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2008-05-18

「マスコミたらい回し」とは?(その122)横浜焦土作戦で神奈川県の産科を崩壊に追いやる共同通信の次の攻撃破壊目標は「医療系blog」→共同通信にまた一つ勲章「飛び込み出産お断り」という決議がある首都圏産婦人科医会でなされる

共同通信といえば
 横浜焦土作戦
だ。
 2006年夏の堀病院無資格助産ガサ入れ
によって、そうでなくても看護師・助産師不足の現在、
 必要な助産師を手配できない全国の産科が「分娩数制限」や場合によっては廃院に向かった
のは、記憶に新しい。堀病院産婦死亡事例の遺族が共同通信記者氏であり、警察に積極的に働きかけて、堀病院ガサ入れに持ちこんだ、とご本人が明言されている。亡くなられた産婦さんには、心からご冥福を祈るのであるが、全国の産科および妊産婦にどのような被害をもたらしたかを考えると、共同通信記者氏のやり方には、非常に疑問を覚える。
 2007-06-08「マスコミたらい回し」とは? (その66) 共同通信による「横浜焦土作戦」成功 横浜市内から、産科医次々と立ち去り現場は疲弊
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/06/66_c267.html
 2007-06-15「マスコミたらい回し」とは? (その67) 共同通信による「横浜焦土作戦」更に進む 横浜栄区でついに分娩施設ゼロ 年間500件のお産を取っていた横浜栄共済病院が4月以降新規分娩受付中止
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/06/67_5004_cf70.html
 2007-06-17「マスコミたらい回し」とは? (その70) 共同通信の「横浜焦土作戦」を数字で見る
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/06/70_9e7c.html
 2007-09-10「マスコミたらい回し」とは?(その105)共同通信の「横浜焦土作戦」を毎日新聞神奈川支局が更に「アシスト」
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/09/105_ccaa.html
 2007-11-19「マスコミたらい回し」とは?(その110)共同通信による「横浜焦土作戦」の無惨な大勝利 急変した妊産婦と赤ちゃんの生命を危機にさらしているのは無責任な「産科叩き」記事配信
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/11/110_9749.html
 2008-03-14 産科崩壊 すでに自分の病院でもキャパシティ超過なのに助産所から異常分娩を受けられるとは思えない 共同通信の「横浜焦土作戦」が助産所廃院に飛び火
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/03/post_f1c4.html

さて、今日、共同通信は以下の記事を全国のメディアに配信した。


ネットで横行、患者中傷 医療事故被害者が標的に

 医療事故で亡くなった患者や家族らを中傷する内容の書き込みがインターネット上で横行しているとして、事故被害者の遺族らが18日までに、実態把握や防止策の検討に乗り出した。悪質な事例については、刑事告訴も辞さない方針だ。

 遺族らは「偏見に満ちた書き込みが、医師専用の掲示板や医師を名乗る人物によるブログに多い。悲しみの中で事故の再発防止を願う患者や遺族の思いを踏みにじる行為で、許し難い」と指摘。

 厚生労働省も情報を入手しており、悪質なケースで医師の関与が確認された場合は、医道審議会で行政処分を検討する。

 中傷を受けた遺族や支援する弁護士ら約20人は4月、大阪で対策協議会を開催。日弁連人権擁護委員の弁護士も出席した。会場では被害報告が続出し、今後も情報交換を続け、対応を検討することを確認した。

2008/05/18 17:37 【共同通信】

要するに
 医療系blogで医療事故などについて議論するのは法的手段に訴えてでも止めさせる
ってことだな。

非常に残念な話なのだが
 人間の死亡率は100%
だ。いついかなる原因であるかは、千差万別だが、人間は必ず死ぬ。
医療関係の訴訟では
 避けられない死や重い後遺症をいかに「納得させるか」
が、常に裁判の焦点となる。たとえば
 常位胎盤早期剥離
という、
 予測不可能で、いったん常位胎盤早期剥離となったら、赤ちゃんは半数近く死亡し、場合によってはお母さんも亡くなってしまう恐ろしい病気
がある。妊婦検診もきちんと受診し、経過も順調で、何事もないと考えられていた普通の妊婦さんが、突然襲われる病気だ。常位胎盤早期剥離をご自身で診られた産婦人科の先生達は、異口同音に
 常位胎盤早期剥離が発症したら、いつ何時、赤ちゃんもお母さんも助からないことが起きても不思議はない
と仰っている。
医学的な詳細は、"tyama"先生の「ある産婦人科医のひとりごと」の次のエントリーをご覧下さい。
2006/01/24 常位胎盤早期剥離について
常位胎盤早期剥離の処置と死亡率については、上記記事に、次のように記されている。


