朝日新聞北京特派員の無知 天体観測機器「渾天儀」を「龍のモニュメント」と紹介
渾天儀というのは
天体観測のための機器
であり、日本にも実物がいくつか残っている。
渾天儀とは
渾天儀の所蔵場所一覧
去る2/29に、北京首都国際空港で
第三ターミナルが運用開始
された。
西日本新聞より。
第3ターミナル 北京空港で稼働 旅客処理大幅に拡大2008年3月1日 00:11
【北京29日傍示文昭】8月に開催される北京五輪の「空の玄関口」となる北京首都国際空港の第三ターミナルが29日、運用を開始した。総面積は98万6000平方メートルで、ひとつのターミナルとしては世界最大という。第三滑走路(長さ3800メートル)も同時に運用を開始し、同空港の1日の発着能力は現行の1000便から1700‐1800便に大幅拡大した。
同空港の利用旅客数は年々増加を続け、昨年は世界9位の延べ5347万人に達した。第三ターミナルの稼働で旅客処理能力は同7600万人に拡大し、常態化していた離着陸の遅れも解消されるとみられる。総工費は約270億元(約4000億円)。
同空港によると、第三ターミナルを使用する航空会社のカウンター移転は2段階で行われ、29日からはブリティッシュ・エアウェイズなど6社が運用を開始。日本航空、全日本空輸を含む20社は3月26日からとなる。
=2008/03/01付 西日本新聞朝刊=
で、第三ターミナルのチェックインカウンター前には
渾天儀
が置かれている。
Check-In
この渾天儀は
南京・紫金山天文台に置かれている明代の渾天儀のレプリカ
である。
南京・紫金山天文台の渾天儀。2005年10月に南京に調査に行ったときに撮影したもの。
渾天儀の柱には、龍が装飾で使われることが多い。
南京・紫金山天文台の渾天儀の説明板。
上の写真から、中国語の部分を翻字してみた。
渾儀
中国古代用以測量天体位置的主要儀器、西漢洛下閎曽制作過渾儀。此儀鋳造于明朝正統年間、由三重環圈組成、可測天体的赤道、黄道和地平座標。環上刻有周天365 1/4度及百刻度、這是中国古代天文学所特有的。八国連軍入侵北京時、此儀被掠至徳国柏林、1920年帰還我国。
上記の注釈。
明の正統年間(1436-1449)
八国連軍=義和団の乱(1900)に北京に入った八か国連合軍
徳国柏林=ドイツ・ベルリン
写真のものは明の正統年間につくられた渾天儀で、三重の輪から成り、赤道・黄道・地平座標を観測できる。義和団の乱のときに、北京に八か国連合軍が入城し、ドイツ軍がこの渾天儀を劫掠してベルリンにもっていったが、1920年に中国に返還した、という数奇な運命をたどっている。
つまり
南京・紫金山天文台の渾天儀は、中国の15世紀の科学技術の水準の高さを示す文物
であるわけなのだが、何を血迷ったのか
今朝の朝日の朝刊 大阪本社版(13版)週刊アジアの「2008北京奥林匹克」
では、この渾天儀のレプリカの写真を掲載した上で
巨大な北京首都国際空港の第3ターミナル。
竜のモニュメントが飾られていた。
=北京、林敏行撮影
というキャプションを付けている。
龍のモニュメント
って何よ?
中国語でググると、第三ターミナルの説明に
渾天儀
について書いてある文書があるんですが。
だいたい、今回の第三ターミナルは
中国の文化環境を紹介する
という一大テーマがあるわけで、単なる
龍のモニュメント
なんてものを、わざわざ国家の威信を懸けて新設した第三ターミナルに置くはずもない。
ま、朝日の北京特派員の質も落ちまくってますな。
中国の文化には敬意を持たず、「金」にばかり目がいってる
ってことでしょう。ましてや
義和団の乱でドイツが掠奪したという歴史のある渾天儀
なのだ。だからこそ、わざわざ国際ターミナルのチェックインカウンターのところに置いたりするんじゃないのかね。この渾天儀のレプリカには
たとえ外国が中華民族を蹂躙しても、我々は負けない
という意思表示も含めてあるはずだけどね。
中華人民共和国がお友達認定している朝日のレベルがこの程度なんだから、空港の意匠設計担当者は嘆息してるかも知れない。いや
やはり日本人は劣等分子
と胸をなで下ろしているかも。そういう意味では、
中華の僕
という立場からは、よかったのか?朝日新聞北京総局。
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