« 医療崩壊 医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟第一回シンポジウム@4/12 日比谷公会堂18:00-20:00 | トップページ | ラサ燃える(その37)いまチベットでどんな拷問や弾圧がなされているか »

2008-04-13

ラサ燃える(その36)ヒマラヤ越えで仲間が中国国境防衛軍兵士に射殺された子どもが描いた絵 拷問される僧侶の絵も

子どもがヒマラヤ越えで射殺される人の姿を描いている。僧侶が拷問される絵を描いている。
この事実が
 中国共産党当局によるチベット人弾圧の実態
を雄弁に物語っている。

ダラムサラには亡命チベット人を支援する
ルンタ・プロジェクト
があり、その日本事務局を99年にお一人で始められた「うらるんた」さんのblog
 ちべログ@うらるんた
は、チベット人弾圧について、ダラムサラから寄せられた目を覆うような情報を伝えている。
メディアの報道について。


2008.04.12
治療求める日

(略)

 今日は動乱の負傷者が、速やかに適切な治療を受けられることを求める行進の日でした。
 銃弾で負傷しながらも手当を受けられず死んでしまうということが実際今チベットで起きているのです。 このことは先日も電話の話として伝えましたが、他にも同様な報告が多くあります。
 平和的行進が機関銃で蹴散らされ、人々は山や森に逃げ惑い、捕まったものはひどい拷問に会い、負傷者は手当も受けられず死んで行く。これはまさに地獄です。
 何故に日本のメディアはオリンピックトーチの話とともにこの現状を伝えないのか?
日経の次の記事など読むと何だかな?と思う。
 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/
20080412AT2M1101N11042008.html

 中国側の発表を鵜呑みにした風の表現、中国語の表記だらけ。
 チベット側発表の情報はなぜ載せないのか? アムドまで出かけて行って、中国側の情報だけ流すとはアホだね。 彼ら中国駐在の記者たちはチベット語放送を聞いてないのだろうか? 少なくとも亡命政府の発表する最新情報を知らないわけはない。私は聞いている、知っていると思う。ただ知っていて取り上げないだけなのだと思う。
(以下略)

ええと、残念ながら、日本の中国駐在記者でチベット語が出来る記者がいるという話は、寡聞にして知らない。もっとはっきり言うと、北京語すら怪しい記者がいる。
日本の中国駐在記者のレベルはその程度。

で、この「うらるんた」さんのblogには、衝撃的な記事がある。ダラムサラから寄せられたメールを転載しているのだが、中国国境防衛軍による亡命者への銃撃、拷問部屋のようすを亡命してきた子ども達が描いているのである。


2008.03.27 ネレンカン
(略)

 朝方、ネルレンカン(難民一時収容所)に行って来ました。屋上に小さな子供たちが集まって、みんな絵を描いていました。
(略)
 壁に貼られていた子供たちの絵があまりに衝撃的だったので、全部写真に撮りました。一部を送ります。いつか全部送って、日本で見せられるとといいと思います。
 楽しい絵は残念ながら全くなくて、チベットでチベットの僧侶が殺される絵、デモでつかまり連れて行かれるところ、家族が泣いているところ、雪山を越える途中で撃たれるチベット人とかです。
(略)
 もう一人はカム出身のテンジン君(仮名)10歳。彼だけは僧衣を着ています。これから南のセラ僧院に行って勉強するのだそうです。彼も2度目でやっとここにたどり着いたのだそうです。
 去年の夏、両親と3人、家族だけで、カイラス山の近くからネパールに越えようとしたのですが、何日か歩いた後、途中道で会った外人の旅行者から、この先にはたくさんの中国軍がいるから行かないほうがいいと言われ、諦めて引き返したそうです。
 今年は自分だけがインドに行って僧になり、勉強するように言われて、また国境を越えようとした。今度は国境の近くまで車で行き、そこからは夜歩いた。途中大きな川に丸太が2本掛けてあるだけのとこを渡るときは怖かった。もっと小さい子は大人の背中に負われて渡った。中国の警察が追いかけて来るような気がして怖かった。お腹がすいた。外で寝るのは寒かった。とも話していました。
 今はダラムサラに着けてうれしい、早くダライラマ法王に会いたいそうです。
(略)
 写真1枚目は、僧侶がダライラマを非難するよう強制されているという絵です。中国の警官が法王の写真を踏みつけています。実際、この「ダライ・ラマを誹謗しないと僧でいられない」という制度に対する怒りが、今度の騒動の大きな原因のひとつと考えます。
 もう1枚の絵峠を越えるとき、チベット人が中国軍に打たれて倒れるという絵です。
(以下略)

