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2008-04-29

産科医療崩壊 北海道ではこの2年で産科医1割減→常位早期胎盤剥離について追記あり

広い北海道では、もともと産科医の数が足りてない。産科医だけでなく、ほとんどの診療科で医師が足りない地域がある。地域といっても、北海道は広いから、医師不足の深刻さは、長い冬のために搬送が難しくなることと相まって、内地では想像が付かない厳しさになる。
道新より。


道内14機関で出産休止 2年間で 産婦人科医1割減 道調査(04/29 00:46)

 診療をめぐるトラブルや過酷な勤務が産科医不足を加速させている問題で、道内では二〇〇七年までの二年間に十四の医療機関が出産の扱いを休止していたことが、道などのまとめで明らかになった。また、産科・産婦人科医が〇六年までの二年で一割近く減ったこともわかった。産婦人科病院関係者は「短期にこれほど産婦人科医が減るのは異常」と危機感を強めている。

 病院数の調査は、厚生労働省の指示で道が行った。〇五年末に全道で百十八あった出産可能な産科・産婦人科は、〇七年末には百四に減少した。高度医療を担う三次医療圏では、釧根圏八病院のうち市立根室病院や釧路労災病院など三病院が出産の扱いを休止道南圏道立江差病院が昨年一月に扱いをやめ南桧山の二次医療圏では出産ができなくなっている。

 産科・産婦人科医師数は、〇二年に四百三十人だったが、〇四年には8%減の三百九十五人〇六年にはさらに9%減って三百五十九人になった。

 産婦人科系の医師は大学の医学部を抱える道央、道北でも減少。〇六年までの二年間では石狩管内、上川管内でそれぞれ九人減り、両管内で減少数の半数を占めた。北大大学院医学研究科の水上尚典教授「大学病院も医師確保が難しい。最大限努力しても、十分に自治体病院に医師を派遣できない」と危機感をあらわにしている。

 道産婦人科医会によると、昨年道内で開業した産婦人科関連の医療機関は、すべて婦人科クリニックなどだった。

 道によると、医療に関する訴訟の約三割が出産関連で、産婦人科医は訴訟リスクが高い。このため、全国的に医師が産婦人科を避け、医師不足で出産現場も多忙になっており、道内の医師会関係者は「安定した生活を求める医師が増えている」と嘆いている。

そりゃあ
 無事に生まれても感謝されず、何かあったらすぐ訴訟
ということが繰り返されれば、産婦人科医になるのは地雷を踏みに行くのと同じ、と若い医師が考えるのは致し方ない。
 医師の使命感
に甘えきった
 医師使い捨ての思想
が、産科医をここまで追い込んでいるのだ。

そうでなくても、医療資源に乏しい北海道で、離島で常位早期胎盤剥離で母子共に危険に陥り、遠くの病院まで関係者が必死の思いで搬送した結果、子どもはダメだったが、子宮摘出にも至らずに、なんとか母親を助けたら
 離島では安心して子どもも産めないのか
などという、医療資源が無尽蔵だと思いこんでいる
 医師の心を折る報道
を続けていたのは、道新ではないか。常位早期胎盤剥離では、出血がひどければ、子宮摘出をしなければならないし、もっと状態が悪ければ、母子共に亡くなる。都会の設備の整った病院であっても、常位早期胎盤剥離は恐しい病気である。ましてや、この記事の扱っている天売島は離島だ。母親の命が助かった、しかも子宮摘出をせずに済んでいるのだから、今回は残念だったが、まだ、次に希望がある。それでも尚、なんとか母親だけでも助けようとしたすべての医療スタッフそして搬送に携わった人たちを非難していたのが、下に引用する記事だ。

2007年の道新の記事を再掲しておく。


「安心して子供も産めないのか」
「6時間で天売→羽幌→留萌→札幌 赤ちゃん死産、母体も危うく」
留萌管内羽幌町・天売島の妊婦が昨年6月、医療体制が整っていない地元で死産し、自らの命も一時、危険な状態になった。天売島から羽幌町、留萌市を経て札幌市まで約六時間、二百キロ。妊婦が病院を転送された軌跡をたどると、医師不足が深刻化し、危機に直面する地域医療の縮図が見えてくる
(報道本部 田中祥彦)

冷たい風がほほを刺す。
羽幌港を出て二時間、フェリーは天売島に着いた。夏のようななぎ。地元の女性は「二月に、こんな日は珍しい」という。定期船は離島の生活を支える命綱だが、海が荒れれば欠航することもある。
昨年六月十日。天売島に住む主婦(二二)は前日から続く腹痛に耐えきれず、出向を五分遅らせてもらい乗船した。妊娠九ヶ月。周期のない痛みに、付き添った義母(四六)は、陣痛ではないと直感した。
羽幌で下船した主婦は救急車で道立羽幌病院へ運ばれたが、わずか十数分の滞在後、五十キロ以上離れた留萌市立病院を目指して再び救急車で運ばれた。
羽幌病院の産婦人科は二○○五年夏から常勤医が一人だけで、体制の問題から経産婦の正常出産しか扱えなかったためだ。車中、到着を待つ留萌病院の医師からの携帯電話での問い合わせに、明確な答えを返せない羽幌病院の医師。主婦の不安は募った。
「全身麻酔で帝王切開を行います。」主婦を診断した留萌病院の医師は緊急手術を告げた。胎盤剥離だった。必死の蘇生措置にもかかわらず、子供が産声を上げることはなかった。「あと二、三十分(到着が)早ければ」。義母の耳に留萌病院の医師の言葉が残った。
二千五百ccの大量出血により、母体も危険な状態となり、主婦をドクターヘリで札医大へ空路搬送された。幸い子宮の摘出は免れたが、容体が安定したのは翌日の朝だった。航路、陸路、空路を経てたどり着いた札幌。天売島を出てから六時間以上たっていた。
「初めての男の子の孫。名前も決めていたんだ」。主婦の義父(四六)は、天売島の自宅で悔しそうに口を開いた。義母も「診察も手術も出来ないのであれば、意味がない」と地域医療体制の不備に憤る。夫(二四)は「安心して子供をうむこともできないなんて」と肩を落とした。
「批判は承知しているが、あれが限界だった」。羽幌病院の国田松博事務長は苦渋の表情で振り返った。相次ぐ医師の引き揚げで、欠員状態が続く羽幌病院。
九つの診療科のうち、眼科など四つの診療科は常勤医がいない。昨秋には通常出産も中止に追い込まれた。
羽幌病院は、現在も留萌管内北部の広域医療を担うセンター病院と位置づけられている。その病院が地域住民の要望に応えられない。こうした事態に、「集約化なども検討しているが、絶対的な医師不足で抜本的な解決には程遠い」と無力だ。
「子供は欲しい。今度は早めに留萌に移りたい」。主婦は、子供のために用意した産着を手に言った。医師不足でやせ細る地域医療。
「住む場所で命の重さも違うのだろうか」。主婦の件を受け、医療体制の改善を訴える、天売島在住の羽幌町議、寺沢孝毅さん(四七)は鉛色の海を見ながらつぶやいた。

