総額を圧迫→今回の事件は近い将来の日本を照らす鑑

2007-11-13 医療崩壊 支払いの滞った全盲の糖尿病患者を公園に遺棄
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/11/post_5630.html
の続き。

相変わらず、
 障害年金(一級)を受けているはずの男性患者がなぜ医療費の不払いを起こしたか謎
なのだが、今回の事件の舞台となった病院は
 他にも未払いの患者が居て、現在未収金400万円
だという。ちなみにこれは
 患者から徴収する金額
であり、健康保険で補填される3割負担分などだろうから、実際に、これら
 医療費未払いの患者のために使われている税金
は、もっと多くなる。この問題は
 医療の問題
というよりは
 福祉政策の問題
なのだ。で、
 こうした「社会的入院による医療費圧迫」
については、厚労省は説明責任を果たさず、一方的に
 医療費削減を
と総額で話を進めようとしている。当然、バックにいる財務省は
 医療費の中身を問わず、この手の「福祉政策の不備によって生じている不良債権」の総額を分析しない
のだ。
 健康保険の保険料が払えず、10割負担となって、十分な医療が受けられない低所得者
がいる一方で
 未払いで許されている低所得者
もいるのが、
 医療費削減を絶対目標としている2007年現在の日本
である。

産経より。


全盲男性置き去りの堺の病院、入院費などの未収金年400万円

11月14日14時21分配信 産経新聞

 新金岡豊川総合病院(堺市北区)の男性職員4人が全盲の男性患者(63)を公園に置き去りにした事件で、同病院全体の入院費などの未収金が年間約400万円に上ることが14日、大阪府警西成署の調べで分かった。男性は約2年半前から入院費を滞納し、約185万円を支払っていなかったが、他にも約30人の患者が入院費や診療費などを滞納していたことが判明。同署は入院費の未払いなど院内トラブルが事件の背景にあったとみており、なぜ男性だけ放置されたのか関係者から事情を聴いている。

 調べや病院の説明によると、同病院の入院患者は約100人。男性と同じ生活保護を受けながら長期入院する患者も多く、院内では毎月30〜40万円の入院費などの未収金があったという。男性は糖尿病の治療などで約7年前から入院し、当初は入院費の支払いは免除されていたが、長期入院で本人負担となった約2年半前から滞納するようになった。

 男性は大阪市住吉区の自宅で生活する内縁の妻(63)が「生活保護費の中から支払ってくれていると思った」などと説明したが、実際は約185万円分が未払いだった。ただ職員は未収金があるのを認識しながら、「男性が怖い」との理由で督促していなかったという。

 これまでの調べで、遺棄に関与したのは渉外係と医事課の32〜47歳の男性職員。4人は9月21日午後1時ごろ、男性を車で連れ出した。内妻に男性の引き取りを求めたが断られ同2時20分ごろ、西成区の公園に男性を降ろして置き去りにした疑いが持たれている。

 渉外係の男性職員(47)は数分後、匿名で「男性が倒れている」と119番通報し、救急車のサイレンの音を確認した後、公園から立ち去った。職員の1人は調べに「病院に連れて帰っても同じことの繰り返しになると思った」などと男性との院内トラブルが事件の原因にあったことをほのめかしており、西成署は他の職員からも事情聴取し、トラブルの状況や置き去りの経緯について調べている。

報道が、奥歯にモノが挟まったような書き方なので、さっぱり全容がつかめないんだけど、
 新聞やテレビではちょっと報道できない内容
なんだろうな。詳細は来週以降の週刊誌に任せるしかなさそうだ。

社会的入院が、許されなくなっている昨今、こうした事例は増えていくだろう。
読売より。


全盲患者放置、「職員が勝手に判断」と病院側
(略)

◆「受け皿ない患者」支援システムなく

 大阪府医療対策課は「男性の症状なら、20日間ほどで療養型病床や介護施設に移るのが通常」としているが、身寄りのない患者の行き場を確保する医療・福祉のシステムは確立していない。堺市も「家族に引き取りを断られた患者を公的施設で受け入れる制度はない」(市保健所)という。

