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2008-02-20

医療崩壊 朝日新聞大阪本社は3500万円で365日24時間対応の奴隷麻酔科医を「不当に高い」とミスリード ICUの重症患者治療も緊急手術も、手術中の生命管理も麻酔科医なしではできないことを無視→募集人員は3名、手術麻酔でICUは各科対応、脊椎麻酔も各科対応 医療の質は保てるのか→年収は2500-3500万円、1年更新と判明

マスコミは
 自分たちよりちょっとでも給料がいいとすぐ僻み根性を出して、ミスリードしたがる
のだな。
かつて
 毎日新聞が、産科崩壊を防ぐためにせっかく尾鷲にやってきた1人医長の産科医の給与が5520万円であることをすっぱ抜いて、1年のうち、2日しか休日がなく、ほぼ病院内で軟禁生活を送りながら、医療に当たっていた医師を追い出す
という愚劣な犯罪行為を行ったのは記憶に新しい。

2006-09-02 産科崩壊 一人産科医体制で起き勝ちなこと (その2) 尾鷲の医師を追い詰めたきっかけは毎日新聞の記事 一年の内363日病院にほぼ24時間詰めていた医師に感謝もなしか
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/09/_2_5c7b.html

で、今日は
 朝日新聞大阪本社が市立泉佐野病院が募集している麻酔科医の給与が最高で3500万円と書き立てて、「麻酔科医への圧力」
を強めている。朝日新聞大阪本社に聞くが、
 あなたたちは、泉佐野病院から常勤麻酔医がゼロになって、緊急手術が出来なくなった方がいい
のか。予定にない手術は、
 常勤麻酔科医がいないとできない
のだぞ。なおかつ
 麻酔科医は、麻酔をするだけでなく、生命管理全般を扱っている医師
だということを知らないのではないのか。救急医療やICUは麻酔科医がいないと回らないのだが、まさか
 救急医療やICUの重症患者治療には麻酔科医は関係ない
と思いこんでいるのではないか。
(訂正 15:50)
泉佐野病院の募集要項では
 ICUの管理はしなくていい
ということになっている。
(訂正終わり)
泉佐野病院には
 ICUは8床
ある。この重症患者治療は、常勤麻酔科医がいないとムリなのだが、1人でICUの管理をし、緊急手術に対応し、手術予約もこなすのは、
 絶対に人間の限界を超えている
と思う。
今は
 4人で回していても大変だ
という泉佐野病院で、
 命を守るためには、常勤麻酔医は複数名必要
だということを無視している。その上、
 あくまで最高で3500万円で奴隷麻酔科医を募集
というのが
 いかに麻酔科医師に過労死寸前の過重労働を招くか
とファクターをことさらに
 書かずにミスリード
しているのだ。そうですか、朝日新聞大阪本社、
 あくまで最高で年収3500万円で過労死するかもしれない奴隷麻酔科医がそんなに憎い
のですか。

麻酔科医は実はフリーの方が収入が高い。泉佐野病院の最高で年収3500万円というのは、
 応募が1人なら満額3500万円、3人なら1人1200万円
とかいう、ふざけた計算ではないかと睨んでいる。たぶん
 複数名の応募が有れば、もっと安い年収でこき使う
という話だろう。
そして、フリー麻酔科医には、オンコールはかけられないから、365日24時間拘束(オンコールあり)で1人常勤麻酔科医というのを時給換算すると
 3500万(円)÷365(日)÷24(時間)=3995(円)
だ。
 命を預かる麻酔科医の技術時給として相応の時給よりは遙かに安い
のである。
 デイトレーダーでももっと稼いでいる
だろう。デイトレーダーは報道でもてはやし、
 高度な専門技術で命を助ける仕事をしている医師の給与を「不当に高いようにミスリード」
する意図はなんだ?朝日新聞大阪本社。

