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2008-02-14

救急医療崩壊 NHKの記者は現場に足を運んで取材したのか

一昨日のニュースウォッチ9に
2008-02-13 救急医療崩壊 朝日大阪本社の連載「救急存亡」webでも開始→昨夜のNHKニュースウォッチ9では「専門外の医師が手を尽くさないのは怠慢」と非難する論調 医師は労働者として最低の権利も認められず疲弊する一方
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/02/webnhk9_95d5.html
関して続き。

ニュースウォッチ9の放映より前の2/8に
 朝日新聞大阪本社版
に掲載された、
 救急存亡の記事
では、
 萎縮医療になる原因
をきっちり取材して書いている。


(2)「外患」 暴力・訴訟 しぼむ熱意


 1月の夜、東京都墨田区の白鬚橋病院救急センターに怒声が響いた。
 「何でおまえみたいな若造が診るんだ。バカにしているのか」。泥酔者だ。当直は29歳の男性医師。「金、土の夜はいつもこう」。けられ、胸ぐらをつかまれたこともある。

 「酔っぱらいセンター」。週末、院内では自嘲(じちょう)をこめてこう呼ばれる。昨夏は、頭から出血した泥酔者が診察室で暴れ出し、ほかの患者が避難。警察が呼ばれた。患者が落ち着くまでは救急隊員も離れることができない。その日は同じような来訪者が続き、病院前に救急車が5台並んだ。

 壁をけり、穴を開ける。点滴台を振り回して威嚇する。暴れて心電図モニターを壊す——。すべてこの1年に起きた。

    ■

 長野県の救命救急センターでも刃物を持った男が暴れる「事件」があった。

 1月17日午前3時、「酔っぱらって階段を踏み外した」と訴える中年の男が救急車で運ばれてきた。外科系の当直医が診たが、男は「医者は何で、偉そうにしてるんだ」と怒り出し、ポケットから折り畳みナイフを取り出した。警備員が駆けつけて取り押さえ、病院の外へ追い出した。

 現場に居合わせた職員は「地方でもこんな患者が来るなんて。モラルの低下ははっきりしている」とこぼす。

 傷つき、現場を去る医師は後を絶たない。

 「救急なんて二度とやるもんか」。西日本の男性外科医(33)は言い切る。3年前まで大学病院の救急医だった。

 首つり自殺した男性の死亡確認をすると、つれ合いの女性に「なぜ助けられなかった」と責められた。大量の睡眠薬を飲んでは運ばれて来る若い女性には、目覚める度に悪態をつかれた。「医療とは患者と協同して行うものと思っていたのに」

    ■

 そして訴訟。

 大阪府内のある病院長は、当直医の専門外の患者はすべて断っている、と打ち明ける。

 3年前、薬物自殺を図った患者の搬送要請があった。当直医は外科系。薬物中毒は専門外だったのに助けようと受け入れた。治療を尽くしたが、急性呼吸不全で死亡。遺族は「医師の管理が悪かった」と提訴した。「がまんの限界。救急をやめて」。勤務医らの声に妥協せざるを得なかった。

 「頑張れば頑張るほど訴訟リスクが高くなるなら、続けたくても続けられない。救急制度はすでに破綻(はたん)している」

 救急医なら知らぬ人がいない判例がある。

 大阪高裁が03年10月、奈良県立五條病院に対し、救急患者の遺族に約4900万円の支払いを命じた判決事故で運ばれた患者は腹部出血などで亡くなり、病院側は「当直の脳外科医が専門外でも最善を尽くした」と主張したが、裁判所の判断は「救急に従事する医師は、専門科目によって注意義務の内容、程度は異ならない」だった。

 訴訟になれば医師はさらに重い荷物を背負う。裁判所に提出する診療記録を分析し、1カ所ずつ日本語訳の注釈をつけていく。治療の合間に、膨大な作業が待っている。

    ■

 重篤患者を受け入れるため、人材・設備が最も手厚い全国205カ所の救命救急センターですら、不足する専従医は2500人といわれる。救急の担い手の多くは、より小規模な病院。交代で当直する各科の医師が専門外の患者を診ざるを得ない現実がある。

 白鬚橋病院長で都医師会救急委員長の石原哲(55)は訴える。「どんな優れた医者でも、何でもできるわけではない。専門外まで対応できなければ過失があると言うなら、受け入れを制限せざるを得ない」(敬称略)

 《救急のコンビニ化と院内暴力》 軽症者の救急搬送数は06年、254万件と10年間で1.5倍に増えた。総務省消防庁の04年調査では、全出動の3.4%が緊急性がないのに年5回以上搬送要請をした人によるもので、24時間、自分の都合で利用する「救急のコンビニ化」が進む。患者とのトラブルも頻発。東京都医師会が06年、都内274の救急施設に実施した調査(回答率71%)では、院内の安全について79施設が「大変不安」「不安」と回答。暴言・暴行は117例に上った。