ヒマラヤ越えの際、亡命しようとするチベット人が中国国境防衛軍兵士に射殺された事件については、2006年9月30日に起きたナンパラ峠での少年・尼僧射殺事件をルーマニアのテレビ局のカメラマンがたまたま撮影していて、そのビデオは世界中に衝撃を与えた。(亡命チベット人が射殺される様子が映っているので注意)

chinese execute tibetans(要YouTube登録 18歳未満閲覧不可設定)

同じビデオを用いているが、YouTube登録不要のヴァージョン。
Chinese Killing tibetans

2006年9月30日の中国国境防衛軍兵士による発砲についての記事。香巴拉より。


チベット難民、中国国境防衛軍に狙撃され2名死亡

《西 藏 之 頁》 (2006年10月 6日付)より

   カトマンドゥーのチベット難民サポートグループは10月5日、中国国境防衛軍が国境を越えてチベットから亡命しようとした難民に発砲しチベット人2名を死亡させたことを明らかにした。

   "チベット難民受入センター"によると、事件は9月30日、ネパールとの国境ランカルパ山街道で発生。同センター関係者の話では、70人からなるチベット人グループがチベットを逃れてランカルパ山街道を越える途中、中国国境防衛軍と鉢合わせし狙撃されたが、成人男女と子どもを含む40人は無事ネパールに逃れた。2名の死亡が確認された以外は他の人々がどうなったかいまのところはっきりしたことはわかっていないという。

   AFP通信10月5日付によると、登山関係のサイトにこの事件を目撃した登山者本人による記事を掲載、この匿名希望者の記事を次のように引用している。
「何の警告もなくいきなり銃声が響きわたった…明らかに誰かが国境防衛軍に彼らの逃亡計画を知らせていたようだ、というのも国境防衛軍は突然武器を持って現れ、倒れた二人はもはや起き上がることはなかった…」

   AFP通信は、毎年約2500人のチベット人が雪に覆われたヒマラヤ山脈を超えネパール経由でチベット亡命政府のある北インドのダラムサラに向かうと報じている。

   難民センターでは、こうした難民-2000人からときには2500人-をインドへ向かわせる手伝いをしている。二年前にも中国国境防衛軍による狙撃事件が発生したが、犠牲者や逮捕者が何人くらい出たか情報は得ておらず、今回の事件は今年になって初めてのことだった。
   通常、ネパール政府は入国したチベット人を拘留した後、国連難民事務所にひきわたされると、同事務所によってインドへ送られる。しかし中国当局はネパール政府のこうしたやり方に抗議し、彼らを中国に引き渡すべきであると考えている。
   カトマンドゥーのチベット難民受入センターは国連難民事務局の管轄下にあり、ネパールに到着したチベット難民の世話をする責任を負っている。

   VOA10月5日付は、カトマンドゥーのチベット難民センターによる10月4日付報道として、少なくとも2名のチベット難民が9月30日、チベットからネパールに入る途中で中国国境防衛軍に射殺され数名が負傷したと伝えた。
   サウスチャイナ・モーニングポストは、同事件はチョモランマ以西のある街道口で発生、チベット難民センター関係者談として、僧侶、一般人、女性、子どもを含む約42名がなんとかネパールに逃げ込み、詳細は約一週間後に彼らの口から明らかになると報じている。
   ロイター社は、ネパール政府関係者がこの事件を知らないと言っており、フリーチベット運動がネパールと国連難民高等弁務官事務局中国事務所にこの件を調査するよう声明を発表したことを報じた。

