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2007-12-17

「マスコミたらい回し」とは?(その111)大淀病院産婦死亡事例民事裁判第四回弁論@12/17 大阪地裁→追記あり

亡くなられた産婦さんには心からお悔やみを申し上げます。またご遺族にもお見舞いを申し上げます。
わたしはこの3月まで奈良県南部の産科医療を支えてきた大淀病院と産科医の先生を支持します。

今日は、大阪地裁で、大淀病院産婦死亡事例の民事裁判の第四回弁論だった。
傍聴記が、続々とblogに上がっている。

まず、僻地の産科医先生の「産科医療のこれから」
 2007 12-17 NICUのなかった場所で、児の救命なんてありえない!大淀病院事件
http://obgy.typepad.jp/blog/2007/12/post_1341_6.html
産科医として現場に立たれている僻地の産科医先生の言葉は重い。


裁判資料の閲覧から、私の感想を。
「NICUのない病院での児の救命はあり得ない!」です。
原告ともなられている赤ちゃんですけれど。


4:10頃 母体搬送OKの返事をもらい、
     妊婦さんを動かして救急車に乗せた途端、呼吸停止
     (↑子癇には移動は禁忌!なんですよね。。。)
     これも子癇が病態として先にあった証拠じゃないかと思うんですが
     挿管して、救急車でそのまま搬送しています。
     そもそもⅢ-200台だった意識はここからⅢ-300みたい。
5:50頃に国立循環器センターに搬入。
7:15頃 手術室、入室。

   
6:00~CTをとる(6:15頃?)の間の、NSTを今日はじめてみました。
1分3cm。 base line:190  non-reasuring pattern  (←重要!)
   
しかも、緊急帝王切開と同時に、開頭術を同時施行していますが、
児のApgar score 1/6
(専門外の方にはわからないでしょうが、これで救命のみならず
 よく後遺障害がでなかったものです!)

  
羊水混濁あり、MASになることが十分に予想されたので、挿管と同時に
気管内洗浄実施しています。pH7.172ですね。状態悪い。。。

   
胎盤病理の結果もみてきました。
胎盤は著明に浮腫状、胎盤梗塞を2箇所おこしていたようです。
浮腫浮腫の胎盤からもわかるように、
相当、児は頑張ったのだろうと思います(;;)。
かなり、状態悪いです。

   
この状態で 「脳外科だけの病院」なんてよく主張できるものだ。
そもそも妊娠中で、脳外科のみしかない病院がうけるとは
まったく思えないけれど、産婦人科医と小児科医がいなかったら
児は明らかに助からなかった
んじゃないですか。

文中 Apgar score(アプガースコア) 新生児の状態を示す指数。3点以下は重症仮死だから、この原告になっている赤ちゃんは出生時に、産科医と小児科医に、懸命に集中的な蘇生措置を施された結果、命が助かり、しかも、重症仮死の場合、起こりうる重篤な障碍を一切負っていない。これは奇蹟に近いのではないか。
MAS=胎便吸引症候群 胎内に排出された胎便を胎児が肺に吸い込んで起こる症候群。わたしの友人は、双生児の一人をこのMASで亡くした。過期産だったが、適切な処置が早期に受けられなかったことによる悲劇だった。
羊水混濁がある、ということは、胎便が羊水に排出されている証拠だから、出来るだけ早く帝王切開で赤ちゃんを外に出してあげないと、胎便を吸い込んでしまって、肺に詰まり、最悪の場合は亡くなる。
胎盤梗塞 胎盤の血管が詰まり、胎児に血液が流れなくなる状態。妊娠早期に起こると、胎内で胎児が死亡し、流早産の原因になる。今回の場合も、帝王切開で緊急に外に出さなければ、亡くなっていた可能性がある。僻地の産科医先生が「産科・小児科がいてNICUがなければ、赤ちゃんが助かっていない」と仰る理由の一つである。

