読売新聞カメラマン、発掘された木棺を損傷
あまりにも間抜けな話で呆れる。
それは東大寺二月堂修二会最終日でもある3月14日に起きた。奈良県内の人なら分かると思うが
雨の日
である。現場は相当にぬかるんでいたはずだ。
読売新聞大阪本社版より。
本紙記者、木棺の一部破損…奈良の発掘現場で足滑り14日午後1時20分ごろ、奈良県香芝市の下田東遺跡発掘現場で、出土した木棺を撮影中の読売新聞大阪本社の写真部員(29)がぬかるみで足を滑らせ、木棺の一部に靴の底をぶつけた。このため、一部が削られて破損した。破損したのは数センチ大とみられる。
市教委は破損した木片を現場で回収。復元できるかどうかについて保存処理の専門家に調査を依頼する。
この日は報道各社が午前中から取材、撮影していた。
木棺については時期や考古学的な価値などを継続調査中で、市教委は検討を重ねたうえ、破損状況と併せて後日、詳細を発表する。
読売新聞大阪本社は同日夕、香芝市教委に謝罪した。
読売新聞大阪本社広報宣伝部の話「本社カメラマンが、取材中に貴重な遺物を傷つけたことは、誠に申し訳なく、深くおわびします。今後こうしたことが起きないよう、慎重な取材の徹底について改めて指導します。破損個所の修復が可能であれば、費用については本社で負担させていただく所存です」
(2008年3月15日 読売新聞)
発掘現場を報道に公開したら、木棺を壊されましたか。ていうか
晴雨にかかわらず、そもそも現場は滑りやすい
ので、足拵えは基本中の基本でしょう。たぶん、木棺をぎりぎりのところから撮ろうとしたかなんかで、現場の一番崩れやすいところで足元を確保せずにカメラを構えたんだろうな。カメラは壊さなかったけど、木棺は壊したって話なら、二度と発掘現場に来ないように。
朝日新聞奈良版には大体の現場の状況が書いてある。
読売写真部員が木棺破損
2008年03月15日■香芝・下田東遺跡
読売新聞大阪本社は14日、香芝市下田東3丁目の下田東遺跡で、出土した木棺の底板とみられる木製遺物(長さ約3メートル、幅約50センチ)を撮影していた同社の写真部員(29)が過って一部を破損させたと発表した。市教委は破損の程度や修復できるかどうかについて、専門家に調査を依頼するという。
同社などによると、14日午後1時20分ごろ、撮影中だった写真部員が足を滑らせて木製遺物の端に足先をぶつけ、遺物の表面が3〜4センチにわたってはがれた。現場は傾斜がついた粘土質の周濠(しゅうごう)の中。この日は報道機関が市教委に要請した撮影会があり、当時は小雨が降っていた。
同社広報宣伝部は記者会見を開き、「深くおわびする。慎重な取材の徹底を改めて指導する。修復が可能であれば、費用を負担させていただきたい」とコメントした。
同遺跡は縄文時代から近世にかけての複合遺跡。「遺言」が書かれた平安初期の木簡や5世紀頃の木製の鞍(くら)の一部などが見つかっている。
ああ、傾斜の付いた周濠なんて、雨が降ってなくても、滑りまくるに決まってるじゃん。
二月堂に行ったわたしですら、14日はトレッキングシューズで出かけたぞ。滑ると洒落にならないからな。雨の前後に発掘現場に行くのであれば、どうせ報道陣は車で行くんだろうから、滑りにくく、動きやすい靴くらい一緒に持って行けよ。現場に入る前に履き替えて行け。それくらいの暇はあるだろう。
続き。毎日は英文記事にもしていて
世界中に読売新聞カメラマンの恥を発信
する「親切心」を見せている。
英文記事の方を上げておく。
Yomiuri photographer damages priceless archeological findOSAKA -- A Yomiuri Shimbun photographer accidentally damaged a wooden coffin excavated from an archeological site in Nara Prefecture while taking photos of it, company officials said.
The accident occurred at around 1:20 p.m. on Friday, as the 29-year-old photographer was taking photos of the bottom of the wooden coffin which was excavated from a moat surrounding a burial mound at the remains, Yomiuri officials said. One of his feet slipped on a wet slope and hit the coffin.
The Kashiba Municipal Board of Education, which is excavating the Shimoda-Higashi remains, will commission experts to determine the extent of the damage.
The Yomiuri Shimbun Osaka headquarters was apologetic about the incident. "We deeply apologize for damaging such an important archeological find."
The exact age of the wooden coffin is still unclear, but experts say they believe it was produced during the Kofun period, between the mid-third century and the end of the seventh century.
古墳時代の木棺の底板だとすると、結構痛い事故ですな、読売新聞のカメラマン。
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コメント
素人相手の、発掘現場説明会は、雨天中止の予告が出ます。
マスコミ相手だと、雨天でも発掘現場公開と撮影会が、行われるのが分かりました。
速報性の無い集団取材であるなら、なにもあえて雨天のときに行わなくてもいう気がします。
投稿: 龍 | 2008-03-17 17:37