朝日より。


報酬年3500万円、麻酔科医を募集 大阪・泉佐野市
2008年02月20日10時03分

 関西空港の対岸にある大阪府泉佐野市の市立泉佐野病院で、激務などを理由に麻酔科の常勤医が一斉退職する見通しとなり、後任の医師を確保するため、病院側が最高で年3500万円の報酬を雇用条件に提示していることがわかった。麻酔科医が不在になれば、救急対応を含む大半の手術ができなくなる。拠点病院としての機能低下を防ぐ窮余の一策としている。

 同病院の麻酔科には現在、4人の常勤医師がいるが、いずれも3月末で辞職する可能性が高い。一部の医師が昨年末に辞職を願い出たのを機に、残る医師も「補充なしで手術室を支えられない」と退職を決めたという。

 年収3500万円は病院事業管理者(特別職)の約2倍。厚生労働省の調査(昨年6月時点)では、自治体病院勤務医の平均年収は1427万円で、これと比べても突出している。同病院は所属先のない「フリー」の麻酔科医に1日約12万円の報酬支払っているといい、この水準をもとに年収をはじき出した。今月1日から大学などに要請する形で募集を始めたところ、これまでに数件の引き合いがあるという。

 同病院は全国に3カ所しかない「特定感染症指定医療機関」の一つ。今夏をめどに、産科医療の中核施設「地域周産期母子医療センター」となる予定で、緊急手術に即応できる常勤麻酔科医の確保が急務だった。市幹部は「ほかの医師の給与に比べて高すぎる、との指摘が内部にあったが、手術ができない事態は避けねばならない」と話す。

いいか、朝日新聞大阪本社。
 フリー麻酔科医に12万円/日
だとしても、フリーの先生は、担当する手術が終わったらいなくなるのだ。オンコールはない。で、
 12万円×365(日)=4380万円
である。
 泉佐野病院の設定した奴隷麻酔科医の報酬は最高で3500万円
だから、
 フリー麻酔科医の日給から換算した年俸よりも880万円も安い
のだ。全然、高くないじゃん。それとも
 わざと計算しなかったか、計算できなかったか
どっちだ、朝日新聞大阪本社。

今のところ、応募したいという先生がいるようだけれども、そうでなくても勤務がキツイという評判の病院に、
 奴隷麻酔科医として派遣
されるのは、自分の命と年収3500万円を天秤に掛ければ、たぶん
 保って1年
ではないかと思う。関西では麻酔科医は常勤から離れるのが加速しているので、果たして3500万円で奴隷となって働いてくれる、奇特な麻酔科医の先生がいるのかどうかすら危ぶまれる。その上
 3500万円というのはあくまでも最高額で、複数応募があった場合はもっと下がるだろう
から、そうなると
 4人で回らない麻酔科が、5人以上の医師を得られるとは思えない
のである。どのみち
 3500万円で1人常勤麻酔科医というのは、完全な労基法違反の過重労働になり、人道的な側面から見ても、人権無視
である。泉佐野市のソロバンが、間違っているとしか思えない。今必要なのは
 5人以上の麻酔科医
であるのだが、このままでは後任補充はおろか、
 すべての緊急手術の休止とICU閉鎖
に陥る可能性が高い。

続き。(15:24)
泉佐野病院の募集要項を見ると
 手術麻酔のみ担当の麻酔科医の募集
らしい。ここには年俸は書いてない。なお、ここに書かれているのは
 麻酔科医をこき使った結果、ゼロになりそうな危機的な状況となったので、労務管理が改善された段階
でのものである。
これからお辞めになる4人の麻酔科の先生方は
 かなりひどい労働条件でこき使われていた
ということに、思いを致すと、実にお気の毒である。もう一つ
 この条件でも、いまいらっしゃる4人の先生方を引き留められなかった
というのが、問題の根深さを象徴している。


麻酔科医師を募集しています

 市立泉佐野病院では、来年の2008年4月から一緒に働いていただける麻酔科医を募集しています。
 臨床麻酔に関する修練を積みたい若い麻酔科医も歓迎します。
 大学医局という枠にこだわらず、地域医療に貢献してくださる方を求めています。

