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2008-01-07

医療崩壊「コンピュータはウソつかない」とホントに言ったのか?NHK

anakataさん経由。
ニュースの放映は見てないんだけど、こんなことをNHKが1/5の7時のニュースで流したんだって。
衝撃の画像は、中島聡さんのblog「Life is Beautiful」の以下の記事に掲載されている。
「コンピューターはうそつかないので見逃さないで済む」らしい

中島さんが掲載してるNHKのニュース画像の字幕だけ文字に起こしておく。


コンピュータは うそつかない
見逃さないですむ

問題のニュースは、まだNHK神奈川のサイトにあった。こちらは画像なし。


がん自動診断装置を初開発

人の全身の内部を撮影することができる「PET−CT」と呼ばれる画像から肺がんや乳がんなど10種類のがんを自動的に診断するシステムを横浜国立大学と横浜市立大学の研究グループが開発し、病気の見落としの防止に役立つと期待されています。

「PETーCT」は、人の全身の内部を詳細に撮影することができる画像診断装置で、がんなどの病変を見極めるには色の濃さや形の微妙な違いを読み取る専門の知識や経験が必要とされています。
横浜国立大学と横浜市立大学附属病院の研究グループは、経験の違いによらずに同じレベルの診断ができるシステムを作ろうと、専門の医師6人から診断の際にどのような点に注目してがんと判断するのか詳しく聞きました。
そして、この分析結果を人工知能に組み込むことでがんを自動的に診断するシステムを開発しました。このシステムを使って31人の患者の画像を診断したところ、肺がんや乳がんなど10種類のがんを見つけることができたということです。
横浜市立大学附属病院の鈴木晶子助教は「疲れや体調不良でもがんを見落とすおそれがある。がんが疑われる部分を自動的に見つけてくれれば診断の向上にもつながる」と話しています
このシステムは膀胱がんなど一部のがんにはまだ対応できないということで、研究グループでは、症例数を増やして精度を上げ、医師の診断の支援に役立てたいとしています。

というわけで、NHKに
 インディアン、ウソつかない
並のトンデモコメント
 コンピュータは うそつかない
という科学者の発言とは思えない、気の毒なキャプションを付けられちゃったのは
 横浜市立大学医学部の鈴木晶子助教
で、所属は横浜市立大学放射線科だ。

中島さんがblogで仰ってるとおり
 いままでは「医者がウソついていた」から「ガンが見逃された」
のかよ、NHK。公共放送報道番組部の科学センスはすげーな。

あくまでも、コンピュータは診断を補助するツールに過ぎない。その点を全く分かってないキャプションで、頭がいてーよ。
横浜局の取材だと思うから、直接、横浜局の記者に聞いてみよっと。まさか、その記者氏が取材したんじゃないだろな。。。
真相がもしわかったら後ほど。(13:40)

続き。(22:40)
直接問い合わせているのと別な中の人が
 確かに「コンピュータはウソつかない」というコメントを垂れ流していた
と教えてくれた。その人も呆れたそうだ。
ニュース7の暴走なのか、最初に編集した横浜局が間抜けだったのか、どっちだ?

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コメント

どこにでも難癖つける人っているんですね┐(´ー`)┌ヤレヤレ

医者が嘘をつくのではなく医者の診断率(や誤診率)と
今回開発された機材による診断を比べれば
圧倒的にコンピューターのほうが診断率が高いから
「コンピューターは嘘をつかない」といっただけでしょ。

その辺の読解力無さ杉ですよ、投稿者さん(笑)

投稿: 通りすがり | 2008-01-09 10:34

 臨床実習で、無症状で健診で異常を指摘され、奇しくも今回の診断装置と同じPET-CTで肺癌が強く疑われたので、実際手術で摘出して病理で見たら結核だったので大あわて、という例を経験しています。先生の話ではたまにあるらしいです。

 PETでは感染症などで炎症が起こっているところも強く造影されますし、脳や肝臓などには癌がなくても自然に蓄積されて強く造影され、造影剤は腎臓から膀胱を通って排泄されるので腎臓や膀胱も強く造影されます(膀胱癌が診断できないというのは恐らくこのためだと思われます)。

 放射線科で実習をすれば分かりますが、画像診断はまだまだ職人芸のところが相当あります。誰が見てもおかしな影があるという場合もありますが、素人目にはこれ現像のムラじゃない?としか思えないようなところを手がかりにして診断する場合も結構あるのです。たとえば炎症が起こっていると発熱があるから周りの脂肪組織が溶けて少し色が変わってくる、とかそんなTIPSの宝庫なのです。

 職人芸ということは人間に頼るので、同じ人でもコンディションによって診断が代わることがあります。疲れていたら普段なら見落とさない病変を見落とす事もあり得ます。「翌日必ず昨日見たフィルムを見直す」という放射線科の先生は結構おられます。画像診断はそのくらい奥の深いものなのです。

 今回の装置は、そういったところを少し支援して見落としを少なくするためのものであり、コンピュータ診断がどんなに普及しても、まともな医師であれば最終的には絶対に人の目で確認するはずです。「コンピュータは嘘はつかない」というのは、このような文脈で捉えるべき一文であって、決して診断精度のことを言っているのではないと理解するべきです。

投稿: ただの(ry | 2008-01-09 17:16

こういうのをCADと言いますが、何十年も前から研究されていますが、実現されていません。
マシンパワーがムーアな感じで、これだけ進歩してもです。
結局まともなアルゴリズムが見つかっていないから。
研究している本人は当然、自分の研究の重要性を訴えるために、過大に能力を誇示します。
コンピュータチェスに似ていますね。コンピュターでも素人には勝てます。
チェスならかなりいいところまで行きましたが、将棋はぜんぜん駄目です。
画像診断はどちらかというと将棋です。

投稿: ssd | 2008-01-10 12:43

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