新着『東洋學報』89-4/2008年3月
今日届いたところ。
興味がある論文が一篇あった。
・鈴木直美 里耶秦簡にみる秦の戸口把握ー同居・室人再考ー
これから読む。
鈴木氏の論文は、東洋史の王道、秦漢の簡牘から見る
戸籍と法律論
だ。秦が中国を統一した後の、かつての楚の地から出土した秦簡に記された戸籍を読んで、戸籍がどのように編成され、連座がどの範囲まで及ぶかに着目して
室人・同居
という法律中の家族の範囲を解析している。
いや〜、最近の出土文物に基づく、秦漢史の再検討って、凄いですね。鈴木氏の論文が扱っている
里耶秦簡の報告書の出版は2007年
なのだ。出版された写真や釈文を元に、今から2200年以上前の中国の制度を読み解いていく。これが、日中で競争で行われているのだ。
面白かったのは
五段に分けて記す戸籍の形式
で、これによって、「室人・同居」の区別が一目瞭然、という辺り。
また、天下を統一した秦が、東方六国の制度をどのように包摂していったか、という議論にも興味を引かれた。
思想史や文学で秦漢を扱う身としては、実に勉強になった。
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