常位胎盤早期剥離は母児の命にかかわる非常にこわい病気ですが、いつ誰におこるのかは全く予想ができません。いかに医学が進歩したとはいえ、この病気の発症を予測することは未だに不可能です。(略)適切な予防法もありません。常位胎盤早期剥離がおこった場合に発症後できるだけ早く診断して緊急帝王切開などの母児の緊急救命処置を行うことが、我々にできる唯一かつ最善の道です。たとえ来院時にすでに胎児死亡になっていたとしても、母体のショック状態、DICを早急に改善させて、大量輸血の準備が整い次第、直ちに帝王切開で胎盤及び胎盤後血腫と胎児を子宮から取り出さないと、胎児ばかりではなく母体の生命にも危険がおよびます。

常位胎盤早期剥離は全妊娠の0.44~1.33%程度に発症すると言われてます。(略)来院時にすでに胎児が弱りきっていると、緊急帝王切開で児を娩出して新生児科医に蘇生処置を実施してもらっても脳性麻痺などの障害が残る場合もあります。自宅で発症した場合や他院からの母体搬送例では、来院時にすでに胎児死亡となっている場合が非常に多いです。
常位胎盤早期剥離の母体死亡率は4~10%、児死亡率は30~50%といわれています。発症のリスク因子としては妊娠高血圧症候群、絨毛羊膜炎、骨盤位に対する外回転術などがあります。また、前回の妊娠でこの病気を発症した場合には、今回の妊娠での反復率は5~10%と極めて高率となり発症率は約10倍に増加するので厳重な管理が必要となります。

常位胎盤早期剥離の発生率は、現在は
 全妊娠の0.1%(Cunningham MD : Placental abruption. WiHiams’Obstetrics,21st ed pp621-630, MCGraw-Hill,2001.による)
とされているようだ。平成19年の人口動態(推計値)では
 出生数は109万件
と推計されている。この中には双胎以上の出産も含まれるが、分娩数とほぼ同じと見なすと
 1090000×0.1%=1090
となる。全国に登録されている産科医数は12000人ほどだが、実働人数は7000人と以前見積もった。すると
 1090/7000=0.156
となり、1年に16%の産科医が遭遇している計算になる。単純計算すると、年間、日本の産科医の6人に1人が診ている疾病なのだから、致命的な恐ろしい病である上に、重症例が搬送される二次・三次の産科救急では、かなりの頻度で治療にあたることになるだろう。産科救急の現場では、辛い経過をたどる重篤な疾病として、広く知られているだろうが、一般の妊産婦やその家族には、「予見も予防も出来ない、常位胎盤早期剥離という恐ろしい病気がある」こと自体があまり知られてないと思われる。

胎盤は胎内の赤ちゃんに酸素と栄養を供給している。その胎盤が突然剥がれ落ちて、機能しなくなるのが、常位胎盤早期剥離が赤ちゃんに与える最大の影響である。発症直後、迅速に帝王切開できないと、赤ちゃんはあっという間に状態が悪くなり、残念ながら死亡するに至る。胎盤が剥がれ落ちるということは、
 赤ちゃんに酸素と栄養を与えていた「ポンプ」がなくなってしまう
ということだ。酸素を供給されなくなった赤ちゃんは「窒息」する。
そして、そのままだと、お母さんも大出血をして、それが元で亡くなってしまうのだ。だから
 帝王切開が出来る手術設備
だけではダメで、
 大量の輸血準備と、大出血後の凝固因子管理
ができる大病院でないと、命は助からない。大出血をすると、出血性ショックや、身体中にごく小さな血栓が大量にできる播種性血管内凝固症候群(DIC)が起こる。DICが起こると血液中の凝固因子が不足し、血がまったく固まらなくなる。一方で、小さな血栓が微細な血管の血流を妨げ、血が行かなくなるから、全身の臓器が機能不全に陥る。
こうなると、まずお母さんの命を助けるためには、止血しなくてはならない。止血するためには、凝固因子を大量に身体に入れなくてはならない。大量の凝固因子を入れるということは、今度は
 微細な血栓が大量にできてしまった身体に更に血栓を作る種を大量に入れた
ということになるので、出血が止まった後は、
 身体に出来た微細な血栓を溶かし、血栓が体内で悪さをしないように凝固因子の監視・管理
しなくてはならないのだ。微細な血栓は、身体のあちこちで悪さをするが、代表的なのものは腎臓の微細血管の血流を悪くすることで起こる乏尿、無尿などの症状で、透析で症状を改善するなどの治療が行われる。

