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2008-05-23

かんさい熱視線「産科再開 引き受けます」@5/23 19:30-19:55 関西ローカル

4月から番組名が「関西クローズアップ」から「かんさい熱視線」に変わった、関西ローカルのクロ現相当番組。
今夜は
 嘱託医の身分で産科再開
というお話。
番組紹介文。


かんさい熱視線 5月23日(金)

産科再開 引き受けます

産科医の不足によって分娩中止に追い込まれる公立病院が相次ぐ中、医師自らが立ち上げた医師紹介業が、分娩再開を実現させて注目を集めている。兵庫県伊丹市の「やすらぎ医療サービス」。ここでは、「週休2日、当直勤務週1回程度」などの“適正な勤務”を条件に病院に医師を紹介、過酷な勤務を緩和することで、産科医の減少に歯止めをかけようと取り組んでいる。“産科崩壊”の危機を食い止める鍵となるのか、その試みを取材する。

取り上げたのは
 兵庫県市立川西病院の産科再開
の話だった。川西病院の産科は3人いた常勤医の内、1人が辞めることとなり、2人では当直が回らなくなるために、休止が決まったのが2005年11月のことだった。
神戸新聞2006年7月25日付の記事。


<ゆらぐ地域医療>兵庫県内公立病院 医師確保へ躍起 民間にあっせん依頼 地元出身者を発掘 ネットや雑誌で公募
2006.07.25 朝刊 30頁 朝二社 (全786字) 
県内公立病院 医師確保へ躍起 民間にあっせん依頼 地元出身者を発掘 ネットや雑誌で公募

 地方を中心に医師の不足が問題となる中、兵庫県内の公立病院が、あの手この手で要員確保を図っている。民間あっせん業者に頼んだり、地縁絡みで集めたり、インターネットで募ったり…。さらに医師の待遇も改善をするなどして急場をしのぐのに躍起だ。(浅野広明)

 従来、医師の供給源だった大学医局は、二〇〇四年度に始まった臨床研修制度で民間病院などに研修医を取られるようになった。医局は、人手不足を補うため、医師を派遣していた各地の病院から、医師を引き揚げている。一方、新たな医師派遣のシステムは確立されていない。

 川西市立川西病院は昨年十一月、産科医師の退職に伴い分べんを休止した。ところが、市民から苦情が殺到。七大学に医師派遣を依頼したが、すべて断られた。そこで産科医を派遣する民間業者と交渉し今年四月、嘱託医二人を確保し再開した。細川利成事務長は「何とか見つけたが、本来、国が対策を取ってくれないと」と困惑する。

 医師不足が深刻な但馬地方で目立つのは、地元出身者の“発掘”。住民の情報などから、出身者を探し、直接交渉する。「地元の人なら定着してくれる可能性が高いはず」と豊岡、八鹿、香住総合、浜坂の各病院が取り組む。その結果、昨年七月、豊岡病院が、減少傾向だった消化器科の医師を県外から呼び寄せることに成功した。

 インターネットや医学雑誌などで募集する病院もあるが、反応はよくない。十二の県立病院を運営する県病院局も、〇四年にネット公募を始めたが「応募はまだゼロ」。

 手当の増額や年俸制の導入で、医師の待遇を改善した病院も。小野市民病院は「働きやすい環境を」と本年度、医師向け住宅を整備し当直室を増築する。臨床研修に来た研修医に定着してもらおうと、研修プログラムを充実させる病院も多い。

神戸新聞社

この「民間業者」が
 やすらぎ医療サービス
である。
日経メディカルオンライン2007. 4. 10号に、「やすらぎ医療サービス」が紹介されている。


2007. 4. 10 現役産科医が編み出した待遇改善の秘策 公立病院でも真っ当な勤務条件と給与を保証できるわけ
風間 浩=日経メディカル
(略)
 やすらぎ医療サービスは、2002年に阪大出身の産婦人科医である山口正明氏が同門の医師仲間と共に作った会社。当初は、産婦人科医が1人しかいない民間医療機関などに対する急病時の代診サービス、健診業務などを行っていた。

 その後、2004年10月に、会社設立メンバーである3人の産婦人科医が共同で、瑞祥会みずほレディースクリニック(兵庫県伊丹市)を開設するのをコンサルティング会社の立場で支援した。小倉氏は同クリニックの院長でもある。