この記事を去年初めて読んだときの衝撃は忘れられない。わたしは札幌生まれで大学に行くまでずっと札幌にいた。だから、道内でもっとも医療が充実しているといわれる札幌であっても、医療資源が乏しいことを身を以て知っていた。
それが、天売島で札幌並あるいはそれ以上の医療を、と、この記事は言っているわけで、一体道民の医療に対する意識はどうなってしまっているんだろう、と目の前が暗くなったことを覚えている。昨年、この記事を読んで、こんなことを高校同期のMLに書いた。


誰もがどこでも平等な医療を受けられるっていう幻想がいつの間にか広がっているのですね。北海道に住んでいたときに、そうではない現実を見ていたのですが、それとも道内などの厳しい医療環境は改善されているのでしょうか。

道新が伝えるところでは、道内の厳しい医療環境は、改善するどころか、悪化の一途をたどっている。

(追記 5/2 13:40)
設備の整った病院でも、常位早期胎盤剥離で大量出血が起きた場合、母子共に救えないことがある。
読売より。


帝王切開受けた妊婦と胎児死亡…「大量出血」と静岡厚生病院

 静岡市葵区北番町の静岡厚生病院(265床)は2日、同病院で帝王切開手術を受けた同市の妊婦(24)と10か月の胎児が死亡する医療事故が起きたと発表した。

 同病院は、静岡中央署に異状死の届け出を行った。

 記者会見した玉内登志雄院長によると、妊婦は出産予定日を3日過ぎた4月27日朝に産気づき、診察を受けるなどしていた同病院に来た。胎盤が分娩(ぶんべん)前にはがれる胎盤早期剥離(はくり)と診断され、医師が帝王切開したが、胎児は死亡。その後、妊婦も大量出血を起こし、同日午後に死亡した。

 胎盤早期剥離を起こすと、胎児は低酸素状態になり、妊婦も大量出血で生命に危険が及ぶことがある。胎盤早期剥離は妊婦の1%弱に起きるが、双方が死亡するケースはまれで、同病院ではここ20年間起きていないという。玉内院長は「医療行為に、死因に直結する問題はなかったと考えている。事態の重大性を考え、公表した」と述べた。

(2008年5月2日13時48分 読売新聞)

亡くなられたお母さんと赤ちゃんに合掌。
分娩時の大量出血は、
 わき出るように出血する
と聞く。輸血しても輸血しても追い付かない。今回は、そんな状況で、産科医の先生は、赤ちゃんを救おうと帝王切開したが、出血量が多過ぎて、赤ちゃんもお母さんも助からなかったという、極めて希で不幸な事例だ。

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コメント

ハイリスクで出産しました。自分で自分のお産に値段をつけてみました。およそ6億が妥当ではないかと思います。最近金額が高騰しています。今後も高値基 調が続くものと思われます。
私は「自分らしいお産」と言う言葉が大嫌いになりました。あと、「40でも産めます」とか。出産は子供の命を最優先に考えるべきです。

ただ、悲しいことですが僻地や地方は選択の余地などないでしょう。子供の福祉を考えたら、地方は圧倒的に不利です。

投稿: ちいさいこの母 | 2008-04-29 09:50

私がこの記事で一番憤慨したのが最後のフレーズ。

>道内の医師会関係者は「安定した生活を求める医師が増えている」と嘆いている。


これってこの医師会関係者が本当に「嘆いていた」のでしょうか。確かに奴隷根性が抜けていない医師会関係者ならばそう考えるかもしれませんが、意外と道新の記者が勝手に「嘆いていた」などという表現を付け加えた可能性がありますね。

医師が「安定した生活を求める」のがいけないような表現ですが、医師が「安定した生活を求める」のはいけないことなのですか?正に医師は奴隷だ、という感情が透けて見えます。

どこまで医師に敵愾心をもてば気が済むのでしょうか。マスコミは。いい加減にして欲しいものです。

投稿: 暇人28号 | 2008-04-29 22:57

本当にやらなくてはならないのは
人口の集約化なんだがな。

公共の医療、介護を受けたい老人は、
都市部のマンション、アパートに強制入居。
それくらいやらなければ、東京、大阪などを除いた地域は保たないって。

特に北海道なんか、徹底的にやらなきゃ。

投稿: nyamaju | 2008-04-29 23:58

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