« 「はてな」京都に戻る | トップページ | 中国毒餃子事件(その22)産経新聞福島記者が記者会見での調査統括全文をアップ 生協連の「献上餃子」が日本の信用を国際的に貶める道具に使われる »

2008-02-15

関西クローズアップ 病院にたどりつけない~増える患者 揺らぐ救急~@NHK関西ローカル 2/15 19:30-19:55

NHK関西ローカルの「ローカル枠クロ現」で
 危機に瀕している関西の救急医療
を取り上げた。
NHK大阪(BK)制作。


病院にたどりつけない~増える患者 揺らぐ救急~

急な病気やケガのときに頼りとする救急車。しかし今、その救急搬送の現場が大きく揺らいでいる。受け入れ先の病院が、なかなか見つからないケースが相次いでいるのだ。関西でも、去年12月以降、救急患者が多くの病院に受け入れを断られ亡くなるケースが3件起きている。背景には、救急搬送の件数が増加の一途をたどる一方、救急病院が減っているという現実もある。救急現場の実態を取材し、対策を考える。

HDDが満杯になっていて、録画は出来なかった。
内容はこんな感じ。


司会の前説

各地で「たらい回し」が起きている

どうやっても、「たらい回し」という言葉は使うらしい。司会は、澗随操司(かんずいそうし)アナ。

Aパート

○救急隊側からの取材
東淀川消防の田中克美隊長に密着して取材。
頭部外傷の患者を救急車に乗せ、頭を診てくれるところを探す
脳外科を検索システムで見て、ベッドの空きがあって、一番現場から近いところから電話するが、1軒目満床、2軒目3軒目もだめ。
3軒問い合わせた時点で、現場到着から20分以上経過。
4軒目の病院が受け入れ、15分で隣の区へ搬送。
田中隊長「スムーズな活動とは言えない」

○救急病院に密着取材
病院の事情を知るために、救急センターを一晩取材
10人当直医師がいる、恵まれた環境の淀川キリスト教病院。
救急隊からの電話に、医師が受け入れ可能か判断


救急車から歩いて患者がおりてくる。これは軽症患者で、本来救急車での搬送の適用外。

搬送されてきた、酔っぱらいが処置を嫌がって暴れる。
医師「頭割れているの、治してからにしようか」
医師看護師4人がかりで、暴れる患者を抑制する。それだけ余計に人手が割かれる。

ちょっと不調というだけで、救急搬送を求める患者達。
「薬をのんでいいかわからない」という訴えなのだが、結局救急車で搬送。これも本来の救急搬送からはかけ離れている。

風邪・軽いケガなどでやってくる患者達。
コンビニ受診の実態が明らかになってくる。

現場の医師のコメント。
「明日仕事なので治る薬下さい、と言って夜中にやってくるヒトがいる。そんな薬ないので」
「コンビニ受診のヒトに限って、権利意識が強いのか、文句が多い。なんでこんなに待たせるんだ、とか」

淀川キリスト教病院では、随時空きベッドを確認する。
この晩、やってきた救急車は16台。
朝4時過ぎに男性用ベッドがすべて塞がる。この後は、男性の受け入れが出来なくなる。

救急隊から電話。
医師「骨折疑いがあるとのことですが、他を当たってほしい
入院の必要性があるが、男性用のベッドがない」
部屋が埋まって受けられないパターンが多いと医師。


淀川キリスト教病院では、搬送断りは3%から20%に増えた。
5回に1回は受け入れられない状態に陥っている。

塩川智司医師
「緊急に入院が必要な患者も受けられない」

この晩、当直医師は一睡も出来なかった。

○苛酷な状況に耐えかねて医師がいなくなる
市立貝塚病院内科の場合。

一昨年に4人辞める
残りの医師の勤務状況が厳しくなり、次いで5人が辞めた。

井口正典院長
「まさにドミノ倒しが起きる」
「先に閉鎖は救急。夜やってたら昼(の診察)は持たない」

貝塚病院を去った東哲明医師。
「厳しい勤務で、これ以上維持していくのは危険だった。いつ医療事故があっても不思議がない。
病院内に、閉塞感があった。いつになったら医師が増えてトンネルの出口が見えるかが、全く分からなかった」

