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2008-04-25

外国人向け反日中国語教材『基礎漢語 下巻("Elementary Chinese" PartII』1972年版 第六十四課「海娃送信」

文革期に作られた外国人向け中国語初級の教科書『基礎漢語』の中から、
 反日感情溢れる名篇「海娃送信」
を繁体字(一部常用漢字に直してある)でお送りします。わたしはこれで中国語初級を勉強しました。


海娃送信

 抗日戰爭的時候,有個孩子叫海娃。他的[父巴][父巴]是游撃隊員。海娃常常替游撃隊送信。
 有一天,海娃正在放羊,[父巴][父巴]交給他一封信,告訴他山下據點裡的日本鬼子要出來槍糧食了,叫他第二天一定要把信送到八路軍張連長。
 海娃馬上[走干]著羊去送信。正走著,突然發現日本鬼子已經來了。怎麼辦[口尼]?-[走干]快把信藏起來!這時候,他看見那只羊的尾巴下邊了。
鬼子見了海娃,就問:”村裡有沒有八路軍?説,不説,殺了爾!” 海娃説:我是放羊的,怎麼知道有沒有八路軍!”
 鬼子在海娃身上搜了半天,甚麼也沒有搜到,就讓海娃給他們帯路。
 走到一個村子,群衆早就轉移了。鬼子不但槍不到糧食,而且連喫的也沒有。他們就殺海娃的羊吃,殺了一隻又一隻。眼看就要殺那只老羊了,海娃很著急,就對鬼子説:”那是只老羊,又有病,不能喫。”鬼子才把老羊放了。
 第二天,鬼子又讓海娃帯他們到另外一個村子去。海娃[走干]著羊走在前頭,鬼子怕[足采]上地雷,遠遠地跟在後頭。海娃知道山上有八路軍,就把鬼子往山上帯。他[走干]著羊越走越快,鬼子在後邊大聲喊:”慢點兒!慢點兒!”可是海娃走得更快了。鬼子正要向海娃開槍,突然八路軍的槍響了,鬼子一個個倒了下去。但是海娃也被鬼子打傷了,昏迷了過去
 海娃醒來,看見幾個八路軍站在他旁邊,就説:”老羊尾巴下邊…”話沒説完,又昏迷過去了。
 海娃再醒來的時候,發現自己[身尚]在床上。張連長坐在旁邊,見海娃醒來,對他説:”海娃,爾真是個小英雄!爾給我們送來一封重要的信。我們知道鬼子據點裡沒多少人了,就馬上和游擊隊一起打進了據點。後來,那些出來搶糧的鬼子也在路上被我們消滅了。”
 海娃聽了高興極了。他説:”[口自]們的槍又多了吧!給我枝槍吧,我要去打鬼子。”

要約すると、日中戦争当時、パパがゲリラだった海娃くんが、明日までに届けろよ、と八路軍宛の密書を預かって届けようとしたところ、日本鬼子に捕まった。海娃くんは、年寄り羊の尻尾に密書を隠した。日本鬼子は、村を掠奪しようとしたが、とっくに村人はいなくなっていて、食料もなかったので、海娃くんの連れている羊を殺して食べていった。密書を隠した羊も殺そうとしたので、焦った海娃くんは「その羊は年寄りで、病気だから、食べられないよ!」と日本鬼子に言って、なんとかバレずに済んだ。
密書を届ける約束だった翌日、日本鬼子は地雷を踏みたくないので、子どもの海娃くんを先に歩かせて、遠くからついていった。海娃くんは山の上に八路軍がいるのを知っていたので、どんどん早く歩き始めた。「ゆっくり、ゆっくり」と日本鬼子が叫んだけど、いよいよ早く行くので、海娃くんは日本鬼子に撃たれた。八路軍も攻撃開始して、この日本鬼子は全滅。
日本鬼子に撃たれて気を失った海娃くんは、最初に目が覚めたときに、「年寄り羊の尻尾に」と言いかけて、また気を失った。次に目が覚めたとき、張連隊長自らが海娃くんのそばに付き添っていて、海娃くんの密書のおかげで、日本鬼子の拠点の襲撃に成功したことを教えてくれた。海娃くんは大喜び、「銃を下さい、僕は日本鬼子をやっつけに行きたい!」

この文章を、中国では小学校で習うそうで、当然、暗唱もするらしい。

この教科書は長い間、日本の国立大学でも中国語初級の教科書として使われていたはずで、多分、この教科書で中国語初級を勉強したのは現在30代後半から40代以上だと思う。わたしが使った頃は、もう人民公社もなくなった後だったので、研究室でこの教科書を音読すると、周りにいる中国人留学生がゲラゲラ笑っていた。
元の教科書は中英対訳になっている。日本語版は東方書店から出版されているが「日本鬼子」という罵言は今の版では「日本侵略軍」に書き直されている。実は、日本語訳された当初の版では「日本鬼子」はそのまま使われている。わたしが使った版は「日本侵略軍」に直っていた。大学の中文研究室で、古い教科書が置いてあるところを漁ると、「日本鬼子」となっている古い版が見つかるかも知れない。ちなみに今回依拠した1972年版の『基礎漢語』では
 鬼子 devil (a detestable name for a foreign enemy)
と英訳されている。
この教科書で中国語を勉強した外国人は、世界中にかなりたくさんいるはずだ。

『基礎漢語』は、題材はこんなんばっかりだけど、中国語の教科書としてのレベルは高い。

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