水金地火木土天海「氷」? 太陽系に第九の惑星の可能性
冥王星が「惑星」の定義を満たさず、太陽系の惑星ではなくなったのは、2006年のことだった。
2006-08-17 惑星は8個? 12個? 占星術師とセーラームーンファン危うし
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2006-08-24 惑星は8個? 12個? 占星術師とセーラームーンファン危うし (その2) さらば!冥王せつな 太陽系の惑星から冥王星がはずれる
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2006-08-26 7人のこびとが声明! 「プルートを仲間にしてあげる」
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ところで、今度は
太陽系に未知の第九の惑星がある可能性
が指摘されている。
産経より。
太陽系に第9惑星? 理論予測 海王星の外側に氷の天体2008.2.28 08:11
太陽系の8つの惑星のはるか外側に、「未知の惑星」が存在する可能性が高いとする理論予測を、神戸大学大学院理学研究科のパトリック・リカフィカ特別研究員と向井正教授が27日、発表した。理論とコンピューターシミュレーションから導かれた科学的な“予言”で、「10年以内に発見される可能性がある」という。米天文学専門誌「アストロノミカル・ジャーナル」(4月号)に論文が掲載される予定。
「未知の惑星」は、質量が地球の0・3~0・7倍で、水を主成分とする氷の天体だと考えられる。最も太陽に近づいたときの距離は80天文単位(1天文単位は地球-太陽の距離、約1億5000万キロ)。太陽からの平均距離(軌道長半径)は100~175天文単位で、海王星のはるか外側に大きな楕円(だえん)軌道を描いているとみられる。水星や火星よりも重く、国際天文学連合が一昨年採択した「惑星」の定義を満たす可能性が高いとみられる。
リカフィカ研究員(ブラジル)らは、海王星の外側でこれまでに発見された1100個を超す天体の軌道のゆがみや傾きに着目。「惑星クラスの天体が外側に存在し、太陽系外縁天体の軌道に影響を及ぼした」との仮説を立て、40億年にわたる軌道進化をシミュレーションにより検証した結果、現在観測されている太陽系外縁天体の特徴が、精度よく自然に説明できたという。
これまでにも、海王星の外側に惑星クラスの天体を想定する研究者はいたが、今回は理論モデルに基づく緻密(ちみつ)なシミュレーションを行い、観測結果とも非常によく合致していることから、渡部潤一・国立天文台准教授は「格段に精度の高い理論予測」と評価している。
この天体が太陽に近づいた位置にあれば、14・8~17・3等の明るさになるはずで、米国などで計画が進む大規模サーベイ(探索)による発見が期待できるという。
今回のはあくまでも理論的予想。一番太陽に近づいたときでも、地球から太陽までの距離の80倍という遠い位置にある氷の惑星だ。
本当にあるのか、見つかるまでは分からないけれども、その時を待ちたい。
第九の惑星の可能性についての解説。同じく産経より。
太陽系に「第9惑星」? 天体のゆらぎ 緻密に計算2008.2.28 08:16
想像図。右側の光は約150億キロ離れた太陽(フェルナンド・ダンドレア氏、神戸大提供)
■国際探索、10年以内に発見か
コペルニクスの地動説とガリレオの天体観測によって、人類が「地球は太陽系惑星の一つ」と認識してから約400年。現在までに新たに見つかった太陽系惑星は天王星(1781年)、海王星(1846年)の2つしかない。1930年に発見され「第9惑星」とされていた冥王星は、2006年に国際天文学連合が採択した惑星の定義から外れ、「準惑星」に位置づけられた。神戸大学の向井正教授らが理論的に存在を予言した「未知の惑星」が見つかれば、世紀の大発見となる。(中本哲也)今回の理論予測の方法は、「天王星の軌道のふらつきから、海王星の存在を予言した19世紀の手法に似ている」という。
天王星に相当するのは、1990年代以降に海王星の外側(40~50天文単位)の領域で多数見つかった太陽系外縁天体だ。
これらの天体の軌道のゆがみや傾斜を説明するために、さらに外側に惑星クラスの大きな天体が存在すると仮定。膨大な数値シミュレーションの結果から、未知の惑星が存在する可能性が高いと結論づけた。
海王星が予言通りに見つかった成功にならい、20世紀初めには米国の天文学者、ローウェルが「海王星の外側にも惑星がある」と予言し「惑星X」と呼んだ。この予言は、弟子のトンボーによる冥王星発見につながる。だが、海王星のふらつきから惑星Xの位置を求めたローウェルの理論計算は間違いで、そこに冥王星があったのは奇跡的な偶然だった。冥王星には海王星の軌道を乱すほどの大きさはなく、発見から76年後に「惑星」から外された。
このような歴史的経緯から、向井教授らが予言した未知の惑星は、21世紀の「惑星X」と位置づけられる。ブラジル人研究員のリカフィカさんの元には「あなたたちの惑星Xは、国際天文学連合の定義を満たすのか」などと、各国のジャーナリストから質問が寄せられているという。
海王星より遠い天体では現時点で最大の準惑星「エリス」を発見した米カリフォルニア工科大のブラウン教授からは「わくわくする成果だ」という内容のメールが届いた。ブラウン教授らはエリスを「第10惑星」と主張し、結果的には冥王星が惑星から格下げされるきっかけになった。
新惑星は、ブラウン教授らが発見した太陽系最遠の天体「セドナ」と同程度の距離で、ずっと明るい。しかし、新惑星の軌道は、地球や木星などの軌道面(黄道面)から20~40度も傾いているため、黄道面周辺に限られたこれまでの観測では発見されなかった。
現在、米国、台湾を中心とする国際グループは、4つの望遠鏡を使って遠くの太陽系天体を探す計画を進めている。また、米ローウェル天文台も世紀をまたいだ「惑星X」発見に向けて、探索専用の天文台建設を計画している。
これらの計画が本格化し、黄道面から離れた場所まで探索範囲が広がれば「5~10年で新惑星が発見される可能性が高い」という。
◇
渡部潤一・国立天文台准教授の話 「非常に緻密(ちみつ)な研究成果で、新惑星が存在する確率は高いと思える。現在の定義では、周囲に同程度の天体がないことを証明することが必要で、発見と同時に惑星と認められるのは難しいが、改めて惑星とするかどうかが議論されるだろう。海王星の場合は、存在を“予言”した天文学者も、発見者とされている。予想通りの天体が見つかれば、向井教授とリカフィカ研究員の功績も天文学史に刻まれるでしょう」
遠くにある惑星だけに、発見にはかなりの紆余曲折が予想されるけれども、観測する天文学者だって、
第九の惑星を発見
したいよね。新たな天体の発見は、それだけでロマンだ。
気の遠くなるようなシミュレーションを重ねて、「第九の氷惑星」の存在を予言した向井正神戸大教授とパトリック・リカフィカ特別研究員をまずは讃えたい。今はまだ「仮説」だけれども、この説が実証される日を信じて。
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