山中伸弥京大教授グループ マウスの肝臓や胃の細胞からもiPS細胞作成に成功→追記あり
ヒトの成人の皮膚細胞から万能細胞(iPS細胞)を作成するのに成功した山中伸弥京大教授のグループが、今度は
マウスの肝臓や胃の細胞からiPS細胞を作成するのに成功
した。
朝日より。
万能細胞、肝臓や胃の細胞からも 京大山中教授ら成功
2007年12月11日21時21分皮膚の細胞からだけでなく、肝臓や胃の粘膜の細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作ることに、京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授と大学院生の青井貴之さんらがマウスを使って成功した。11日、横浜市で開かれた日本分子生物学会で発表した。同研究室が手法を開発したiPS細胞は、これまで皮膚や骨髄系の細胞からしか作製されていなかった。
青井さんらは、大人のマウスの肝臓や胃の粘膜の細胞に四つの遺伝子を導入してiPS細胞を作製。さまざまな組織の細胞への分化能力が、受精卵から作る万能細胞の代表格である胚(はい)性幹細胞(ES細胞)と同等であることを確認した。さらに、全身が肝臓や胃の粘膜由来のiPS細胞からできたマウスも誕生し、体内でも全身の細胞に分化できることが裏付けられた。
問題は
4つの遺伝子にガン細胞は含まれているのか
という辺りかな。朝日の報道ではそこが分からない。
学会のプログラムによれば、演題は以下。
1T7 発生と再生/ Development and Regeneration 幹細胞・細胞分化1 / Stem cells and cell differentiation 113:30 ~ 15:50 第7 会場(会議センター3 階313+314)/ Room 7(Conference Center 3F 313+314)
座長:竹澤俊明(農生資研),山中伸弥(京大物質-細胞統合システム拠点/再生研)
Chairpersons : Toshiaki Takezawa(Natl. Inst. of Agrobiol. Sci.),Shinya Yamanaka(Kyoto Univ.)
幹細胞・細胞分化/ Stem cells and cell differentiation14:10 1T7-5 成体マウスからの生殖系列に分化可能な人工多能性幹細胞誘導
(2P-1161) ○青井貴之1,2, 一阪朋子1, 高橋和利1, 沖田圭介1, 中川誠人1, 山中伸弥1(1 京大・再生研・再生誘導, 2 京大院・医学研究科・消化器内科)
Generation of germline-competent induced pluripotent stem cells from adult mouse tissues
○ Takashi Aoi1,2, Tomoko Ichisaka1, Kazutoshi Takahashi1, Keisuke Okita1, Masato Nakagawa1, Shinya Yamanaka1
(1Dept. of Stem cell biology, Inst. for Frontier Med. Sci., Kyoto univ., 2Dept. of Gastroenterology and Hepatology, Graduate school of Medicine, Kyoto univ.)
(追記 12/12 3:30)
日経にはこんな記事が。同じ発表の後半部分かな?
新型万能細胞iPS、作製効率4倍に・京大の山中教授ら京都大学の山中伸弥教授らの研究チームは11日、神経や臓器など体の様々な組織や細胞に成長する能力を持つ新型万能細胞(iPS細胞)の作製効率を4倍改善する手法を見つけたことを明らかにした。従来の万能細胞に比べるとまだ効率は低いが、実用化へ向けて前進した。
山中教授らは人の皮膚からiPS細胞を作ることに世界で初めて成功したが、当初は細胞に組み込む4つの遺伝子のうち1つはがんを起こす可能性があった。その後、このがん遺伝子を除いた3つで作製する手法を開発。ただ、作製効率は従来の100分の1に落ちるのが難点だった。
今回、これを改善するマイクロRNA(リボ核酸)という分子を見つけた。作製効率は4倍高まり、従来の25分の1にできるという。(00:14)
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