救急医療崩壊 大阪東南部(南河内=富田林市周辺)の救急医療は「命の選択」フェイズに入る崩壊段階か 77歳心肺停止の救命率は? 朝日は救急医療の大家杉本侃阪大名誉教授の発言を都合良く切り貼り編集
心肺停止状態。
ほぼ助からない、というのがわたしの印象である。
以前にも書いたことがあるけど、中高の同級生で、北大を卒業して医師となった友達が、GWの宿直明けに、おそらく過労が原因で交通事故を起こし、搬送されたときは心肺停止状態だった。救命措置が取られたが、ほどなく搬送先で亡くなった。まだ30前だった。
朝日がこんな記事を載せている。
(追記 12:51)
しかも
昨年3月のこと
をほじくり返しているのだ。
(追記終わり)
心肺停止の77歳、13病院拒否し死亡 大阪・富田林
2008年01月13日05時55分大阪府富田林市で昨年末、救急患者が複数の病院から受け入れを拒否されて死亡した問題をめぐり、昨年3月にも心肺停止に陥った同市内の女性(77)が13病院に受け入れを断られ、約1時間後に死亡していたことがわかった。最も迅速な搬送が求められる心肺停止の患者でさえ、病院が受け入れに難色を示す状況が明らかになり、専門家は「救急医療は深刻な事態に追い込まれている」と指摘している。
関係者によると、昨年3月14日午後9時50分ごろ、市内で入浴中の女性が心肺停止になったとして、同市消防本部の救急隊が急行。蘇生処置をしながら13病院に受け入れを要請したが断られ、近畿大付属病院(同府大阪狭山市)の救命救急センターに搬送した。同10時半に到着し、蘇生を試みたが、同11時に死亡が確認された。同センターの担当者は「搬送遅れが死亡につながったかどうかは不明」としている。
心肺停止になると、1分ごとに蘇生率が7〜10%低下するとされる。同消防本部は病院選定の時間を短縮するため、119番通報などで患者が心肺停止とわかると、出動と同時に救急車と通信指令室の両方から搬送先を探す工夫をしているが、心肺停止の患者の受け入れ要請が10病院以上にのぼったケースが昨年だけでも複数あったという。
杉本侃・大阪大名誉教授(救急医学)は「救急病院は患者の増加で余裕がなく、救命措置などにかかりきりになる心肺停止患者を敬遠する傾向があるのではないか。スタッフと予算を大幅に拡充しない限り、状況は改善しない」と話す。
おい、朝日
受け入れに難色を示す
ってどういう意味だ?
受け入れ不能と伝える
というのが本当だろう。一体
心肺停止の状態で搬送されてきた患者さんの処置にどれだけの医療スタッフとどれだけの医療資源が必要か
理解して書いているのか?
その上、
大阪東南部(南河内=富田林市周辺)の救急医療が崩壊状態
という現状を見ず、
次々と「受け入れ拒否」という文言を用いて、必死に受け入れを行っている現場を叩こうとする朝日の姿勢に問題がある
と思う。
朝日新聞のこの記事を書いた記者に聞きたい。
1. 77歳心肺停止の救命率は? ほんとうに理想的な搬送が行われていたら100%「後遺症なく」救命できたのか?
2. 当時、受け入れ不能だった病院ではどういった患者さん達が治療を受けていたのか、それを取材しているのか?
この2点が分からないのでは
77歳心肺停止の搬送が出来なかった
本当の理由は分からない。
記事には書いてないが、恐らく
受け入れ不能の現場では、他の患者さんの必死の救命治療や、他の搬送受け入れ準備中で全く余裕がない状態
だっただろうと思われる。大阪東南部では
より助かる可能性のある患者さんにベッドをあける
段階まで、救急医療が崩壊しているのではないかと憂慮する。
そして、杉本先生、
「心肺停止患者を敬遠」なんて編集されたコメント
を流されて平気ですか。
杉本先生は日本でERを作った
ということで、あのプロジェクトXで取り上げられた先生だ。
プロジェクトX 第V期 第9巻 救命救急 ER誕生-日本初 衝撃の最前線-「我々には、涙を流している時間など無いんだ。なぜ死なせてしまったのか、しっかり向きあわなくてはいけないんだ。」 杉本 侃
昭和41年、万博開催を4年後に控えた大阪は、交通量が増え事故の発生が、年間7万件を超えた。しかし、重症患者を治療できる病院は少なく、「たらい回し」が社会問題となった。
大阪府は大阪大学付属病院に24時間重症患者を受け入れる施設の設置を要請。昭和42年8月、日本初の「特殊救急部」が誕生した。リーダーは34歳の杉本侃(つよし)。杉本は4年前、事故で運ばれてきた重症患者が最後に「子供を頼む」と振り絞るb謔、に言った言葉が苦い記憶として残っていた。救急医療にかけたいと自ら申し出た。集ったメンバーは皆20代から30代の若者だった。
第一号の患者は、入れ墨の男。抗争事件で腹を刺されていた。「人殺しを助けるのか」と学内から揶揄(やゆ)された。その後の患者の多くは「指を切った」「目にゴミが入った」など軽傷者。メンバーの気持ちはなえていく。ある日、交通事故で全身傷だらけになった「多発外傷」の患者が訪れる。メンバーは頭や内臓など懸命に処置。しかし、全く傷のない肺の機能が低下し、患者は亡くなった。理由が分からなかった。以来、多発外傷との闘いが始まる。
血の海、緊迫した声が飛び交う医療の最前線。若き医師たちはそれぞれに人の命を救えなかった経験を持っていた。修羅場の中で、彼らは懸命に自分の専門分野を磨いていく。そして、再び多発外傷の患者が運び込まれて来た。杉本以下、メンバーは総力を挙げ、消えゆく患者の命と向き合った。そして運命の一瞬・・・。
目の前の命を守りたい。」日本初の救急医療に挑んだ若き医師たちの壮絶な闘いのドラマを描く。出演:杉本 侃(元大阪大学特殊救急部)/島崎修次(元大阪特殊救急部)
どう考えても
スタッフが足りず逼迫している救急医療の現場の心を折るようなコメント
はしないだろうと思う。
敬遠
という言葉が本当に杉本先生のコメントにあったのか?朝日。杉本コメントの意図するところは
受け入れたくても、余力がない、苦渋の選択
って方向だろう。ところが、ここに
敬遠
という文言を滑り込ませると、
現場を応援したい
という杉本コメントの本来の意図を
歪曲
する効果がある。
どうやっても
今でも最悪に近い大阪東南部の救急医療崩壊をより進めたい
のだな、朝日。それとも
朝日新聞大阪本社社員の多くは、大阪東南部には住んでないから、東南部の救急医療が壊滅しても平気
ということなのか?
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