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2008-06-09

名古屋大学の大学祭模擬店で食中毒か(その2)原因は黄色ブドウ球菌だった模様

2008-06-08 名古屋大学の大学祭模擬店で食中毒か 44人が病院へ 6/8の大学祭日程中止
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/06/44_68_5350.html
の続き。
nene先生と免疫男先生にコメントを頂いたので再掲する。

まずはnene先生のコメント。


症状としては黄色ブドウ球菌ですかね。あれは毒素が原因だから加熱しても意味ないし、ろくに手洗いもせず汚い手で食品を触ったんでしょう。
模擬店ではご飯ものや生クリームものは出すなと昔は指導してたんだけどな。
投稿 nene | 2008-06-08 13:30

ご教示ありがとうございます。たしかに、黄色ブドウ球菌が一番怪しいですよね。

と思っていたら、ビンゴだったようで。
免疫男先生から。


実際に関係者に話をきいてきました。
黄色ブドウ球菌が原因だったみたいで、さながら野戦病院の様相を呈していたようです。
一度に五人が救急車で搬送されてたとの話。
投稿 免疫男 | 2008-06-09 17:22

どうもご教示ありがとうございます。
黄色ブドウ球菌が原因の食中毒で5人搬送となると、ただごとではありませんね。かなりの修羅場かと推察します。

おさらい。
黄色ブドウ球菌について。国立感染症研究所の感染症予防センターのサイトから。


感染症の話 2001年第13週(3月26日~4月1日)掲載


◆ブドウ球菌食中毒

 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus )は、歴史的にはKoch(1878年)が膿汁中に発見し、Pasteur(1880年)が培養に成功したとされている。ブドウ球菌は、「Bergey's Manual of Determinative Bacteriology 」の7版(1957年)では、S. aureus (黄色ブドウ球菌)とS. epidermidis (表皮ブドウ球菌)の2菌種に過ぎなかったが、その後新しい菌種が次々と追加され、1997年現在、28菌種、10亜種に及んでいる。この中で特に黄色ブドウ球菌は、化膿巣形成から敗血症まで多彩な臨床症状を引き起こし、種々の市中感染症、新生児室感染症、院内感染症、および毒素性ショック症候群等の起因菌となる。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、院内感染や術後MRSA腸炎の原因となり、重要な問題となっている。さらに、黄色ブドウ球菌は食品中で増殖すると、エンテロトキシンと呼称される毒素を産生し、ブドウ球菌食中毒の原因となる。
 このように、黄色ブドウ球菌は多彩な疾患の原因となるが、今回は、毒素型食中毒の代表であるブドウ球菌食中毒について記述する。

疫 学

 黄色ブドウ球菌は、ヒトを取り巻く環境や各種の哺乳動物、鳥類等に広く分布している。特に、健康者の鼻、咽頭、腸管等に分布し、健康者の本菌保有率は20 ~30%であるとされている。

(略)

病原体

 ブドウ球菌食中毒は、黄色ブドウ球菌が食品中で増殖する時に産生するエンテロトキシンを、食品と共に摂取することによって起こる毒素型食中毒である。
 エンテロトキシンは分子量27,000前後の単純蛋白質で、トリプシンなどの消化酵素や熱に対して抵抗性があり、抗原性の違いから現在A ~L 型までが報告されている。食中毒事件中、最も発生件数の多いエンテロトキシン型はA型で、A+B型、A+D型を合わせると、80%以上はA型に関連している。また、エンテロトキシンはT 細胞を特異的に活性化し、短時間に多種類のサイトカインを大量産生させる作用があり、「細菌性スーパー抗原」とも称されている。ヒトでエンテロトキシンによる発症に必要な量は、エンテロトキシンBでは25~50μg と考えられていたが、加工乳などの事件では200ng以下のエンテロトキシンAで発症していることも報告されている。
 実験動物スンクス(Suncus murinus )の腹腔内にエンテロトキシンAを投与すると、約90分後に嘔吐が周期的に複数回みられ、この嘔吐は腹部迷走神経切断処理、セロトニン受容体拮抗薬の前投与、さらにセロトニン枯渇薬の前処理等により抑制された。これらの結果から、エンテロトキシンAによる嘔吐の発症に、セロトニンが深く関わっていることが明らかにされている。また、イヌ結紮十二指腸ループ内にエンテロトキシンA を投与すると、約90分後に腸液の分泌亢進がみられ、約150分後にピークに達し、約210分後に正常に戻った。ループ内外の組織を透過電顕で観察すると、腸クロム親和細胞(EC 細胞)にだけ顆粒の変化がみられた。さらに、免疫組織化学的観察にて、セロトニンの染色性が低下していることが観察されている。これらの研究結果は、ブドウ球菌食中毒の特徴的な症状である嘔吐と下痢は、エンテロトキシンがEC細胞からのセロトニン分泌を誘発することによって起こる生体反応であることを強く示唆している。

