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2007-12-28

京料理「田ごと」の京弁当「四條」2600円

しばらく中をうろうろしなかった間に、京都駅の新幹線コンコースが凄いことになっていた。いつも奈良線から乗り換えるので、東側にあんなに店が出来ているとは知らなかった。東側は以前はハイビジョンのモニターを置いたり、待合いになってた場所である。
 駅ナカ
の集客力は、
 無駄なスペースを出来るだけ省く
方向に駅の設計を変えたらしい。
以前は、喫茶店などがあったコーナーは
 京都の老舗が出店を並べるコーナー
に変貌していた。JR京都伊勢丹の
 阿闍梨餅の行列
を京都駅が黙って指をくわえているわけにはいかなくなったようで、いつも買う
 新幹線ホームに上がるエスカレータ下の売り場
だけでなく
 京都の老舗
などという名前のつくところには、まんべんなく阿闍梨餅が置いてある。もちろん箱入りだけでなく
 5個入り530円
もだ。それだけ阿闍梨餅が売れている、ということなのだろうか。気が向いたときに、百万遍の店に出かけて買うのが習いなので、なんだか妙な気分になる。

さて、新幹線コンコースの実力は
 東南角にある京都の老舗コーナー「京老舗の味 舞妓」
に尽きる。ここには名のある老舗が出ている。今の季節、京漬け物は
 すぐきか千枚漬け
だけれども、千枚漬を初めて作ったという
 大藤の千枚漬(袋入り)
を売っていた。大藤の千枚漬は日持ちがしないので、目の前で買うのを諦める人がいた。冷蔵庫に入れても3日間しか保たない。
京都駅で弁当を買う、というと
 萩の家
の定番を買うか、JR京都伊勢丹に足を伸ばすかというのが以前の行動パターンだったのだが
 伊勢丹まで行かせてなるものか
という気合いが、弁当コーナーにはある。さすがに伊勢丹のようにいくつもの老舗が弁当を出すということにはならないのだが、別にウインドウを設けて
 辻留・田ごと・いづう
の弁当を用意している。今は辻留はお休み中で、今日は田ごとの弁当「四條」かいづうの寿司かという二択だったので、ちょっと高いのだが
 田ごとの京弁当「四條」
を買ってみた。いづうは、近年あちこちに出店を出しているので、買いやすくなったのだが、昔東京で予備校講師をしていた頃は、わざわざ祇園切通しのいづうに行って
 新幹線の中で食べるので、包丁を入れておいてください
と予約しておいた鯖寿司を取りに行く、という面倒なマネをしなくてはならかった。いや、便利なのはいいんだけど、他の鯖寿司の店もたくさん出てきている今日、
 いづうでなくてもいいや
と思ってしまうのは贅沢なのだろうか。そもそも、いづうの鯖寿司に包丁が入ってないのは
 包丁を入れると味が変わる
からだという話だったのだが、最近、あちこちの出店に出している鯖寿司は、最初から包丁が入っているように見える。いづうの寿司を一番食べたのは、先代が元気だった頃だ。惜しむように、夏の盛りにしか出ない高い鱧寿司を求め、飛行機で札幌に持ち帰ったのに、家族は、京都の鱧をありがたがらなかった。ま、北海道の魚は海の水が冷たいせいで、なんだって脂が乗っているから、国産の鱧の照り焼きを載せた鱧寿司の滋味は愛されなくてもしょうがないだろう。当時は
 国産の鱧をあの分量載せて、あの値段やったら、赤字やで。気張ってやってはるわ。
と京都の板前さんに教えてもらった。最近は原料の調達やら味加減やらがどうなっているか知らない。