医師補充の目途が立たず別な病院に移る
今は日中の内科の診療に専念。

「寝れない上に翌日ハードな勤務がある。一歩間違えれば医療訴訟だ。」

悪循環が医師を追い詰める。

こうした実例が挙げられた上で、スタジオパート。
取材はBKの笠原純也記者。


夜間症状の重さに関係なく、いつでも診てもらおうとする患者がいる。これを
 コンビニ受診
と呼んでいる。そして、こうした患者達は
 24時間いつでも高度な医療の提供
を求める。これには対応できない。

大阪では、救急車の利用が年々増えている。

また、医療をめぐる状況の変化もある。
国は、
 高齢者の在宅医療
を進めているが、こうした高齢者が具合が悪くなると救急車を使って運ばれてくる。

司会「医師の負担が増えるのですね」

救急の現場を立ち去っているのは、30代-40代の働き盛りの医師で、本来なら若手を指導する立場だ。
今、現場に残っているのは年配医師と研修医で、真ん中が少ないから
 砂時計現象
と呼ばれている。

また、医師の専門が細かく分かれているのも、救急医療の難しさを産んでいる。
救急医療では、常に専門以外の患者を診るリスクがあるが、これが
 訴訟
となることもある。こうしたリスクやトラブルを恐れて、医師が現場を離れる

司会「どの救急でも一緒か」

三種類の救急がある。
一次 夜間診察
二次 手術入院が必要
三次 命に関わる重症救命センター

現場の疲弊の原因を簡単に説明した後で、3次2次救急の危機についてビデオ。


Bパート
○二次に軽症が溢れる
二次が溢れて受け入れられないと、本来は命に関わる重症患者を受け入れる三次へ行く。
こうして、三次救急が本来診なければいけない重症患者を診られなくなる。

丹波市 兵庫県立柏原病院小児科の例
母親達が小児科にかかる対応マニュアルを作成して、地元二次救急の危機を免れた。

柏原病院小児科では医師不足で、3人の小児科医1人がやめた。これで、もう一人も辞めそうになり、小児科と救急外来が存続の危機に陥った。

母親の会
「医師の負担を減らすために安易に救急を使わない」

作成した対応マニュアルを幼稚園やイベントなどで配布して、地域の母親の意識改革をはかる。
その成果があり、一昨年に比べ、昨年の受診者は半分以下に減る。
小児科 和久祥三医師
「診療で時間外の受診者が減る」
チャート図にも加わる
「受診抑制を素人の患者さんにに任せているわけで、抑制しすぎは危険。事故のないように配慮している」
住民と医師が協力して二次救急を守った例。

○二次救急の危機は三次を追い詰める
泉州救命救急センター 三次病院
15人の救命医で年間800人を受け入れる。

50代男性が搬送されてくる。道路に投げ出されて、腰の骨を骨折しており、大量出血。一刻を争う重症患者に3人の医師がかかり切りになって、2時間の手術を行った。

渡辺広明医師
「命に関わらない二次の患者が搬送されてくる割合は4割。やむを得ず搬送されてくる」

大阪周辺では、最後の砦の三次が断る事態が起きている。
東大阪の交通事故では3次4病院が断った。

国の従来の方針では、3次病院は人口100万に1箇所だったが、こうした自体を受けて、3次を増やすことに。
大阪の三次病院は11箇所だったが、今月2つが承認。
2年前から承認を求めていた病院だった。
国は基準を見直してでも、三次を増やす。

松岡哲也所長
「絶対に地域の重篤な救急患者は、われわれが診なくてはいけない」

スタジオパート。


病院の数を増やして、医師の負担を減らすのが大事だが、2次病院の数は自治体に対応がゆだねられる。
2次が肝心だ。
大阪府は認定基準を見直して、地域によっては一箇所に医師を集約する方針。
医師の数を確保することで、負担を減らし地域全体で救急を維持する体制。