撮影に関する記事。


米国、チベット人射殺事件で中国政府に抗議《西 藏 之 頁》 (2006年10月16日付)より
(略)

   チベットの人権グループは、中国国境防衛軍が先週チベットからネパールに向かう僧侶、尼僧、女性、子どもを含む約70人からなるチベット人一行に発砲したと指摘。
   中国政府側は、防衛軍は不法に国境を超えようとした人々を制止しようとして攻撃に遭い、発砲は自衛のためやむを得ず行ったことと説明している。
   AFP通信は、自ら目撃者と語るネパールに逃れた35歳の僧侶の話として、防衛軍はなんら威嚇脅威も受けていない状況下で一行に発砲したことを報じた。

   ルーマニアのテレビ局は14日、防衛軍兵士が国境超えしようとするチベット人に発砲している場面とされるビデオ資料を公開放映した。
   Proテレビ提供のビデオでは、一発の銃声が鳴り響いた後、遠方の人影が地面に倒れ、カメラの傍らである男性が「まるで犬でも撃つみたいだ」と語る。
   ルーマニア最大の民間テレビ局である同テレビ局によれば、このビデオは同テレビ局のカメラマンがヒマラヤ登山探検の際に撮影したものだという
   カメラマンの話では、映っている人影はカメラから約1キロほど離れたところにあるためその身元はわかりにくく、発砲シーンでは射撃手が何を撃っているかわからない。人が倒れた後、起き上がって逃亡開始するが、その後のシーンには雪の上に一人の人影が映し出されている。カメラマンによるとこれが死亡したチベット人だという。
(以下略)

このナンパラ峠で射殺されたのは少年と尼僧だったと伝えられている。

そして、この時の一行にいた子どもが、やはり絵を描いている。その絵をバックにしている
 拷問される僧侶の絵
を描いた子どもの話。ダラムサラからのメールを転載している「うらるんた」さんのblogより。


2008.04.02 0402再び、子供たちの絵
(略)
 去年最初にヒマラヤ越えを目指して失敗し、シガツェの刑務所に半月いた子です。
 彼が今日描いた絵です。描くのを見てて、出来上がったと同時に撮ったもの。
 絵をよく見ると、監獄で僧侶が拷問を受けてる様子を描いています。
 「本当にこんなのを見たことがあるの?」と聞くと、「お坊さんが磔になってるとこは、トラックのうしろに磔になって連れて行かれたのを見たことがあるよ」とのこと。尋問(拷問)部屋のようなその部屋の壁に、いろんな棒のようなものを描いてるので、「これは何なの?」と聞くと「これはいろんな殴る道具だよ」
 「へーこんなとこ見たことあるの?」
 「中で殴られたりしてるとこは見たことないけど、部屋は見たことあるよ」
 「この中国人の手に持ってるもの何なの?」
 「これは電気棒だよ!」
 
 部屋の外、右側にくっつくようにして人が跪いてるとこが描かれてるので「この人、何してるの?」と聞くと、「この人は中の人を助けてくれって頼んでるんだよ。前にあるのはギャワリンポチェの写真だよ」と答えました。

 この子のちょうど後ろに写ってる地図のような絵は、例の、去年ナンパラを越えようとしたチベット人難民に中国軍が発砲して数人が死んだという事件の絵なのです。外国登山隊が撮影したビデオが公開されたやつです。その、まさに一行に加わってた子供が、ここにきて描いた絵だそうです。

子どもが生命を賭して厳寒のヒマラヤを越え、描いたのがこれらの絵だ。

|

« 医療崩壊 医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟第一回シンポジウム@4/12 日比谷公会堂18:00-20:00 | トップページ | ラサ燃える(その37)いまチベットでどんな拷問や弾圧がなされているか »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ラサ燃える(その36)ヒマラヤ越えで仲間が中国国境防衛軍兵士に射殺された子どもが描いた絵 拷問される僧侶の絵も:

« 医療崩壊 医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟第一回シンポジウム@4/12 日比谷公会堂18:00-20:00 | トップページ | ラサ燃える(その37)いまチベットでどんな拷問や弾圧がなされているか »