田ごとは、店には寄ったことがない。
2600円だというので、紙折だと思った弁当箱が
 杉折
で驚いた。今時、木の折箱を2000円台の弁当に使っているとは。折に料理がくっつかないように、薄紙を敷いて、さらに葉蘭を切って敷き詰めてある。ご飯は
 加薬ご飯と小鯛の小袖寿司
だったので、寿司飯の味が移らないように、別々に薄紙で仕切って、やはり葉蘭を敷いてある。別添えで、生姜がついているが、味のしっかりした、辛めの生姜だ。
おかずの類は、紛う方なき
 京料理
で、昼日中から京都を身体にチャージする。弁当という性格上、味付けが一段濃く、お茶よりも酒が合いそうだ。鴨ロースに流れ子、助宗鱈の子の炊いたん、海老の旨煮、出汁巻き卵とそのまま酒の肴になるおかずがぎっしり詰まっている。鰤と帆立貝柱の西京焼きは、味がしっかりしすぎているけど、量はたっぷりある。これは加薬ご飯でも食べにくいし、小袖寿司ならもっと食べにくい。お酒のアテの味付けだな。
生臭ものだけでなく、東寺湯葉、揚げ麩の炊いたん、大粒の黒豆(当然、松葉に刺してある)、青竹に入った菜の花の芥子和え、海老芋の炊いたん、小蕪の炊いたん、菊花蕪と、精進ものも、充実している。焼き物と煮物が中心で、嵩の張る揚げ物などは一切入ってない。
京都だな、と思うのは、やはり野菜の扱いで、芥子和えも蕪や海老芋の炊いたんも、口に入れたとたんに京都の味がする。この味はよそでは出ないのだけど、なんでだろう。白く炊いた海老芋はうす甘く、しっかり出汁が利いている。小蕪は刻んだ柚子の皮が散らしてあり、箸を入れるとほろほろと崩れる。芥子和えはあくまで青く、歯ごたえが残っているのに、しっかり浸し地の出汁の味がする。京都の野菜の炊いたんは
 化の料理
だと思う。姿は野菜だが、持ち味の他に、しっかりとした出汁の味が乗ってくる。野菜を食べながら、出汁を食べているようなものだ。
同じことは
 出汁巻き
にも言える。弁当の出汁巻きは冷めてから食べるものだから、ちょっと違うのだが、本当の出汁巻きは
 熱いうちに卵と出汁が一体となった塊を食する
ものだ。うっかりすると固まらないくらい出汁で緩めた卵液を、強い火力で、気合いで巻く。おまじないに、水溶き片栗をちょっと入れたりもする。
出汁巻きは男の料理だ。背筋力がないと、あの緩い卵液は巻ききれない。熱々を染めおろしを添えて、火傷しそうになりながら、冷めないうちに食べるのが、京都の出汁巻きだ。わたしは1/3まで出汁にして巻いたのが最高だけれども、プロはもっと緩い割合で巻く。堅めの卵豆腐の地になる位の緩さだと思う。冷めると、卵が出汁を抱ききれなくなってしまうので、熱いうちが身上だ。東京の人が遊びに来ると、必ず、知り合いの店で出汁巻きを巻いてもらう。
 出汁巻きお願いします
というと、知り合いの店の板さんは、特に気合いを入れて巻いてくれる。
 出汁巻き?
とバカにしていた東京から来た友達はみんな
 いままで食べていた出汁巻きは何だったんだろう
と一様に驚く。とはいえ、出汁巻きではそんなにお金は取れないから、値段は廉い。廉くて、京都を知ることができる料理が
 出汁巻きと野菜の炊き合わせ
だ。どちらもダメな店は、他のものもダメだ。野菜の炊き合わせは
 盛りつけ
から始まって、野菜の取り合わせ、出汁の味など見所がいくつかある。色よく味良く、上品な盛りつけに仕上がっているのが京都の野菜の炊き合わせの「標準」だ。
中華料理だと、必ず
 炒素菜
を頼むけど、これもコックの火の使い方がはっきりわかる料理だ。

京弁当「四條」おしながき
Bento1

 菜の花辛子和え
 鰤の西京焼き
 貝柱の西京焼き
 菊花蕪
 いか黄味焼き
 助子煮
 出汁巻き玉子
 車海老煮
 海老芋
 鴨ロース
 小蕪煮
 もみじ焼蒲鉾
 流れ子
 東寺ゆば
 絹さや
 梅人参
 揚げ麩煮
 黒豆松葉さし
 小鯛小袖寿司
 かやく御飯

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