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2008-02-11

産科崩壊 2割が「産科医を辞めたい」産科崩壊地域の滋賀

滋賀と言えば、昨年
 彦根市立病院での安全なお産を考える会の掲示板
で、一躍医療関係者には有名になった産科崩壊地域である。「彦根市立病院での安全なお産を考える会の掲示板」は、わたしも先日そのコピペにうっかり釣られてしまったが、医療従事者の意気を阻喪させる破壊力十分の書き込みに溢れていた。
掲示板は現在閉鎖されているが、当時の衝撃がtyama先生の「ある産婦人科のひとりごと」の昨年1月27日の記事
 福島県立大野病院事件・初公判の報道
のコメント欄に残っている。
以後、
 滋賀は産科医にとって働きにくい地域
というイメージが全国の医療従事者に広がった。

こうした経緯があるから、次の記事はあまり驚かない。
京都新聞より。


産科医2割が「辞めたい」 滋賀医科大生が県内調査

 滋賀医科大(大津市)の学生グループがこのほど、県内の全産婦人科医師を対象に行った意識調査で約2割が「辞めたい」と答えたことが分かった。産科医不足による職場環境の過酷さや事故が起こった際の訴訟リスクの高さなどが主な理由。一方で、医師の中で産科医が占める割合よりも多くの学生・研修医が「なりたい(なってもよい)」と答えており、学生らの意欲が産科医不足解消につながっていない現実が浮き彫りになった。

 医師不足解決の手掛かりを得ようと、田近映子さん(28)ら4年生6人が調査し、高橋健太郎特任教授と垰田和史准教授が指導した。産科医130人、同医大生・研修医666人、大津市と高島市の6歳未満の幼児を持つ母親500人にアンケート形式で尋ねた。回答率は医師58%、学生・研修医64%、母親59%

 ■激務、訴訟リスク高く

 医師の17・4%が「辞めたい」と回答し、主な理由は「自分の時間が短い」「訴訟のリスクの増大」が58・3%と高く、「精神的苦痛」が41・7%で続いた。

 産科医不足の理由について、「激務」84・3%、「訴訟リスクの増大」82・9%、「マスコミの偏った報道」52・9%などが影響しているとし、解消策は「労働条件の改善」73・2%、「訴訟リスクの軽減」70・4%、「市民へのPR」59・2%を挙げた。

 一方で、県内の全医師に占める産科医の割合は約5%だが、学生や研修医は18%が産科医への意欲を示した。志望理由は「やりがいがある」60%、「興味がある」55%が高く、ほかに「女性に向いているから」「使命感」なども挙がった。さらに志望する学生・研修医の70%近くが「県内で働いてもいい」と答えた。

 「次の子どもの出産に不安を感じるか」との問いに大津市の主婦の20・6%が「不安がある」と答えたのに対し、地元の公立高島総合病院が一時期、分娩(ぶんべん)取り扱いを休止した高島市では64・8%が「不安がある」と答え、出産に対する危機感に温度差があった。

 こうした現状に対し、学生グループは、▽訴訟リスクを減らすためにマスメディアなどを通じて正しい産科医療の現状や知識を市民に伝える▽産科医の激務や待遇を改善する▽女医が働き続けられる環境を整備する−ことを提案している。

学生や研修医の内は
 滋賀県内で産科医として働いてもいい
と考えていても、実際は残らない。
たぶん、研修で産科に勤めると、現実の厳しさに、直面するからだろう。

滋賀に限らず、一度
 産科に関するよくない情報が出た地域
は、全国に知れ渡り、研修医も行かなくなるし、現役医師はそっと現場を立ち去っていく。大体、こうした
 産科崩壊地域の特色

 産科医の待遇があまりにも悪い
のである。
 安い給料で、労働基準法違反の過重労働を強いる職場

 母子になにかあれば、すぐ訴訟
では、現場の士気は下がるばかりだ。そもそも
 産科医は全国的に見ても「絶対的に不足している診療科」の医師
なのだ。絶滅寸前と言われる産科医の待遇を悪くすれば、必要とされる地域は他にいくらでもあるから、医師は移る。あるいは、燃え尽きて産科医のキャリアを捨てる。
 医師の使命感に甘えきった地域行政の無理解
が、産科崩壊のもう一つの原因である。そして
 専門家を軽視する日本の風潮
が、医師を始めとする、高度な専門技術を持つ人材を、地方から追いやっている。治療を受けても、医療スタッフに感謝することなく、粗探しばかりしている患者や家族が、地域医療崩壊を生み出す。
 先生、ありがとうございました
という一言さえあれば、医師は立ち去らないかも知れないのだが。

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コメント

>田近映子さん(28)ら4年生6人が調査し、

医学生でもこういう「ケツの青い」調査を敢行するのはやっぱり「学士入学組」(あくまでも年齢から推定)ですね

>県内の全医師に占める産科医の割合は約5%だが、学生や研修医は18%が産科医への意欲を示した。志望理由は「やりがいがある」60%、「興味がある」55%が高く、ほかに「女性に向いているから」「使命感」なども挙がった。

医学部(4年)で講義受けたり医学書読んでる段階では、産科や他の外科系に興味や憧れを示すのが普通でしょうな。そしていざ医者になった時の選択が現実的なのも至極普通。
10年以上前には「部活動の勧誘受けて入るのと、一生の選択である診療科の選択は、元々次元が違う」と注意しても変なのが紛れこんで外科に入るのが2割くらいいたけど研修という現実を目の当たりにするとさすがに場違いの新人は居なくなったな。まあ、マトモな奴も来なくなったけどorz

投稿: good job | 2008-02-11 10:26

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