中国毒餃子事件(その14)1日13時間働いてたった1万5000円 劣悪な待遇で「日本向けの高度な衛生基準」にはムリがある→日本から視察に行ったとき「衛生的」なのは当たり前
今回の事件、どうして
メタミドホスが混入
したか、いまだに分からない。分からないのだが、
工場の工員たちが劣悪な労働条件で長時間働かされていた
ことは分かっている。
産経より。
輸出時の検疫免除? 中国ギョーザ食中毒事件2008.1.31 10:55
(略)
同社では昨夜、労使間の協議があり、1日13時間の労働時間で、1カ月1000元(約1万5000円)の月給に不満を持つ労働者が賃上げを要求したという。従業員は主に敷地内の寮に寝泊まりしており、門前に姿を現すことはなかった。
1日13時間でたった1万5000円。いくら賃金の安い中国とはいえ、これは低い方だ。
もっとも、製品を輸入している日本側企業は、こうした
ひどい労働条件を利用して「安価」を手に入れている
わけで、それが
「暮らしを守る」はずの生協
だったところがすごい。
日本人の暮らしは守っても「中国の労働者から収奪する」ことについては無関心
ってことだ。いや〜、生協活動は岐路どころか、崖っぷちですな。
劣悪な労働条件が引き起こすのは、
信じられない事態
である。この工場では3年ほど前にもメタミドホスが混入したことがあるというのだ。
同じく産経より。
「約3年前にも殺虫剤混入」 中毒ギョーザ製造工場の従業員2008.1.31 19:23
【石家荘(中国河北省)=野口東秀】中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で31日、ギョーザを製造した「河北省食品輸出入集団天洋食品工場」(天洋食品)で、数年前にも同じ殺虫剤が混入していたことがわかった。同社の元従業員が明らかにした。事実ならば、過去の教訓が生かされなかったことになる。
河北省石家荘にある同社工場の門は閉ざされており、報道陣は一切、シャットアウトされている。31日午後1時過ぎ、河北省出入境検験検疫局幹部が同社内に入った。同幹部は「昨夜(30日)から調査している。これまでに何度も入っている」と述べた上で、「今回の調査は大人数での実施だ。通知を受けてすぐに調査を始めた。今回の問題を重視し、真剣に調査している」と語った。
その後、国家品質監督検査検疫総局の幹部を乗せた車両なども工場に入った。工場関係者によると、日本の生協関係者が、30日から現地の工場に入っているとの情報もある。
一方、現場には騒ぎを聞きつけた元従業員も姿を見せた。同元従業員は「約3年前に農薬の問題があった」と指摘、管理体制のずさんさが事件を引き起こした可能性があることを示唆した。ただ、その時点で日本側企業がどのような措置をとったかは不明だ。
工場自体の態勢が整っていないなかで、国家品質監督検査検疫総局が2003年10月、河北省での品質検査に合格すれば、輸出時の検疫などの検査を免除する措置をとっていたことも判明している。通関スピードを速めることで競争力を高めることが目的だったとみられる。
また、複数の元従業員によると、昨年12月末、餃子を製造していた約100人のうち14人が理由もなく「強制辞職」させられたという。多くの従業員が月給1000元(約1万5000円)、休みなしで1日13時間働かされ、「少なくない従業員が不満を抱いていた」などとも述べた。
ただ、一方で「待遇は悪かったが、野菜をきれいに洗うなど衛生面はよかったと思う」という証言もあり、どの段階で殺虫剤が混入したのかは、今のところわかっていない。
前にも同じことがあったというのは、気になりますね。
それにしても、こんな低い賃金では
質の高い労働者を得る
のは難しいはず。しかも、要求されているのは
日本水準の高い衛生管理
なのだ。そもそも、
ムリがありすぎる
ことに、日本人は気がつかなければならない。はっきりいうが
中国人労働者は奴隷ではない
のだ。低賃金で長時間労働は、日本でも問題になっているけれども、何をもたらしているかと言えば
労働の質の低下
である。同じことが、今回の天洋食品廠にも言える。