 医療制度改革によって、長期入院の高齢者らを受け入れる「療養病床」の削減も進んでおり、今後、退院後の受け皿のない患者が増えることが懸念される。

 安藤高朗・全日本病院協会副会長は「社会的入院を送る人が退院後に生活するには、行政と地域が連携し、医療や福祉のケアを横断的に行うシステムが欠かせないが、日本では未成熟だ。低所得の高齢者や障害者が入居できる住宅の整備も必要」と指摘する。

(2007年11月14日 読売新聞)

「半病人で低所得の高齢者や障害者の受け皿」というのは、今のところ、家族以外にはない。
しかし、今回のように
 身寄りがない
場合は、その家族すらいないわけで、行き場がなくなる。
今回の事件では、視覚障碍者の施設への入所を勧めたのを本人に断られたそうだが、本人が失明した事実をちゃんと受け止めているとは思えない状況では、そうした施設へ入所することはないだろうし、無理に入所させても、今度は他の入所者とトラブルになる可能性が高い。
糖尿病で失明したり、下肢を切断して、障碍者になるのは、本人の糖尿病管理に問題があることが多いが、そのことと、自分の障碍を受け入れられるかどうかは別問題だ。
少なくとも、全く視力を失ったり、下肢を失って行動の自由に制限を加えられることに対する恐怖・嫌悪は、その障碍を負った本人にしか分からないだろう。
この事件を扱う論調に、時々「自業自得」という論調があるのだけれども、そういうことを口に出来るのは、恐らく現在健常者なのであり、かつ自分が老齢になっても、決してあらゆる障碍を負うことはない、と信じている幸せな人たちだと思う。2型糖尿病の管理が出来なくて、重篤な障碍を負ったヒトに対して、同情する必要はないかも知れないが、なにかあったら介助は必要であることを申し上げておきたい。相手は、鬼でも悪魔でもないのだ。
こうした患者さんに対しても、あくまで厳しく接するというのであれば、それは日本の無宗教が、医療にも広く及んでいることを示す事象となるだろう。そして、
 そこまで面倒を見きれない
というところまで、医療現場が疲弊している一つの表れである。そうした社会がいいのか悪いのか、そして、なぜそうなってしまったのかは、個々人の取り扱える問題ではなく、行政の問題である。そうした「生命管理の哲学」なくして、「財政上の数字」だけが暴走しているのが、現在の「医療費削減」政策であり、まさに実体は
 姥捨て山福祉
ということなのだ。おそらく
 善良でおとなしい、貧しい高齢の重病の人たち
は、必要な医療を受けることなく、ひっそり亡くなっているのではないか。一人の「問題行動を繰り返す患者」の蔭には、物言わず、不当な扱いに不平を漏らさずに亡くなっているもっと多くの人たちが居るのではないか、と憂慮する。そして、物言わぬ人たちは、報道されることも記録されることもなく、世を去っていくのだろうと思う。
更に言えば、知らず知らずにその「姥捨て山」に向かっているのが、現在の20代〜40代である。非婚はいいが、年を取って、身体の自由が利かなくなったら、誰が面倒を見てくれるのか。
恐らく、今回の事件を一番身にしみて受け止めているのは
 現在30-40代の持病持ちの独身者
だろうと思う。今回の患者さんは63歳だった。今30-40代なら、あと20-30年ほどで、その年齢になるのだ。恐らくその時には、両親はこの世にいないか、いたとしてもかなりの高齢で、とてもじゃないけれども我が子の面倒は見てくれないし、自分が両親の介護をしている可能性が高い。現在健康ではない老老介護予備軍は、今回の事件で、うろたえているかも知れない。

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コメント

配偶者や子供がいたとしても介護をしてもらえるとは限らないのでは?
今回の患者さんだって籍は入っていないにしろ「事実上の妻」がいるわけで。
「血と骨」の主人公の末路を思わせるニュースでした。

投稿: ねね | 2007-11-16 01:50

>医療現場が疲弊している

と、まとめられると、医療現場も立つ瀬がないでしょう。
「もし医療現場がに余裕が有れば、トラブルメーカーの支払い踏み倒しを受忍するべき」
と聞こえますよ。 
むしろ医療側がこれまで受忍したから、ここまで患者側が増長しちゃったわけです。
だから「患者の権利主張もここまで至った」の方が適切かと。
代案を提示できないで非難するのは簡単ですけれどね。
こういう患者に「必ず現状を受容させる事が可能である」
という性善説に従えば、嫁姑問題なんて楽勝で消滅しているはず。
成人の1パーセントは、性善説では対応できないわけで。