NHKの天敵朝日でも、ここまで取材して書いてるのに、一昨日の
 ニュースウォッチ9の救急医療特集の出来の悪さ
は、何ですか?
あれが
 「みなさまの受信料」で取材・制作された特集
だとすると
 受信料の無駄遣い
以外の何物でもない。
 私企業で、購読料に支えられて取材している朝日の記事の方が遙かにマシ
で、そちらの方が先行して報道されていたわけで
 NHKニュースウォッチ9で救急医療問題を担当した記者とPDの質の悪さ
が明らかである。てか
 あの程度の認識しかないのなら、医療報道から手を引け
と、担当記者・PDには申し上げたいですね。はっきり言って
 受信料泥棒
である。
朝日の記事が触れている
 五條病院の大阪高裁判決
は、医療従事者の間では
 奈良心タンポナーデ判決
として有名だ。簡単に言うと
 脳外科医が、心臓外科の専門治療を行わなかったのがいけない
という判決である。この判決がどれほど、とんでもなく、かつ
 萎縮医療の方向を決定づけた
かについては、「僻地の産科医先生」のblog「産科医療のこれから」に引用された深谷赤十字病院副院長の大谷英祥先生の文章
 良心と保身の狭間で
に詳しい。
良心と保身の狭間で
どうやら、
 ニュースウォッチ9の記者とPDは、この有名な判決を読んでもいない
らしいな。救急医療について取材するならば、必ず最初に出てくる有名な判決の1つである。

NHKは、
 講読しなければ読まない朝日
と違い、
 電波で情報を垂れ流すNHKの影響力
は大きいのだ。まったくもって
 毒電波ニュース

 「みなさまの受信料」から高い制作費を貰って作る
のだから、そのモラルの低さ、情報検索能力のなさ、世論の読めなさには、恐れ入りますな。
朝日とNHKなら
 学歴はあんまり変わらない
だろう。どこでこんなに差が付くんだか。ま、分かっているのは
 足で取材しない、他の媒体も見ない、一番情報が集まっていそうな所を覗かない
という
 ジャーナリストとしては失格でも「記者」を名乗れるNHKの体質
に問題があるんだろうね。そりゃ、記者クラブの発表だけ垂れ流すのに慣れていれば
 ネタを拾う能力は衰える一方
でしょう。
 科学文化部なんてアホ
だと、政治部・社会部は思ってるんだろうしな。

世論は、マスコミより先を行っている。
一昨日の「割り箸民事訴訟」については
 なぜ、子どもが割り箸をくわえて走っていたのを親が自分でみていなかったのか
ということまで、みんな疑問に思っている。そのことをマスコミは報道しないけど、なぜか
 確実に知っている人が増えている
のだ。これをどう考えるのか。一部メディアは、ご遺族の言い分を扇情的に編集する報道を続けているが、
 子どもが、割り箸やスプーンなどを口にくわえて歩いたり走ったりする
のを周りの大人が誰も制止しなかったことに疑問を抱く人たちは、その報道のされ方に違和感を覚えている。そもそも、転ぶ前に、割り箸が口に入ってなければ、起きなかった惨事なのだ。
この事件が起きたとき、まず普通の市民が抱いた疑問はそこだったはずだ。
「割り箸事件」は9年前だが、その後、
 夜中にファミレスに子どもを連れてくる親
が問題になっていった。このことと「割り箸事件」には通底するものがある。それは「社会教育」の範疇の問題だ。

おまけ。
一昨年、刑事裁判判決前に書かれた記事に掲載されている頭蓋骨の写真を見ると、いかに「割り箸事件」が
 極めてまれで不幸な事例
だったかがよく分かるのだ。yabudoc先生の「ヤブ医者ブログ」より。
2006年02月26日 割りばし事件判決前に 1
割り箸が喉を破って突き刺さったのは、頭蓋骨の写真の33番「左頚静脈孔」というごく狭い穴だ。普通はこんなごく狭いところに割り箸など突き刺さるはずがない。
続く記事では、この事例が誰の責任でもないことが検証されている。
2006年02月27日 割りばし事件判決前に 2
コメント欄では、脳外科の専門の先生が詳しく説明されているので、興味のある方は併せてご一読を。

さらにおまけ。
子ども自身が自分の身を守るための啓発絵本としては
 マンロー・リーフ 『おっとあぶない』
が秀逸だ。わたしも子どもの頃、この絵本を読んで、大いに役に立った。
その頃は、シートベルトもなかった時代だ。小学1年の夏、同級生が、ドライブ中に事故に遭い、車の窓から放り出されて亡くなった。歩道も整備されておらず、信号もそんなにない。自分の身は自分で守るということを、子ども自身が身にしみて知っていた。
ただ、「割り箸事件」に関して言えば、4歳児の安全は、周りにいた大人が誰であれ、まず気を配るべきだっただろう。大人の無関心が、悲劇を生んだ。

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コメント

いつも読ませていただいております。
わたしも当直中、(自殺企図の女性に付き添ってきた男性に)一度ナイフを突きつけられたことがあります。
「傷跡をのこすな!」と。
話はちょっとずれますが、今でもNHKは入院中の患者さんのテレビ使用料からも受信料を集めているんでしょうか?

投稿: 元外科 | 2008-02-14 12:49

>元外科さま
 病院のテレビの2/3は、『テレビシステム運営協会』に所属する企業の貸しテレビです。受信規約では台数に関係なく1室に1契約となっていますが、実態は14 室に1 契約という低い契約率です。
 もともと、病院ごとの受信契約数は、個別交渉で決まり、公平な負担でなかったことと、NHK受信料免除対象から公的病院が外れたのが原因ということです。病院のテレビにも受信料が必要ということになると、入院患者の受信料が自宅分との2重負担になるという側面もあります。
 協会では、大口契約とセットにすることで、負担を抑えつつ、契約率を少し上げようという方向です。
http://203.140.31.100/joho_tsusin/policyreports/chousa/kohei_futan/pdf/070727_2_si3.pdf

投稿: kame | 2008-02-14 18:07

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正直、この事件に触れないようにしてきました。幼い足下おぼつかない子供の悲惨な死の惨状を裁判や医療問題として語ることがつらいからです。おそらく割り箸に限らず、全国のすべての子供とその親が、咽頭から小脳へ...... [続きを読む]

受信: 2008-02-16 00:10

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