なな先生は、赤ちゃんはダメだったが、お母さんが助かった例を経験されたことがあるという。なな先生のblog「ななのつぶやき」より。
 2008.05.15 18:50 常位胎盤早期剥離の経験
この事例では、お母さんは結局ICUで透析を受けるなどしたが、無事退院されたという。
mariko先生のblog"mariboo's blog"では、常位胎盤早期剥離を疑い、緊急帝王切開に切り替えた結果、母子ともに無事だったが、お母さんは正常分娩を望んでいたので、帝王切開で産んだことを悩んでいた様子だったという記事がある。
 2006年09月29日 早剥について・・・
部分剥離が起きていたということなので、迅速な判断が母子の命を救ったのだけれども、常位胎盤早期剥離は前兆がないし、まれな病気だから、医学的知識がなければ
 どうして
と思ってしまうのだろうな。医師がベストを尽くしても、必ずしも患者さんには感謝されるとは限らない、ちょっと悲しい印象の残るお話である。
Hirn先生が経験された例では、赤ちゃんはダメだったが、お母さんは助かった。[phenomenon]より。
2008-05-07 常位胎盤早期剥離の自験例
この時は、Hirn先生は救急車に同乗されて、20分かかって、大きな病院に妊婦さんを搬送した。お母さんはDICから乏尿になり、人工透析などの治療を受けて、半月後に退院されたという。Hirn先生は


もし、発症からもっと長時間経ってたら。
もし、DICがもっと重症だったら。
もし、羊水塞栓を発症したら。
もし、搬送先がなかなかみつからず、見つかった先が遠方であったなら。

かなりの確率でこの方の生命は今は無かったはずです。

この方がそうならなかったのは、運でしかありません。

とまとめられている。常位胎盤早期剥離が起きたとき、赤ちゃんやお母さんの命が助かるかどうかは本当に
 幸運か否かにかかっている
のであり、これは医療の及ばない要因である。「常位胎盤早期剥離」と医師から告げられたら、母子共に喪う覚悟をしなくてはならないのである。予防法もないし、予見も出来ない。