今、公立病院は非常に苦しい局面に立たされています。

 大学自身が医師不足のため公立病院から医師の引き上げを決めています。 特に麻酔科医不足は手術が出来ないという深刻な影響を与えます。 病院の収入が激減する以外に、緊急手術をする事ができず地域医療を担う病院としての役割が 果たせなくなってしまいます。

 公立病院の問題点として勤務医の待遇がなおざりにされてきたことが真っ先に挙げられます。 公務員として規制されるが故に自由度がなく、地域住民は期待を込めて病院に多くの患者さんが集まるため多忙を極めます。 公的病院である故に利潤を上げる診療だけに特化することができないにもかかわらず赤字体質が許されません。 これら何重苦も科されながら勤務医は健気にも頑張ってきました。

 しかし、その頑張りにも限界があり医師が疲弊して立ち去っていく構図がありますが、 それを断ち切る努力をしなければ何の解決にもなりません。

そこで、麻酔科医の待遇改善を図り、麻酔科医の働きやすい環境をつくるために幾つかの方策を実行しています。

 まず、

1. 給与手当の見直しをしました。
2. 過酷な労働を強いないため年間の担当麻酔症例数を1人当たり300症例程度とするように、 手術稼働ベッド数を調整しました。
3. そして、麻酔科医のモチベーションを高めるための方法として、 病院連携などで各自の能力を充分活用できる場を設けました。

 麻酔科医は、自分だけでは医療の質を高めることはできません。 優秀な外科医と組んで初めて質の高い仕事ができます。
 現在、多くの公立病院は、生き残りをかけて勤務医の待遇改善に向けた取り組みを考えています。 この市立泉佐野病院においても、医師の労働を正しく評価し、正当な報酬と労働環境を保証して、 地域医療のために質の高い医療を提供してくれる医師を求めています。

年間手術件数

 年間手術件数は約2100例となっています。

麻酔症例件数

 現在は、脊椎麻酔は原則として各科麻酔とし、全身状態によっては麻酔科が担当しています。 2001年~2006年の年間麻酔科担当症例と2007年月別麻酔科担当症例を示します。
 実働麻酔科医はスタッフ4名、非常勤麻酔科医(週3日間)1名の他、麻酔開業医2名(延べ週3日間)と 大学麻酔科から1名(延べ週2日間)の応援があります。
 また、夜間緊急手術は、当面、原則として院内発症症例に限っています。

年度別麻酔科担当症例数(クリックすると拡大します)
Ane1

2007年月別麻酔科担当相例数(クリックすると拡大します)
Ane2

募集要項

募集対象と人数 麻酔科医:若干名 医師免許取得5年目以上、麻酔専従3年以上の経験。
後期研修医:若干名
担当業務 手術室における麻酔業務のみで、集中治療部は各科管理です。
泉州救命救急センターの麻酔業務は行っていません
救命救急センターで救急医として働きたい方は救命救急センターにお問い合わせ下さい。
ペインクリニックは大学からの麻酔科医が担当しています。
学会出席 積極的に支援します。
処   遇 給与手当は、麻酔科医について特別な手当を行っていますので、直接お問い合わせ下さい。
連絡先 電話かメールで直接お問い合わせ下さい。
〒598-8577
大阪府泉佐野市りんくう往来北2-23
りんくう総合医療センター市立泉佐野病院

この
 若干名は3名
であるというのが、先ほど関西ローカルのNHKニュースで流れていた。
一応魚拓。
泉佐野市が麻酔医を募集


泉佐野市が麻酔医を募集

大阪・泉佐野市の市立泉佐野病院で、麻酔科の医師が勤務の負担が大きいことなどを理由に全員退職することになり、病院側は最高で年間3500万円の報酬を条件に後任の医師を募集しています。