この訴訟のおかしなところは
 命が助かり、しかも障碍もなく、すくすく育っている赤ちゃん
が、大淀病院の産科医の先生を訴えているところだと前から言われているが、僻地の産科医先生が調べて下さった資料を見る限り
 NICUのある、産科と小児科が完備している大病院に搬送され、かつそこで脳外科手術を受ける
という条件がなければ、到底助かっていなかった。原告は
 脳外科にすぐに搬送しなかったのがいけない
と大淀病院を訴えているのだが、これは、訴える方向がおかしいと思う。問題は
 緊急搬送できるシステム作りをしてこなかった県と国の周産期医療体制の不備
にあるのだ。従って、本訴訟は、大淀病院と担当の先生相手に起こすのではなく
 県と国
を訴えるべき裁判だと思う。

その他には、以下の方々が傍聴に赴かれ、傍聴記を書いておられる。
みなさまに感謝します。

ただの(ry先生の「ただの(ry」
 2007-12-17 奈良大淀町立病院事件 第4回公判 傍聴記 14:36
http://d.hatena.ne.jp/tadano-ry/20071217#1197869802
 2007-12-17 感想 15:17
http://d.hatena.ne.jp/tadano-ry/20071217#1197872228
ここには、僻地の産科医先生もコメントを寄せておられる。重要な内容なので引用する。


僻地の産科医 2007/12/17 17:15
児の状態、相当悪かったです。びっくり。
http://obgy.typepad.jp/blog/2007/12/post_1341_6.html

それから、移動時に、呼吸が停止して救急外来で挿管しているようですね。
臨床的にみて、脳出血が先ではなく、
子癇に間違いない
のではないか。
(カルテ上、脳出血が先なら、麻痺が出ますが記載なし、
 また移動時に増悪していること、
 マグネゾールが効いていること

 (↑産婦人科的に、マグネゾールが効かない場合は子癇以外の疾患を疑え、という格言があります。実際そう書いてありますが)など)

それから被核出血のオペ記載はみつけられませんでした。
小脳出血と、前頭葉の巨大血腫という記述は何度も見かけたけれど。
その場にいなかったからなんともいえないけれど、
カルテ上は、十分子癇ですべて説明できる気がします。


Yosyan先生の「新小児科医のつぶやき」の本日の記事のコメント欄でも、ただの(ry先生が概略を述べられている。
2007-12-17 ネタであって欲しい


たまりょさんの「お決まりの日々?」
 2007.12/17 [Mon] 2007.12.17.の「大淀事件」系
 http://okimari.blog26.fc2.com/blog-entry-1697.html

これからアップされる予定のところでは、三上藤花さんの「日々のたわごと・医療問題資料館」
2007.12.17 Monday 大淀病院母体死亡「事故」 第4回裁判傍聴記(その1)

(追記 12/18 11:40)
三上藤花さんの「日々のたわごと・医療問題資料館」に続きが載っている。
大淀病院母体死亡「事故」 第4回裁判傍聴記(その2)

Yosyan先生が、傍聴記を元に、原告側主張の荒唐無稽さを論じている。
 新小児科のつぶやき
2007-12-18 奈良事件第4回裁判・原告側主張編
(追記終わり)
(追記 12/19 11:25)
Yosyan先生が、閲覧資料を基に、いかに今回の赤ちゃんの状態が悪かったのにも関わらず、無事に生まれ、育っているかを小児科医の立場から論じている。
 新小児科医のつぶやき
2007-12-19 第4回奈良裁判・閲覧資料編

三上藤花さんが、「日々のたわごと・医療問題資料館」で
 ご遺族が「陣痛促進剤のせいで産婦さんが死亡したと思いこんでいるのではないか」
という指摘をされている。じわじわ来ますね。
 2007.12.19 Wednesday 大淀裁判4回目最終回〜感想とちょっと違った方向のツッコミと悪寒
(追記終わり)

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受信: 2007-12-18 15:25

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受信: 2007-12-18 15:26

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