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2008-01-25

貧乏な水産研究機関はタラバガニを捕って売って研究資金を稼いでよろしい@ロシア

ロシア人、それでいいのか。

子どもの頃、冬から春にかけて北海道新聞の一面を多く飾った話題は
 日ソサケマス漁業交渉
だった。まだソ連だった時代のロシアが
 日本にどのくらいサケマスの漁業枠を認めるか
道民は固唾を呑んで見守っていた。サケマスは道民の重要な食材である。日本で必要な分を自分で捕れなければ、よそから買うしかない。
ブレジネフ時代の漁業相はイシコフといい、20年以上サケマス漁業交渉に出てきて、道民の神経を逆なでする発言を続けていた。このイシコフ漁業相は、腐敗しきったブレジネフ政権下で、たんまり賄賂をもらったとかで、後に粛清されたと聞いた。

最近
 冷凍タラバガニ
をあちこちで見る。ソ連時代のある時期から、乱獲が祟ってタラバガニの水揚げ高が減り、経済水域の問題もあって、
 資源保護
を理由に、タラバガニは捕獲が制限されるようになり、北海道であっても
 高価な高級食材
に変わった。その前は
 カニ缶(=タラバガニ)はおやつ
だった。3時のおやつにカニ缶というのを内地の人に言ってもあんまり信じてもらえないが、本当の話だから仕方がない。タラバガニが豊富だった頃は
 毛蟹なんて誰も食べなかった
という話で、毛蟹もだんだん乱獲で資源が減ると、こんどは
 おいしくないから見向きもしなかったズワイガニも捕る
という形に移っていった。だから、北海道の70代以上の人は
 タラバガニ>毛蟹>ズワイガニ
と思っている。

ソ連が崩壊して、金になるものが一気に解禁されると、漁業資源にもその波は及び、サケマスの流通量もタラバガニの流通量も増えた。
しかし
 捕りすぎると、また資源枯渇の心配
がある。

このところ、タラバガニを捕りすぎて、ロシアは
 資源保護のために漁獲制限
を打ち出した。また、なのである。ところが、この
 漁獲制限
がどうもおかしい。
 資源保護で禁漁区
になったところで
 特に認めた水産研究機関は「調査目的」でカニを捕ってもいい
とロシアが許したという。つまりは
 カニを売った金を研究資金に充てろ
ということらしいのだ。
道新=共同より。


ロ研究機関に大幅な漁獲枠 タラバガニ一部禁漁の海域(01/25 10:04)

 【モスクワ25日共同】ロシア漁業当局が今年、タラバガニの一部禁漁を実施し、一般の漁獲枠を大幅に削減した極東海域で、これとは別に傘下の水産研究機関に学術調査名目での漁獲枠を認めていたことが24日、分かった。調査枠は昨年より大幅に増えたという。国家漁業委員会のサベリエフ広報官が共同通信に明らかにした。

 漁獲の利益は研究機関の運営資金に充てられるといい、ロシアの不透明な水産行政の一端が露呈した形。日本向け密漁などで資源枯渇の恐れがあるとして禁漁措置が取られた海域でも、かなりの量の調査枠を認めたもようで、資源回復の効果にも影響を及ぼしそうだ。

 サベリエフ広報官によると、極東での今年のタラバガニ調査枠は、昨年より引き上げられ、削減後の一般漁獲枠に迫った。調査枠を含めた漁獲枠は最終的に昨年比で約4割の削減にとどまるという。

全然
 資源枯渇を防ぐための漁獲高制限
にならんじゃん、ロシア。
社会主義崩壊後のロシアの研究者は、国家の支援が受けられなくなって、ひどい状態だ、という話が以前あったけれども、最近は
 研究費が欲しければ、カニを捕れ、それを売ってカネに替えろ
なのか。
しかし、ロシアの水産研究機関って
 水産資源の国家戦略研究
のための機関じゃないの? かつてのサケマス漁業交渉の漁獲高を決めてた所とかと同じところじゃないのかね。日本の水産試験場とは、ちょっと位置づけが違うような感じがする。

サケマス漁業交渉の昔から、ロシア(=旧ソ連)の水産研究機関は、日本の食卓と資源枯渇が懸念される水産物の敵だな。

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