市立泉佐野病院には現在、4人の麻酔科医がいて、年間、約2000件の手術を担当しています。
しかし、4人のうち1人が去年、退職を申し出たことをきっかけに、残る医師も勤務の負担が大きくなるとしてことし3月末で全員が退職する見通しとなりました。
これに対し病院は、最高で年間3500万円の報酬を条件に、後任の医師3人の募集を始めました。病院によりますと、手術が立て込んだ場合などに臨時で応援に来てもらう麻酔科医に支払われる1日12万円の報酬を基準に時間外の手当を含めて3500万円という報酬を算出したということです。一方、市立泉佐野病院の医師の平均年収は平成18年度の実績で約1350万円でした。
市立泉佐野病院は「麻酔科医がいないと手術をはじめ、病院の診療に大きな支障が出る。麻酔科医が不足する中報酬がある程度高額になるのはやむを得ない」と話しています。

ええと
 手術件数を1人300件に減らします
っていうのだが、
 昨年は2100件程度を4人で回してた
ってことですね、泉佐野病院。全例麻酔科担当の手術だったとすると
 2100(件)/4(人)=525(件)
よく過労死が出なかったものだと、お辞めになる先生方に深く同情申し上げる次第です。
でも、よく考えるとですよ
 年間1人300件
って、
 日曜日の数=52日+国民の祝日の数=15日=67日
で、
 365(日)-67(日祝)=298(日)
だから
 土曜日も入れて毎日手術
ってことですぜ。これって
 本当に常勤医師のこなす手術件数として大丈夫な件数
なのか? しかも
 脊椎麻酔は各科麻酔
だから、
 麻酔科医が担当するのはほとんどが全身麻酔
でしょ。今時全麻の手術って
 大きな手術
じゃないのか。ということは
 全麻を土曜日も入れて毎日管理する
ってことで、
 もの凄い過重労働ではないか
と危ぶまれるのですが。
全麻の手術を3回やった身としては、自分が麻酔に弱かった(副作用が出た)だけに、管理の難しさは、患者側の経験として知っている。

一方で手術件数についても気になる。
 300(件)×3(人)=900(件)
 2100(件)-900(件)=1200件
となって、
 毎年手術を行っていた数を半数以下に減らす
という
 大英断
のように見えるんだけど、ひょっとして
1. 脊椎麻酔を各科麻酔に回しているけど、これまでは「全例麻酔科担当」だった
2. ICUの管理も、救命センターの管理も常勤麻酔科医が応援にかり出されていた
ってことか? で、問題は
3. 各科麻酔になったのは、麻酔科の手を借りずに済むという点で負担は減るが、逆に各科の医師が麻酔を担当することで、不測の事態が起きたときの管理が出来るのか
ということだ。わたしの乏しい経験でも、2度ほど開腹手術を受けた際に、各科麻酔で腰椎麻酔をされたけど、2回目は外科でひどい目にあった。バイタルなんて見てないんだもん。麻酔科医がついているのといないのとでは、いざというときの安全性で、いろんなことが考えられるんだけど、大丈夫なのか、泉佐野病院。
 麻酔科の負担を減らす
のは結構だが
 全体の医療の質を保てる
のか?

いろんな意味で問題ありまくりな気がするんだが
 3500万円という金額しか見てないマスコミ
は、話になりませんね。

更に続き。(18:00)
いま、TBSでこのニュースを流していた。
 e-doctorに求人情報
が出ていた。


りんくう総合医療センター 市立泉佐野病院
(略)
その他希望事項 一年更新

勤務時間
月曜日〜金曜日  8:45  〜  17:00  
土曜日    〜   
夕診・夜診等  ●無  〜 
夜間当直 無  
給与等(税込)
その他 症例数等に応じて年俸2,500万円〜3,500万円程度