 公立病院の産婦人科運営を始めたのは2006年4月。大阪府・兵庫県の2つの市立病院が大学から産婦人科医の引き揚げを通告され、産科の継続が危ぶまれ、同社に支援を求めたのがきっかけだった。
(略)
 「公立病院では常勤医が当直しても1回2万〜3万円程度なのに、外からのアルバイトには10万円払っている病院もある。バイト代も産婦人科の運営に実際かかっている費用。当社にすべて任せてもらえれば、病院側にとっても妥当な費用の範囲で、産婦人科医の労働条件を改善し、収入を大幅に増やすことができる」と小倉氏は説明する。

というわけで、市立川西病院とは
・残業なし
・当直は週一回
・医療事務はコメディカル(医療クラーク)をつける
・医師1人当たり一ヶ月に担当する分娩数は10件程度(年間120件が適切な分娩数とされている)
などの条件の下に
 嘱託医師
という立場で産科医を送り込んでいる。標準的な勤務は
 週四日勤務当直1回(当直日は通常診療〜当直〜通常診療の32時間勤務)
になっている様子が、紹介されていた。さすがに人数が人数だから
 当直明けは帰宅
という勤務形態にはできないようだ。他の公立病院で常勤医だった頃は、毎月、フルに宿直が入ってたという藤井光久先生は、
 いまは余裕を持って診療に当たれる
とコメントしていた。番組では36週の早産の搬送を受けて、自主的に残業をこなす姿も紹介されていた。

市立川西病院では、現在、
 月20件
の分娩制限を行っている。兵庫県のこの地域周辺は、産科閉鎖が相次いでいる地域でもある。番組では、分娩制限であぶれた妊婦さんが、近隣の宝塚・伊丹・尼崎・大阪などよその地域でお産をすると軽く触れられていた程度で、川西病院からどのくらいの妊婦さんがあぶれているかという実態については、よくわからなかった。
ちなみに、市立川西病院では、医師名簿を見ると、産婦人科だけでなく
 麻酔科も嘱託医2人
で回している。

番組では、「やすらぎ医療サービス」を立ち上げた、山口正明医師のインタビューが中心となっていた。
医療従事者に余裕がない、過重労働が続く職場では、過労のために医療事故が起きやすい。そうした環境を取り除くことで、医師が働きやすく、患者さんも安心な医療現場をつくる、というのがその主張だった。
印象的だったのは
 聖地舞鶴
と揶揄される
 舞鶴医療センターにかつて勤務していた産婦人科の先生
が、この「やすらぎ医療サービス」のメンバーだったことだ。舞鶴で子どもを産むのは大変だ。総合病院で、産婦人科と小児科とが同じ病院内でフルに機能しているところがない。
 舞鶴市民病院→分娩休止
 舞鶴医療センター→助産師外来のみで小児科とNICUあり
 舞鶴赤十字病院→産婦人科休診
唯一、舞鶴共済病院だけに、分娩の出来る産婦人科がある。でも、舞鶴共済にはNICUはないようなので、問題があったら、舞鶴医療センターに搬送、ってことなんだろうな、たぶん。舞鶴市民病院産婦人科は京都府立医大系列だったような気がするんだが、引き上げちゃったのかしら。
激務の末、辞めざるを得なくなったことを、この先生はいまでも無念に思っておられるようなんだけど、産婦人科医を辞めなかったのは、まだしも救いだろう。
番組では、
 やすらぎ医療サービスの面接を受ける30代産婦人科医
も登場、
 当直のない内科に行こうかと思ったこともあった
という、この先生は、産婦人科医を続けたくて、「やすらぎ医療サービス」の面接をうけてらっしゃるのだ。
スタジオではおなじみ城西大学の伊関友伸先生がコメンテイターだった。伊関先生、このところ、NHKにでずっぱりですね。

嘱託の産婦人科医で産科を回すというのは、一つのアイデアだが、あくまでも対症療法だろう。「やすらぎ医療サービス」がターゲットとしている、公立病院の全診療科が同じやり方でうまくいくかどうかは、未知数だ。
 

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コメント

http://sanhujinkai.blog.ocn.ne.jp/blog/
こちらがblogですね。
個人的にはかなり応援してます。
(別に何かをしているわけではありませんが。)

投稿: physician | 2008-05-24 02:58

 ブログに取り上げて頂き有難うございました。5月5日にはテレビ大阪で昨年放映された番組の再放送もありました。
 私は公務員で病院を運営する事自体がもう困難だと思っています。自治体病院は民営化するのが一番だと思います。しかし、もっと根本的に問題を解決するには医療費の値上げが必要ですが、もうこの国にはそんな力は残っていません。という事は私たちのしている事は無意味にも思えます。出来る範囲で前向きに頑張って行こうと思いますので宜しくお願いいたします。

投稿: ある大阪の産婦人科医 | 2008-05-25 00:15

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