医療現場で何かトラブルが起きる。
もし、それが常位胎盤早期剥離のような
 予測しがたく、一度発症すると、赤ちゃんの3人か2人に1人は亡くなり、お母さんの10-25人に1人は亡くなってしまう難しい病気
であれば、恐らく、懸命の治療が施されていたとしても、その結果に納得されないご家族も出てくるだろう。
医療系blogは、こうした「納得されないご家族」を非難するためにあるのではなく、「どうして大きな問題が起きたのか」という側面を中心に見るものが大勢だと思う。医師は、医療従事者であると同時に科学者だ。どんな医師であっても、受け持った患者さんの死を経験していない医師というのは1人もいないはずである。そして、すべての医師はそうした死を自分に突きつけられた課題として、次の治療に役立てるため、さまざまな議論をする。
科学と感情とは相容れない部分がある。ご遺族は感情によって、まず、行動を起こす。「大事な家族が傷ついた、亡くなった」という感情が、医療訴訟に向かう。
科学者の分析手法は、感情が支配する世界から見れば、冷酷に過ぎるように見えるかも知れない。しかし、科学は常に進歩しなければならない。昨日助からなかった患者さんが、明日は新しい知見によって、助かるようになるかも知れないのが、医学の進歩である。
しかしながら、こうした「医療の進歩」を妨げる風潮が、マスメディアを中心にして起こっている。甚だしい例が
 無資格助産(具体的には内診)問題
であり、これによって、現在全国の産科が立ちゆかなくなりつつあることを、その原因を作ったマスメディアは決して語らない。
共同通信には、是非、
 メディアの責任として検証
していただきたいものだが、どうやら
 検証するより、うるさい医師や関係者の口を塞ぐ
方向に行くようである。
法律論は常にあるし、利害の相対する者同士で議論は常に起こるだろう。ただ、それを一方的に
 中傷
という名前に塗り込めることが、医療崩壊の進む現在、マスメディアのすべき
 賢明な報道
なのかどうかというと、わたしは疑問に思う。しかも、共同通信の配信記事は
 全国の媒体でそのまま流されるニュース素材
なのである。影響力の大きさは、段違いだ。
今、「医師が中傷を行っている」という、「中傷している」ソースを受け手が確認できないニュースを流すことによって、
 医師の信頼を傷つけ、患者と医師を離反させる意図
が、共同通信の医療報道の根幹にあることは否めない。そんなに
 共同通信社員は、病院にかかりたくない
のか。そして、家族が病院に絶対にかからないのか。自分は
 絶対に医療の世話にならず、「畳の上でいかなる治療も受けずに死ぬ」覚悟
があるのか。人間の死亡率は100%だ。共同通信社員はマスコミ特有の激務で身体をすり減らしているから、それほど健康な状態ではないと思われる。死因は事故でなければ、心疾患や脳疾患、癌のいずれかである可能性が高い。いずれも高度医療による治療が必要である。これから世話になるだろう医師を散々非難しつづけ、いままた反医師キャンペーンを張って、なおかつ
 病気になったら、最上の治療を安く受けたい
などと考えているのだったら、無責任も甚だしい。こうした
 反医師キャンペーンを張り続ける
間に、医師や医療スタッフは現場から立ち去り、いざとなったとき、
 今なら助かっている病気やケガで、簡単に死ぬ時代
に変わっている事だろう。すでに、地域によっては、心疾患や脳疾患の手術ができなくなりつつある。癌なんて、もっととんでもない。
アメリカがもし「皆保険」になったら
 日本から医師を輸入するだろう
という観測もある。医師をアメリカが輸入するということは
 日本から医師が流出して、あっという間に日本が医師不足、医療資源欠乏国になる
ということだ。労働条件さえ折り合えば、長い受験戦争を勝ち抜いたエリートである医師(ということをメディアは忘れ去っているのではないか。どうみても、あまり勉強熱心ではない西川史子医師が、日本の医師の標準像ではない)は、進んで英語をブラッシュアップし、アメリカに渡るだろう。前にも警告したが
 若い、上位クラスの医師から海外流出を始める
のだ。若い優秀な医師が日本を棄てるということは、
 将来の日本の医療環境は、先進国のレベルを維持できなくなる
ということに等しい。医師は、医療従事者であるとともに、若い後進の医師を指導する役割を担っている。優秀な若い医師は、将来の指導医だが、その層がごっそりいなくなるのだから、
 日本の医療はどんどん凋落する
のだ。若い優秀な医師が海外流出する徴候はすでに見え始めている。
こうした、とっくに日本の医療が危機にある状況であることを踏まえた上で、いまわざわざ
 日本の医療凋落の引き金を引く「反医師キャンペーン」

 共同通信が荷担
しているということは
 日本の将来を破壊する言論を推進している
ということに他ならない。要するに
 日本中の医療を必要としている、これから必要とするすべての国民の利益を損なう報道を続けている
ということなのだが、よほど
 国益を損ないたい事情が共同通信にはある
らしい。国民が健康的に生活する権利を奪うことに、共同通信が血道を上げている理由を是非知りたいものだ。たとえば、日本から優秀な若い医師を海外に輸出し、日本の医療水準を低下させることで、何か、共同通信は大きな利益でも得られるのか? アメリカに日本の医師を紹介する人材バンクにでも多額の出資をしてるのか?

なな先生の上掲記事のコメント欄で、K&R先生が、心にしみる言葉を綴られている。


専門は違いますが、細心の注意を払っていても、不幸な転帰をたどる患者さんは避けられませんね。どの科でも同じです。

精神科では、悪性症候群が避けられません。滅多にないのですが、悪性症候群の致命率は今もかなり高いのが実際です。薬の影響で致死的な不整脈が出ることもあります。十人くらい経験していますが、大切なのは家族への説明ですね。古典的な病像ですが、急性致死性分裂病の話とセットで説明しています。治療しなかったら、昔は、多くの人がそのまま亡くなっていた、残念ですが、懸命に立派に病と戦われ、最後は苦しむことなく、息を引き取られました、と説明しています。

