救急医療崩壊 朝日新聞はメディアの責任を完全回避「医療費抑制が問題」と救急撤退を1面で報道
救急搬送された患者さんを治すのは
病院
ではない。現場にいる
一人一人の医療スタッフ
だ。
これまで日本のメディアは
「受け入れ拒否」
とか
「たらい回し」
とか、
一方的に医療スタッフを非難する文言
で
救急医療崩壊
を報じてきた。
そして
病院に運びさえすれば、すべての患者は「100%元通り健康な身体に戻る」というミスリード
を続けてきた。
その結果
医療スタッフが全力を尽くしても、感謝しない患者や家族が増加し、せっかく助けても病院や医師が提訴される事態
が生まれている。提訴されるだけでも、現場への負担は大変なのだが、
司法が医学的に誤った判断を下し続けている
現在、マスコミと司法の両面から責め立てられた現場のスタッフは、
なんとかして命を救いたい
という、医学者の根源にある使命感を失い、救急医療の現場から立ち去っていく。
朝日新聞の記者は、次の言葉を百万回読んで考えた方がいい。
【大阪】心肺停止で救急車で搬送された77歳女性→13病院が受け入れ拒否、1時間後に死亡スレッドより。
441 :名無しさん@八周年:2008/01/13(日) 20:10:25 ID:dEAF2Nkr0
医療崩壊させた司法の代表的判例など加古川心筋梗塞
病院受け入れ後70分で治療可能な病院へ搬送されたのに
治療が不可能なのに受け入れたのが悪いという判決
3900万の賠償が確定奈良心タンポナーデ事件
救急を担当する医師は救急専門医と同等の能力を
要求されるとした事件
福島大野事件
全国の医者の使命感をへし折った事件
地域のお産を24時間365日必死になって支えていた産婦人科医師を
病死した妊婦を死亡させたとしてテレビカメラを回しながら逮捕
しかも逮捕した警察署はその後表彰された
それ以外にもとんでもない判決多数
こうした司法や警察の判断をメディアは支持し続けてきた。
したがって
救急医療崩壊の元凶はメディアにある
と言っても過言ではない。医学的に疑義のある事例であっても、提訴段階から、
医師が悪い、病院が悪い
という立場で報道を続け、もし、原告敗訴になれば、しらん振りをしてほとんど報道せず、病院や医師が敗訴したり、逮捕されようものなら、鬼の首でも取ったように嬉々として報じる。
そうした
医師叩き、病院叩き一辺倒の報道
を見て、現場の医師は立ち去っていったのだ。
救急医療崩壊に対するメディアの責任
は甚だ重い。
しかし、
決してメディアは責任を取らない
のだ。それが顕著に表れているのが
今朝の朝日新聞1面トップを飾った救急医療崩壊記事
である。
中核救急病院、2年で174カ所減 搬送遅れの要因に
2008年01月14日15時12分地域の救急患者を受け入れる中核的存在の「2次救急病院」が、この2年間で174カ所減ったことが、朝日新聞の全国調査でわかった。深刻化する医師不足や経営難が影を落とした結果、減少傾向が加速しており、新たに救急を掲げる病院がある一方、救急の看板を下ろしたのは、2年間で全体の5.6%にあたる235カ所に上る。急患の収容先選びが困難になり、搬送遅れが続発するなど市民生活への打撃は大きい。国の医療費抑制政策が救急医療の根幹を揺るがしている実態が、色濃く浮かんだ。
日本の救急医療機関は、開業医らが軽症患者を診る「1次(初期)救急」▽入院や手術の必要な患者を治療する「2次救急」▽救命救急センターなど重篤患者に対応する「3次救急」に分かれ、中でも、多くの市にある公立・民間の2次救急病院が地域医療の中心的担い手となっている。調査は、救急医療計画を策定する各都道府県を対象に、05年10月〜07年10月の増減状況を尋ねた。
全国の2次救急病院は05年10月時点で4170カ所あったが、2年後には3996カ所となり、174の純減。救急対応をやめた235カ所に加え、21カ所が3次救急に移行するなどした一方、新たに82カ所が2次救急病院になった。04年以前のデータがある自治体の多くで、05〜07年の年間減少数がそれ以前を上回り、減少率が高まっている。