で、輸出関連業者だから、当然
取引先にはいいところしか見せない
のだ。
実際に、工場に視察に行った人たちの話。
朝日関西版より。
問題の中国工場視察者「衛生意識、高いと感じたが…」2008年02月01日
「品質は厳しく管理されていたはずなのに」——。冷凍ギョーザへの農薬混入が明らかになった中国・河北省の「天洋食品」の製品を輸入していた商社関係者らが31日、朝日新聞の取材に工場内の様子や製造ラインについて証言した。有名企業との取引実績や衛生管理の徹底ぶりに、「信じて疑わなかった」と声を落とす。農薬はどのような経路で紛れ込んだのだろうか。
天洋食品工場内部の作業風景。従業員が肉に串を通す作業をしている=取引先企業提供
http://www.asahi.com/kansai/news/image/OSK200802010002.jpg◇
輸入企業の関係者によると、天洋食品は91年に設立され、約6万8千平方メートルの敷地に約6千平方メートルの工場がある。この企業が天洋から受け取った資料には、正社員約130人、パート・アルバイト844人がいると記載されていたという。
「日本への輸出企業として有名で、大企業も多く取引しているのが大きかった」。大阪府高槻市の商社「イメックス」の畑中艶子社長は、天洋食品と取引を始めた経緯をこう説明する。
畑中社長は1月、農薬成分「メタミドホス」が混入した疑いがある河北省の工場を視察した。工場に入る前、作業着を着せられたうえに消毒液をかけられ、髪の毛とツメの長さまでチェックされた。日本語の通訳もつけられた。工場内では製品の温度管理が徹底されていた。ただ、情報を管理するためか、他社の製造ラインは見せてもらえなかったという。
「従業員の衛生意識は高いと感じた。これまでに天洋の製品に関するクレームもなかったので、信用していた」。畑中社長は落胆する。
約15年前からおでんに入れる牛すじ串などを輸入する大阪市の「インターグローバル」。昨年10月に工場を視察した同社の長谷川清社長(68)によると、工場内部に入る扉は二重で、通路には消毒液が張られていた。作業員は100度の熱湯で煮沸されたすじ肉を台の上に置き、手作業で串に刺していたという。
その後、すじ肉は高温の蒸気で殺菌、瞬間冷凍された。長谷川社長は「衛生面はしっかりしていた」と振り返る。
1月に牛すじを輸入したばかりの別の商社関係者は「加工食品は農薬検査はしない。どこまで検査するべきなのか」。天洋と10年以上取引をする大阪市の「日佳食品」の伴卓馬社長は「農薬は包装資材の倉庫など他の場所で混入したのかもしれない」と推測する。
天洋食品製の冷凍カツを取り扱っていた「江崎グリコ」(大阪市)は05年12月、品質保証部の担当者ら2人を工場に派遣。工場内では(1)鉛筆など混入の恐れのある物の持ち込み禁止(2)従業員の手洗い励行——など、異物混入を防ぐ取り組みも充実していた。江崎グリコ広報IR部は「工程を事細かに説明してくれるなど対応も熱心だった」と言う。
03年から、ある日本企業の紹介で天洋食品を知った冷凍食品大手「加ト吉」は、「天洋がHACCP(米国発祥の衛生管理手法)や国際標準化機構(ISO)の認証を取得していたことが取引を始める要因になった」と説明する。
たとえ、工場がHACCPやISOの認証を得ていたとしても
動かしているのは、中で働いている人たち
である。
労働条件が悪ければ、
仕事に対する誇り
は生まれない。誇りがなければ、労働者はしょっちゅう入れ替わる。人がしょっちゅう入れ替わる職場では、
高いモラルを保つ
のはムリだ。そのムリをこれまで通してきたのが
価格でしか見ない日本のバイヤー
だったわけで、そのツケが一気に来たのが、今回の事件だと言えるだろう。
今回の混入経路だけど
製造中に虫が飛んでたから、殺虫剤を撒いてみました
とか
小麦粉の袋に虫がわいているので、殺虫剤を撒きました
とか、
信じられないアホな理由
の可能性が高いような気がする。
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