手の施しようがなく、そのまま死なせていた時代から、高度な医療を施すことが可能になったが故に、却って「諦めきれない」気持ちが増大し、甚だしくは
 手術すれば、完全に元通りになると言う錯覚が蔓延している時代
である。そのため、医師はいくら努力をしても、感謝されることは少なくなってきている。
最近、身内が膝の手術をした。経過を聞いたら
 3cm位の踵のある靴が履けない、手術したら元通りになるって聞いたのに
と文句を言っているので、
 それはムリだよ〜。手術して「元に戻る」っていうのは「割れたお皿を接着剤でくっつけた」のを「元に戻った」って言ってることだからね。割れたお皿は、割れる前と同じようには扱えないでしょ? ヒールのある靴なんて、膝に負担が掛かるから、せっかく手術したのに、また悪くなるよ。自分の足で歩き続けたいなら、ムリはしないでね。
と説明したら、やっと納得してくれた。
手術してくださった先生、リハビリを担当して下さった先生、どうもありがとうございました。元気になったので、ちょっとわがままが出たようです。本人は納得したようですので、今後もお見捨てなきようにお願いします。

慢性病を抱えている身内なので、通院歴は長いのだけど、それでも、普段掛からない整形外科のことはあまり理解できてないのだった。病院になじみのある人間であっても、この程度の理解力なのだから、滅多に病院にかからない家だと、治療に関して、
 患者や家族が想定していた「元通り」にはならない事実を納得する
のはもっと難しいだろう。医師が説明する
 元通り
は、
 医学的に積極的な治療を施す必要がない程度
だ。決して
 手術する前の、一番元気で、何事も問題のない状態に戻る
わけではない。

おまけ。
首都圏の産科がとんでもないことになっている。「横浜焦土作戦」を推進してきた共同通信にはまた一つ勲章が増えた、ってことですね。
Yosyan先生の「新小児科のつぶやき」より。


2008-05-04 ある宣言
舞台は首都圏に属するある産婦人科医会での会議です。出所を伏せなければならない関係上ボカしていますが掛け値無しの実話ですし、時期もごく最近です。この地区でも産科危機と言うより産科崩壊は確実に進行しており、分娩予約は妊娠のごく早期に行わないと不可能な地域に属します。
(略)
煮詰まった挙句なんですが、ちょっと信じられないような宣言が採択されることになります。言っておきますが、これはブログや某巨大掲示板の話ではありません、ごく普通の産婦人科医会の話なのです。宣言内容は、
 この地区では飛び込み分娩を一切引き受けない
画期的といえば画期的ですし、飛び込み分娩問題で開業医も基幹病院も同意する提案はこれしかないと言えばそうなんですが、素直に驚きます。もっとも会議段階では勇ましくても現実の発表段階になればもっとマイルドな表現となり、マイルドすぎて実効の無いものになる可能性は十二分にありますが、もしこのまま宣言されれば大変な事になります。
予想される事態は二段階です。
 第一段階:マスコミ、住民、自治体からのバッシング
 第二段階周辺地区の同調
第一段階で宣言を引っ込めれば、とりあえず事は小さく収まります。収まったところで何の問題の解決にもならないのですが、とりあえず表面上は収まります。表面上は収まっても今度は基幹病院産科医の間で不満が内向してさらに強くなり、医師逃散から基幹病院が機能麻痺にでもなろうものなら、地区の産科医療は根こそぎ崩壊する危険性が出てきます。
第一段階をクリアするか、もしくはこの宣言が受け入れられたりすれば、周辺地区は一斉に右へならえになります。第二段階の始まりです。産科医療の危機的状況は会議が行われた地区だけではなく、周辺地区も同様ですから、宣言に同調しないと行き場を失った飛び込み妊婦が雪崩れ込んでくるからです。雪崩れ込みを防ぐには自分の地区も宣言する以外に手はありません。宣言自体は医師として抵抗があるものですが、既に先例ができ、宣言しないと自分のところに危険が降って来るとなれば次々と飛び火するのは目に見えています。
飛び込み妊婦もある意味切実ですので、未宣言地区を探して周り来襲します。飛び火はやがて大火となり全県を覆うまでは時間の問題となります。大火が全県を覆っても飛び込み妊婦は消えるわけではないので、今度は隣接の都県に流れる事になります。首都圏で目指されそうなところはやはり東京でしょうか。東京がそんなに余裕があるとは間違っても言えませんし、東京の産科医が喜んで飛び込み分娩を引き受ける道理もありません。そうなるとになりますが、最終的に全国に飛び火する危険性も出てくるわけです。
もちろんそこまで火の手が拡がるかは分かりませんが、一つの地区の決定が全国の産科に影響する可能性はあると考えます。産科医療の戦力は極言まで薄く伸ばされ、なおかつ伸ばされすぎてあちこちに亀裂が入りかけている状態です。この宣言自体は産科戦力に余裕があれば、キリで小さな穴を開けた程度のものですが、現在の産科事情なら、小さな穴が見る見る広がってズタズタに切り裂いてしまうインパクトを秘めています。
杞憂に終わるのか、明日の現実になるのか。ちなみにこの産婦人科医会の出席者はおそらく10人程度、多く見積もっても15人は越えませんから、たったこれだけの産科医の宣言が日本の産科を大きく揺り動かすかもしれません。
(以下略)