しかし、これでも、医師を確保できなければ、無意味だ。
現場にお金が回るようなシステム作りをしないと、医師は集められない。

一方で、行政が動くだけでなく、柏原病院のように、地域が救急を守ろうとする運動は効果を上げる。

 簡単に救急車を呼ぶ
 コンビニ受診
これらを続けていくと、自分が必要なときに、助けて貰えないことが起きるかも知れない。
どう使うか、どこまで医療を求めるのか、改めて問い直す。

とまあ、良くも悪くもNHK的な内容。
ちょっと良かったのは
 高齢者を病院から追い出して「在宅医療」に変えたが、結局「急変したら救急搬送」が増加して、それが「救急搬送全体数の増加」を招いている
ときちっと指摘していることだ。
 在宅医療
は国の政策だが、
 在宅で「健康に異変があったときのセーフティネット」を手配してない
ことが明らかになった。

国は
 救急で誰を救うつもりなのか
をはっきり決めていただきたい。もし
 救急搬送された患者をすべて受け入れられる体制
にしたいなら
 今の人数では、到底足りない
のだ。

ところで、県立柏原病院のVは
 昨日の「福祉ネットワーク」のVの使い回し
でしたね。
しかし、淀川キリスト教病院って、大きい病院なんだが、あそこの救急であの有様だと、
 もっと小さい病院は瀕死状態
なんじゃないか、大阪周辺の救急医療は。

|

« 「はてな」京都に戻る | トップページ | 中国毒餃子事件(その22)産経新聞福島記者が記者会見での調査統括全文をアップ 生協連の「献上餃子」が日本の信用を国際的に貶める道具に使われる »

コメント

結局、お金なんですよね。
24時間365日welcomeで全ての人を助けるなら今の何倍もの人的・金銭的コストが必要になるし、今の人的・金銭的コストで何とかしようとしたら、質的・量的アクセス制限が必要になるわけです。

そして、そのアクセス制限をするとしたらモラルや「重症度」に頼っていたら判断があやふやになり、最終的には現場の人間にしわ寄せが来ます。ある時点で軽症と判断しても、後でしてしまい実は重症であるとなったら、「判断ミス」などとして刑事・民事訴訟・賠償に発展します。誰にも判断が容易で確実なのは「お金による選別」しかないわけです。極端に言えば、夜間の診察には10万円を請求する。そのうち5万円でも救急医に渡せば救急医も不満はないし、十分アクセス制限が可能です。

投稿: 暇人28号 | 2008-02-16 12:20

「命は地球より重い」というのが世間の一般認識です
「命は空気より軽い」などと言おうものなら袋叩きです

「患者様中心の医療、病院は患者様のためにある」これも本当でしょうか?
患者がいなくなってつぶれた病院もあるでしょうが、昨今つぶれている病院は
医師がいなくなってつぶれています。
患者様がいれば存続するんじゃないんですか?病院が患者様のためのものなら??

そんなに重大なものを扱っている割にはみなさんお金をケチりますね
政府の医療費にせよ診療費の踏み倒しにせよ
もう静かに完膚なきまでにこの国の医療は一度崩壊するしかないでしょう

投稿: 通りがかりの呼吸器内科医 | 2008-02-17 15:43

私の家の近くにある救急病院(多分、二次救急病院)の例です。
救急車でなくて自分で行ってもOKです。受付で来院の理由を聞かれます。カゼ程度で1万円前払いです。そして、「あとで時間内に精算に来てください」ということになります。時間外では「取り敢えず」お金を払っておいて、後で時間内に精算に行く。結構良い方法だと思いますが…。

投稿: ある一般市民です | 2008-02-18 16:56

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 関西クローズアップ 病院にたどりつけない~増える患者 揺らぐ救急~@NHK関西ローカル 2/15 19:30-19:55:

« 「はてな」京都に戻る | トップページ | 中国毒餃子事件(その22)産経新聞福島記者が記者会見での調査統括全文をアップ 生協連の「献上餃子」が日本の信用を国際的に貶める道具に使われる »