>相手は、鬼でも悪魔でもないのだ。

モンスターペイシャントと言われますけれどね。
自業自得というのは、病気に対してではなく
患者のこれまでの人生、対人関係に対してのコメントでしょう。

>日本の無宗教が、医療にも広く及んでいる

因果応報と言わないと、逆に市民の倫理的歯止めがきかない昨今。
神や来世を畏れないなら、自分の老後を恐れて
皆様に「いい人」になってもらいましょうよ。
患者も無宗教だからこういう振る舞いをするんでしょ?

とりあえず
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/071113/crm0711131341029-n3.htm
 元最高検検事の土本武司白鴎大法科大学院長(刑事法)は
「家族が病人を放置するケースはあるが、病院関係者が
置き去りにした事件は聞いたことがない。今回の場合、
内縁関係の女性が引き取りを拒否した以上、
保護責任は病院にある。例え病院職員が119番通報した
としても犯罪は成立するし、
いやしくも患者を公園に放置するのは医学倫理に反する行為だ」

なんて司法の人達には言われてますから、合法的に
入院費の不支払い名目で警察へ被害届を出して
詐欺もしくは民事の債務不履行で起訴してもらうしか現状、病院の手だてはないですね。

>一人の「問題行動を繰り返す患者」の蔭には、
物言わず、不当な扱いに不平を漏らさずに亡くなっているもっと多くの人たちが居るのではないか、

この人、不当な扱いに対して問題行動が生じたわけじゃないですから。
無理矢理、別の問題をくっつけるのはいかがなものかと。

投稿: ぺ | 2007-11-16 10:33

どの道自分たちも同じようになるのだから、今現在見捨てられる人が
居たとしても仕方がない、という考えの人は意外と多いでしょうね
ならば今負担する必要もないと

持病持ちの独身低所得者は、今現在が必死なわけですし
先の不安なんていうのは今更考えるまでもなく、狼狽えるという状況は
とっくに過ぎているのではないでしょうか

この件のように恥も外聞もなく頑張ってみるか、諦めて自殺するかになるのでしょうね
実際自殺者における高齢者の割合は増加していますし

投稿: 貧乏人 | 2007-11-16 22:47

大阪の置き去り事件は、相当以前の話ですが、医療機関が抱える大きな問題でもあります。私の持論にはなりますが、この根本的な原因の一つに、医療費制度の不備があります。二年に一度の割合で診療報酬改定があります。その時期にはマスコミ等でも報道されるのでご存じだとは思います。しかし診療報酬のうち個人負担の10%~30%を病院が回収する必要があるのでしょうか?またどうして自己負担分の回収に関し、病院の責任なのでしょうか?未収金が発生すれば病院の収入は、政府が決めた診療報酬の100%ではなくなるのです。政府の決定権が100%であるなら、それが収入の殆どである病院の収入も本来100%とすべきです。ある意味未収金は、政府の不払いと同じであるとも考えられます。恐らくこのように書けば、自己負担の窓口支払いは、大半の報酬が二か月後の支払いでは病院も現金不足で困るのではと言われるかも知れません。だったら未収金が発生すれば、その補填を政府がした後、不払い者に政府として請求すればよいだけの話です。病院は医療サービスをしてその対価を頂く機関であり、政府もそのように定義した筈です。不払い者の対応まで診療報酬では担保されていません。大阪の事件を擁護する訳ではありませんが、100床前後の病院で400万円の未収金は非常に大きな金額です。療養中心の病院なら一人一か月分の報酬は、恐らく40~50万円程度だと思います。400万円は10人分の一か月間の報酬に相当する金額です。人件費・材料費・治療費等を計算すれば、病院の正味利益は数%程度になります。政府が代理回収してくれないのであれば、責めて医療機関では禁止されている、サービサーの利用を認めるべきです。

投稿: まろん | 2015-01-23 15:11

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