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2008-03-21

ラサ燃える(その6)中国当局は「六四(天安門事件)体制」でチベット人弾圧

中華人民共和国は
 中国共産党一党独裁
の社会主義国家である。
 改革開放
と言って、自由主義経済の皮を被っているが、一皮剥けば
 共産党の一党支配の社会主義国家
であることは歴然としている。そのことがよく理解できるのが
 宗教弾圧
だ。

日本に留学している中国人(この場合は大陸限定)が人文系の学会発表で仏教関係のテーマを扱うと、かなりの確率で失敗する。日常生活で仏教に触れる機会がなかったからだ。
中国共産党が宗教弾圧を行うときは苛烈なやり方をする。
1989年に、ちょっとでも仏教の勉強をしたことがあれば、知らぬ者がいない
 洛陽郊外の白馬寺(インドから仏教が伝わって初めて中国に建立された寺院)
に行ったとき、僧坊には高齢の僧侶とうんと若い僧侶しかいなかった。間の世代は文革でやられ尽くしたようだった。僧坊に戻ってきた高齢の僧侶は目を合わせることもせず、おどおどしていて、PTSDのようだった。心の傷は深かった。いかに中国共産党が彼らをひどい目に遭わせたかが窺い知れた。当然、仏教の勉強を禁じられていたから、知識も十分でなく、売店で木版の経本を買い求めたわたしに、当番をしていた僧侶は、その経本の内容について、信じられないことを言った。それはその僧侶の勉強が足りないのを責めるべきでなく、僧侶でありながら仏教に触れることを許されなかった期間の長さを中国共産党に問うべきなのだった。
今は白馬寺はすっかり観光開発が進んで、境内も整備されているのだが、わたしは89年の、あのやっと僧侶が帰って、寺院復興が始まった当時の様子を忘れることが出来ない。
 紅衛兵と、バーミヤンの仏像を爆破したタリバーンは文化の敵
として、憎むことは甚だしい。

いま、中国共産党は、89年の天安門事件と同じやり方でチベット人弾圧を行っている。
例えば次の記事だ。
18日付読売より。


チベット自治区管轄の成都軍区、「最高レベル」警戒態勢に

 【香港=吉田健一】中国チベット自治区ラサで起きた大規模暴動で、18日付の香港紙・明報は、同自治区を管轄する人民解放軍の成都軍区が、17日から最高レベルの警戒態勢に入ったと報じた。


 チベット自治区駐留部隊の応援のため、すでに成都軍区内の別部隊を同自治区に投入したという。

 同紙などによると、中国政府は暴動制圧に解放軍は関与していないと主張しているが、報道の映像などには解放軍の新型装甲兵員輸送車などが映っており、実際には解放軍が出動していたとの見方が強い。

 中国の軍事問題に詳しい軍事評論家の平可夫氏は、「装備などから、いずれも成都軍区最精鋭部隊の第149緊急展開師団と第52山岳歩兵旅団が出動したと見られる」と指摘している。

(2008年3月18日20時10分 読売新聞)

天安門事件では、北京に
 孤児と少数民族からなる部隊
が投入された。血縁を重視する中国では、孤児の地位は日本では想像できないくらい低い。1976年に起きた唐山地震は大量の孤児を生み出した。この地震の被害のひどさがどのくらいだったかというと
 当時の北京市民で、係累に犠牲者がいない家族は珍しい
とびっくりされる程度の惨状だった。北京でもそれくらいの被害があったのだから、河北省全体での被害が中国共産党の発表通りかどうかは謎である。
で、唐山地震で身寄りを失った孤児ばかり集めた人民解放軍の部隊があり、その部隊の教育は熾烈であったと聞く。係累なしで生きて行かなくてはいけない孤児達の未来を保障するのは、軍功だけである。同じ中国人に銃を向けることくらい、命令が有れば簡単に行っただろう。
少数民族の部隊が動員されたのは
 漢語(中国語)が使えないから
だった。もし、北京市民が漢語で何か呼びかけても、少数民族の兵士達は、漢語は理解できない。そのため、戦車が北京市内に入ってから、少数民族の兵士達を説得するために赴いたのが、当時「中央民族学院」だった現・中央民族大学の各民族の学生達だったのだ。

今回はチベット人弾圧だから、
 チベット語を話せない兵士を投入する戦略
だ。数で圧倒的な漢族中心の精鋭部隊がちょうどよいのだ。漢族は前にも言ったように、少数民族を侮蔑している。報道では
 チベット人が先に手を出した
と中国当局は言い張っているようだが、先に出そうが後に出そうが、ハナから
 弾圧ありき
である。
昼のNHKニュースより。



中国 デモ隊への発砲認める

中国のチベット自治区で起きた大規模な暴動から21日で1週間になります。中国国営の新華社通信は、自治区に隣接する四川省で発生した暴動で警察当局がデモ隊に向けて発砲していたと伝え、今回の一連の暴動でデモ隊に向けた発砲を初めて認めました

今月14日にチベット自治区の中心都市ラサで大規模な暴動が発生してから21日で1週間となりますが、自治区の周辺にあるチベットの人たちが多く住む地域では依然としてデモや新たな暴動が続いていると伝えられています。中国国営の新華社通信は、自治区に隣接する四川省のアバ県で今月16日に発生した暴動で警察当局がデモ隊に向けて発砲し、4人がけがをしていたと報じました。この中で、警察当局は、襲いかかってきたデモ隊に対して警告のための発砲を行ったものの停止しなかったため自衛のために銃を向けざるをえなかったと話していると伝えています。中国政府が警察当局によるデモ隊への発砲を認めたのはこれが初めてです。しかし、インドにあるNGO「チベット人権民主化センター」は、四川省のアバ県で起きた暴動では警察の発砲により16歳の少女を含む少なくとも23人の死亡が確認されていると伝え、4人のけがしか伝えていない新華社通信の報道は依然として信用できないとしています。また、複数の人権団体は、ホームページ上にアバ県で起きた暴動で死亡したとされる犠牲者の写真を掲載し、体には銃弾の跡があり、警察当局の発砲で多くの犠牲者が出ているのは明らかだと主張しており、真相の究明を求める声が一段と高まっています。

3月21日 12時27分

ほお、
 丸腰の相手に「自衛のために発砲」
ですか。素晴らしい治安体制ですね、中国。
 2008-03-18 ラサ燃える(その4)四川省(Amdo地方の東南部)の抗議デモで銃撃を受けて死亡したチベット人の写真を「チベット人権民主化センター(インド)」が公開
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/03/4amdo_063e.html

これから無惨なことが中国のチベット文化圏内で、漢族の手によって行われるのは確かだ。逮捕されたり、自首した蔵族の運命を考えるだけで、暗澹とした気持ちになる。
我が家には1989年天安門事件当時の、北京で銃撃され死亡した市民の写真が掲載された"TIME"が保存してある。中には、腹を割いて内臓(おそらく肝臓)をえぐり取られた残虐な写真もあった。
今なら、臓器移植用に、逮捕したチベット人を「有効活用」するくらいはやっても不思議はない。

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