地域医療崩壊 京大の医師引き上げと奈良県の医療
最近、ちょっとした話を知人から教えて貰った。
これまで奈良県では、京大から医師を派遣して貰っていた病院があったのだが、天下の京大医学部と言えども、昨今の「大学医局再編」の動きには抗えず、派遣を打ち切った病院がいくつかあるとか。
で、しょうがなくて、これまで
ウチは京大から先生を派遣して貰ってますから、奈良県立医大系の病院とは格が違いますっ
と威丈高だった病院が
なんとか、先生を派遣して下さい!
と奈良県立医大に泣きついてきているらしい。
とはいえ、奈良県立医大だって、京大同様、大学医局再編に巻き込まれているわけだし、そもそも、医学部の定員が増えているわけでもないから、いくら泣きつかれても、ない袖は振れない。
京大からの派遣っていっても、別な大学を卒業して院から京大に移った先生が多いから
と、以前、その知人は微妙な感じで教えてくれたのだが、今回の話には
これまでがこれまでだったから、断られてもしょうがない
という感じだ。ま、
京大系病院
をウリにするのは結構だが、医師でもない事務が、県立医大の医師たちをバカにしたような態度をとってたんだからなあ。そりゃ、今頃、態度を変えられても、頼まれる方は、いい気持ちはしないだろう。県立医大の中で必要な数の医師を維持するのだって大変だもん。
件の知人は
これから奈良県の小児科医療は大変そうだ
とも教えてくれた。県内の病院に勤務する小児科医の数が減っているという。ちょっとここには書けないような話も聞いたし、これはとんでもないことになってきている。
奈良県立医大病院に設置された周産期医療センターは
産科医と小児科医の連携
なくしては立ちゆかない。今のところ、小児科の先生は、NICUをまわせるだけの人数はいらっしゃるようだけれども、これだって、ちょっと状況が悪化すれば、どうなるかわからない。すぐに人員を補充できるほど、小児科の先生は多くない。
産科医も小児科医も医療スタッフも足りないのが、今の奈良県の周産期医療をめぐる状況で、小児科医不足は、周産期だけでなく、その後の子どもの健康維持にも大きく関わってくる。
そうでなくても
奈良県立病院では産婦人科医の残業代未払い訴訟
が起きている。労働条件は劣悪、医師や医療スタッフの賃金は低い。典型的な
地域医療崩壊シナリオ
が揃っている奈良県は、相変わらず
道路建設
には熱心だ。
遷都1300年祭
も、現在なぜか
2010年完成
というかけ声で、随分前から行われているJR奈良駅周辺の高架化工事など奈良県内の大規模道路整備と連動している企画なわけで、
文化で目くらましをして、道路にごっそり税金をせしめる
という、
田舎にありがちな「道路行政」の賜物
だ。だって、JR奈良駅の高架化工事が始まったときには
遷都1300年行事
なんて話は、全然宣伝してなかった。いつのまにか
2010年は遷都1300年祭をやります
という話が乗っかってきていたが。ま、
平城京で道路財源確保する知恵
を考えついた切れ者がいた、ってことでしょう。
道路一本通すより、医師や医療スタッフの労働環境を改善した方が、よほど奈良県民のためになるのだが、どうやら
道路の魔力
の方が、有権者の生命よりも、奈良県の政治家には大事らしい。で、自分たちは、いざ病気になったらどうするんだ? 大阪に運んで貰うんじゃないだろうな。
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コメント
しかもこんな地元紙があるし(www
http://ssd.dyndns.info/Diary/2008/05/post_679.html
投稿: ssd | 2008-05-21 07:29
はじめまして。
その道路を平城京址の地下に通すことによって、地下水の水脈が変わり1300年腐らずに保存されていた貴重な木簡が失われるとして、埋蔵文化財の研究者から反対の声が上がってるいるとか。
どこが文化的イベントなんでしょうね。
反対の声が多いのも当然と思われます。
投稿: 開業やぶ医 | 2008-05-21 10:37
きっと大阪に運んでもらうために道路を造っているんですよ
投稿: kxxt | 2008-05-22 02:37