2次救急病院の減少数トップは福岡県の26カ所。県東部の京築地区で市町村の補助金が打ち切られた結果、当番制で急患を受け入れる「輪番制度」がなくなり、10病院が一気に救急から外れたのが響いた。東京都の15カ所、大阪府の14カ所がこれに続き、診療報酬の改定に伴う収入減などで、診療体制を縮小する病院が都心部で増えている実情を裏づけている。当直の確保で人件費がかさむ救急が不採算部門になっている例も多く、東京では、5病院が破産や廃院に追い込まれていた。
地域別では、四国の落ち込みが著しく、全体の11%にあたる22カ所の減。北陸・甲信越でも8%(22カ所)減少し、激務などから救急勤務医の退職が相次ぐ地方病院の苦悩が際立っている。
こうした状況を背景に、各地で救急患者の搬送先探しが難しくなっており、兵庫県姫路市では昨年12月、吐血して搬送された男性が17病院に受け入れを拒まれた後に死亡。大阪府富田林市でも下痢や嘔吐(おう・と)で搬送された女性が30病院に断られた翌日に亡くなった。福島市では同11月、交通事故に遭った女性が4病院に計8回搬送を拒否された後、死亡している。
このほか、2次救急に指定されている診療所も同時期に57カ所減り、404カ所になった。2年間で12%が消えたことになる。
調査と並行して、救急対応をやめた235病院のうち、自治体が公表しなかった病院などを除く227病院に撤退の理由(複数回答可)を聞き、204病院から回答を得た。
最多は「医師や看護師の不足」で66病院。次いで「診療所への変更」(40病院)が多く、「療養型病院などへの転換」も28病院あった。「地域の輪番制度がなくなった」が24病院、「倒産・廃院」は20病院だった。
スタッフ不足を挙げた病院は地方に顕著で、「大学の医局による医師引き揚げで常勤医が10人以上減った」「医師が半減し、当直態勢が取れなくなった」などと事情を説明。「看護師が給与の高い都市部へ流れ、夜間の救急体制が築けない」との声も多かった。
都市部では、人手不足を訴える病院が多い一方で、「救急での収益が期待できない」「病院の収支が厳しい中で続けるメリットがない」など、経営上の理由も目立った。中には「当直医の専門外の患者が来る救急は、訴訟リスクが高い」と回答した病院もあった。
見ての通り
医療費抑制が「救急医療崩壊」の主因
なんですと。で、
訴訟リスクが高い
という病院側の回答を、最後にちょっとだけ載せている。
要するに
メディアには全く責任がない
らしいな、朝日新聞。
実はwebに掲載されているのは、記事全体の一部で、本紙には、二次救急の増減を表にしたものや日本救急医学会代表理事の山本保博日本医科大学教授のコメントなどが付随している。
山本日本医科大教授のコメントを載せておくだけでもすればいいのだが、その気はないようだな、朝日。
続き。(22:50)
関西版の記事に表とグラフが載っている。
2次救急 病院の増減(表)
病院が救急をやめた理由(棒グラフ)
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コメント
今回のnhkの報道は感情のおさえた報道だったと思う、アナウンサーも遺族、医者ともに医療安全を願う気持ちは同じであるという言葉は非常に良かったかと思います。同じベクトルを向いているんです。しかし、説明不足などから感情の対立がおこってしまう。やはり、説明不足が対立の原因だと思う。書いている人にいいたい、そう、かっかしなさんなって、セロトニン足りないのかな?産科はともかくとして、医療側にも改善すべきことが多い。癌に関して化学療法の知識のない医者が多い、緩和ケアに関する知識のない医者が多い、放射線治療に関する知識に乏しい、癌に関して治る、治らないの2分法で判断してみとりまで考えた診療情報提供をしてくれないなど。認知症をきちんと診断できる医者が少ないなど。医療側にも改善すべきところがあるわけです。そういうこと努力を積み重ねることによって医療不信を少しでも減らしていきませんか。
投稿: 中山一 | 2008-05-21 18:02