※金額は目安です。
宿舎の提供 ●有   【 ●一部支給  (  27,000  円まで) 】
休 日 ●日曜日 ●祝祭日 ●土曜日
休 暇 ●年末年始 6 日 ●夏季休暇 8 日 ●年次有給休暇 20 日  
研究日(研修) ●無    (週   日)  
学 会 出 席
出 席 費 用
●可能   出張扱い
●支給  
赴 任 手 当
(引越費用等) ●無
開業支援 ●無   
研修・認定施設 ●有  
日本麻酔学会麻酔指導病院 日本がん治療認定医機構認定研修施設 日本外科学会外科専門医制度修練施設  三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 日本消化器外科学会専門医修練施設  日本乳癌学会関連施設  呼吸器外科専門医制度基幹施設 日本臨床腫瘍学会認定医療施設  日本脳神経外科学会専門医認定制度指定訓練場所(A項) 日本脳卒中学会研修教育病院 日本整形外科学会認定医制度研修施設 日本形成外科学会認定医教育関連施設  日本産科婦人科学会認定医制度卒後研修指導施設  日本小児科学会認定医制度研修施設  日本内科学会認定医制度教育病院  日本循環器学会認定循環器専門医研修施設  日本心血管インターベンション学会認定研修施設  日本血液学会血液研修施設 日本腎臓学会研修施設  日本透析医学会認定医制度教育関連施設  日本気管支学会認定医制度認定施設  日本消化器病学会認定医制度認定施設  日本消化器内視鏡学会認定指導施設 日本大腸肛門病学会関連施設  日本胸部外科学会 日本心臓血管外科学会 日本血管外科学会  日本周産期・新生児医学会専門医制度指定研修施設(小児科)  日本耳鼻咽喉科学会専門医研修施設  日本泌尿器科学会専門医教育施設  日本皮膚科学会研修施設  日本眼科学会専門医制度研修施設  日本医学放射線学会放射線科専門医修練機関  日本病理学会認定病理医制度認定病院A
年俸2000万円 ●可能 

ええと、
 土日祝休みで夜間当直なし
ってことは
 夜間の緊急手術はオンコールor当直は非常勤
ってことでしょうか?
なおかつ
 一年更新
だから、
 初年度だけ2500万円〜3500万円で以後は給与も含めてすべての待遇が変わる可能性もある
ってことだな、泉佐野病院。あと
 土日祝および夜診なし
だということは、
 ●年末年始 6 日 ●夏季休暇 8 日 ●年次有給休暇 20 日
を加えると、
 出勤日数=365-104(土日)-15(祝)-34(休暇)=212(日)
ってことですか。これで
 1人当たり300件程度のほとんどが全麻の手術を担当
ってことは、
 だいたい、2日で3件の全麻の手術
って計算だよね。
 凄く忙しいような気がする
んですけど。

ちなみに
 税込み3500万円の年収
といっても、友人が教えてくれたところによると
 1800万円を超えると50%の所得税・住民税を持って行かれる
そうなので、3500万円丸ごと貰えるわけではないのだ。
その辺りを、マスコミは完全に無視してますな。
公立病院の医師だから、経費なんかほとんど落ちないだろうし。

おまけ。関東と関西での
 麻酔科・救急の求人状況
をe-doctorで検索してみた。
関東関西の麻酔科・救急医の求人
医療崩壊情報に詳しい人なら
 見たような名前の病院が並んでいる
ことに気がつくだろうな。てか、高等教育を受けている医師が、まさかこの待遇で奴隷労働はしないと思われる凄い条件のところもあって驚きます。

たとえば聖地舞鶴の「国立舞鶴医療センター」はこんなの。


給与等(税込)
医師免許取得後  5年標準年俸
1,200〜1,400 万円
医師免許取得後 10年標準年俸
1,400〜1,800 万円
※金額は目安です。
賞与支給制度: 有 歩合制度: 無 定期昇給制度: 有
実績査定制度: 有 退職金制度: 有 試用期間: 有 6ヶ月

病院の特色
経営理念等  精神・ガン・循環器・成育医療・臨床研究に力を注ぐ、北近畿の中核病院です。
 救急医療に力を入れ、365日24時間オンコール体制で対応できるシステムをとっており、
 地域住民が必要な時に、必要な医療を受けられる、がモットーです。