臨床症状
 黄色ブドウ球菌は、食品中で増殖する時エンテロトキシンと呼称される毒素を産生する。エンテロトキシンが産生された食品を喫食すると、約3時間後に激しい嘔気・嘔吐、疝痛性腹痛、下痢を伴う急激な急性胃腸炎症状を発する。毒素量などの違いにより症状には個人差がみられるが、まれに発熱やショック症状を伴うこともある。重症例では入院を要する。一般には予後は良好で、死亡することはほとんどなく、通常1日か2日間で治る。
 2000年に発生した患者数13,000名を超える雪印ブドウ球菌食中毒事件では、原因食品が加工乳などであったため、対象者が成人、子供、老人、病人など様々で、その症状も嘔気・嘔吐、下痢の他に、多彩な臨床症状がみられている。
(以下略)

というわけで、一般の黄色ブドウ球菌による食中毒では、命に関わることは少ないのだが、
 黄色ブドウ球菌が作り出す毒素(エンテロトキシン)によって、激しい嘔気・嘔吐、疝痛性腹痛、下痢を伴う急激な急性胃腸炎症状
が起きる。
 激しい嘔吐と下痢
だから、上からも下からも出てくるわけで、免疫男先生のおっしゃるように、
 5人運ばれてきたら、野戦病院
になってしまう。予後がいいとはいえ、急性症状が起きてるときは、患者さんも大変だけど、それをケアする医療スタッフも大変だ。

上記にあるように
 鼻の中や腸管にもいる菌
だから、鼻の中を触ったり、トイレに行った後に、きちんと手を洗わなかっただけでも、食品を汚染することがある。手に傷があったら、食品を提供してはダメだ。バイトで食品を扱う場合は、マニュアルがあって、その辺りのチェックもするだろうが、大学祭の模擬店だと、恐らく、そんなことは気にしてないだろう。1年生が担当していた模擬店という噂もあり、それが本当だとすると、余計、衛生管理の点で、抜けている部分があった可能性が高い。まだ大学に入ったばかりだしな。

で、雪印乳業を潰した
 雪印の加工乳によるブドウ球菌食中毒事件
の病原体だ。あの時の症状の激烈さを覚えていれば、今回食中毒の被害に遭われた方のしんどさは、ある程度、理解できるのではないだろうか。

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コメント

捕捉というか訂正させていただきます。
実は食中毒患者が全員その病院に運ばれてきたんです。

報道では確か44人だったと記憶しています。あまりに数が多く、「救急車に一度に五人」運ばざるを得ない状況だったようです。
幸い、搬送先の病院は救急救命の体制がしっかりしてるので良かった良かった。

また、裏はとれていませんが、残念な事になった模擬店は、M大の医学部生が出していたとの噂もあります。これだとあまりに話にオチがつきすぎるので単なる噂じゃないかと思いますけどね。

投稿: 免疫男 | 2008-06-09 19:58

近場のキリスト教系病院は空ベッドが1床しかない状態であり泣く泣く「ちょっと無理」と断ったとか。結果としてその病院に集中したと。うわさですよ、うわさ。

投稿: お弟子 | 2008-06-09 21:28

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