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コメント

 現場ではすでに仕事で「手がいっぱい」の状況で新しく重症度の高い患者
さんを引き受ければ、両方とも失う可能性があるだけに・・・こういう判断
をなされても仕方ないのでは?
 リスクをセーブするのは医療サイドとして正しい判断です。むしろこういう
判断をしたのなら、県知事や厚生労働大臣レベルで「対策」をきちんと打ち出
してもらって、問題が解決するように働きかけなければ、解除しないというの
が正しいのでしょう。ま、助産師に正常分娩をぜひお願いして協力してもらう
しかないですねぇ。はい・・・ま、K通信の記事が伝えるほど、最近、そんな
医療系ブログありましたっけ?(コメントで時々患者さんも読むかもしれない
のに・・・乱暴だなぁって思う程度なのですがね)。むしろこういう言論に
よる言葉狩りみたいなものを率先して新聞やマスコミが積極的に「いえる立場」
なのかと思ったりします。

投稿: skyteam | 2008-05-19 01:33

>西川史子医師
いや、芸能人として、「医師免許」もっているタレントとしては、なかなか、期待されるキャラが立っていると思います。
細かい最先端のことは、それぞれ、たいそうな肩書きをもったエライ先生を分野ごとにご招待して解説して頂けばいいのですから。
木下先生(ジャガー夫)とともに、芸能界にも逃散可能だというをりっぱに証明しています。
芸能人は、医師免許みたいに、資格を持っていればできる仕事じゃないから、継続していることを尊敬しています。

投稿: 麻酔科医 | 2008-05-19 09:06

某高校教師グループが背後(というか北海道新聞では名前入りでコメントがありました)でやっているようです。

彼らは医師の言動を「中傷」と言いますが、それでは、彼らが講演会などで今まで散々言ってきた「日本の医師はレベルが低い」などの言動は中傷ではないのでしょうか?根拠はどこにあるのですか?自分達のことは棚に上げて人の言動を「中傷」って...

先に医師のことを「中傷」してきたのは彼らです。こちらに謝罪や処分を求めるなら、まず彼らがするべきではないのでしょうか?

投稿: 暇人28号 | 2008-05-19 12:33

http://www.shinmai.co.jp/news/20080513/KT080513FSI090008000022.htm

 記事中には書かれていませんが、この事件の患者さんの遺族は法律関係者のようですね。

 憤りを晴らすためには刑事告発して事件化し、報道によって医師の名誉を毀損する主張を声高に述べる機会を確保するのが当然と考えているように思えるのですが、どうなのでしょう。

 また、個人的には、患者さんや遺族が医師を中傷していると取られかねない発言をするのは、情としてやむを得ないと考えていますが、それと自分たちが批判されない保証を求めるというのとは別の話です。

 毎日新聞をはじめとして、いまでも多くのマスコミ関係者は患者さんと遺族に極めて同情的であり、医者からの批判に対して堂々と抗議し、広く報道される機会はむしろ医者よりも豊富にあります。

 批判に対しては反論する機会があるのであって、それを法によって封じようという方法論は、本質に於いて議論を圧殺し、真実から遠のく危険を大きくするものと考えます。

 この件に関しては、議論を封じることによる社会に対する危険は看過されるべきでないと考えます。

投稿: rijin | 2008-05-19 17:03

自分はこの報道、京都新聞の朝刊で知りました。

悪質な文章が、最近目立ちすぎます。患者側の人間であれば何を言っても許される、というのは甘え以上に、人間性の喪失です。患者側の人間が、彼ら悪質なメディアと同じ態度をとってしまうのか、はたまた正しい選択をすることができるのか・・・「生温かく」見守るしか、ないのでしょうか・・・?

投稿: 鴛泊愁 | 2008-05-19 19:59

漢っすねー。
思いっきりストレートに書いてますねw

患者にとって都合の悪い事実を「中傷」っていうのは、違うと思いますがねー。
まだ、こんなくだらない事書いてるマスコミもあるんだねー。

投稿: Dr. I | 2008-05-20 22:10

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