ちなみに、病院のサイトを見ると、こう書いてある。


麻酔科

手術時の麻酔を担当するだけでなく、患者様によって異なる身体の状態に併せて麻酔の方法や合併症に対する治療法を決定するなど、麻酔に関する全てのサポートを行っていますが、現在は常勤麻酔医が不在のため非常勤医師による対応としています。

24時間オンコールが義務で、この年収なら、たぶんこのまま常勤麻酔科の先生は見つからないんじゃないかなあ。

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コメント

これからは、朝日新聞大阪本社にどんどん救急車を横付けしよう!こいつらの行為は、無責任なペンによる暴力といっていいものだ。

投稿: shotgun | 2008-02-20 16:17

泉佐野病院は全国的にも数少ない第1種感染症指定医療機関です。SARSの時にも大騒ぎになっていたはず。関西空港から一番近い病院です。もしも緊急手術が必要な第1類感染症(エボラとか)が来たら、麻酔をかけるのはだれでしょうか。一人しかいない麻酔科医は逃げられません。複数の医者がいる科は、くじびきでもして決めるとか少しは逃げられる可能性があります。一人で赴任するとしたら、全部装填されたロシアンルーレットをこめかみにあてながら仕事するようなものです。

投稿: uuchan | 2008-02-20 19:11

はじめまして。麻酔科医をしております。
一般的に麻酔科医の年間麻酔件数として、500を超えると
「超絶的に忙しい病院」です。
以前そのような病院に勤めていたことがあります。
けれどもそんなにつらくはありませんでした。
それは、病院全体が麻酔科を尊重してくれる雰囲気があったからです。
そうでない病院なら、年間300件でも行きたくないですね。

投稿: mina | 2008-02-20 20:01

今日の21時台NHK(全国)でも取り上げられていましたね。
公的病院で高額報酬、って強調されていましたが。

投稿: rose | 2008-02-20 22:25

国立がんセンター東病院は、麻酔科医5人で1992年にスタートしましたが、昨年は2400例ほどを常勤麻酔科医2人、中央病院定年後のパート1人、レジデント数名で管理しました。この3月一杯で専門医1人が転勤してしまうのですが、補充は見通しが立っておらず、4月からはフリーランスの麻酔科を3-4人雇って、手術枠は維持するとしています。

10年ほど前に麻酔科医が減り始めたときから、麻酔科医も外科医も、麻酔科医だけ給料が高くてもいいから、なんとかして麻酔科医に着任してもらって、安全に麻酔・手術ができるようにして欲しい、と幹部にお願いし、厚生労働省にも伝わっているはずですが、「なかなかそうも行かない」で、ずっと手は打たれずにいます。

ちなみに、当院では40代後半で税込み年収は1200万に届くかどうかといった水準です。

投稿: わし | 2008-02-20 23:19

 改めて「4人を失う」病院の労務管理がいかにずさんだったかが問われるべきで、復活させるために「マネージメント側の責任」を問うべきですね。まぁ、マスコミの浅い見識に期待してはなりません。1年契約で落ち着いても、「過重労働の生活」です。立ち去ろうものなら「あんなに高額の給料を受け取っておきながら酷い」と書かれかねません汗。

投稿: skyteam | 2008-02-21 01:11

まあ、この報道の目的は、「こんなに俺たちは医者集めに頑張ってるのに医者が来ない」というアピールです。
本当にどうにかしたいと考えているなら、こんな報酬を公にしてしまうことなど考えられません。

投稿: ssd | 2008-02-21 13:47

 ポリクリの時、手術室の事務の人に何故か気に入られ「麻酔科の先生になってな! ほんま困ってるねん」と
何度も言われたのを思い出します…。大学病院ですらこの状況ですからね…

投稿: ただの(ry | 2008-02-21 15:00

初めてコメントする者です。
巷ではこのような記事もありますが、”これはひどい”を地でいっていますね。この記事の中の「地元医療通」なる人は是非とも地元を去ってほしいものです。
「年収3500万円 麻酔医募集」:http://news.livedoor.com/article/detail/3526507/

投稿: ケィ | 2008-02-26 11:29

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