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2008-06-03

子宮外妊娠で38週 無事女児が生まれる奇蹟@オーストラリア

救急では
 女性の腹痛は要注意
と言われる。
 妊娠可能な、小学生から閉経するまで(50代くらいまでかな)の女性の腹痛は「子宮外妊娠の恐れ有り」
だからだ。怪しいと思ったら、速攻で妊娠検査をする。本人や親(小学生や中学生などの場合)が
 セックスしたことがない
と言い張ろうと何しようと、可能性は潰しておかねばならない。
結果「妊娠」と分かったら、子宮外妊娠の疑い濃厚ということになる。急いで、産科の先生を呼んでこなくてはならない。

子宮外妊娠の場合、胎児が子宮以外の場所で育つわけで、たいていは
 受精卵が間違って着床してしまった卵管など、胎児が育つには狭すぎる場所が破裂するなどのトラブルで救急搬送
だから、母体の命に関わる。胎児は人間としてやっていけるほど育ってない段階がほとんどだから、残念ながら諦めるしかない。

ところが、
 奇蹟の子宮外妊娠
がオーストラリアで起きた。
 38週の妊婦さんを帝王切開したら、あら不思議、子宮外妊娠で、子どももお母さんも無事
という。まずは、日本語訳のあるAPより。


医者も気付かず、帝王切開で子宮外妊娠が判明も無事出産

シドニー(AP) オーストラリアの女性が5月末、子宮外妊娠だったにもかかわらず、無事に元気な女の子を出産した。妊娠期間中はまったく兆候がなく、帝王切開して初めて子宮外妊娠が判明、医師らは「非常に珍しく、奇跡だ」と驚いている。

女性は5月29日に帝王切開手術を受けた。妊娠38週での出産だったが、それまで子宮外妊娠の兆候はなく、途中の検診でも判明しなかった。

子宮外妊娠は、受精卵が子宮以外の卵管や卵巣、腹腔などに着床し、そのまま発育する。流産の可能性が高いだけではなく、子宮外で胎児が発育すると母体が危険な状況になることから、医師の判断で中絶する場合もある。

赤ちゃんは約2800グラムで、健康そのものだった。女性の夫は地元テレビ局に、「医師から、最もラッキーな男性のひとりだと言われた」と話している。

そもそも
 検診を受けていたのに、分からなかった
と言うこと自体、かなり謎。

で、このラッキーな赤ちゃんがどこで育っていたかというと
 卵巣
だという。BBCより。


Ovary baby survives against odds

Healthy baby Durga was born at 38 weeks weighing 6lb 3oz

A woman in Australia has given birth to a healthy baby girl after a rare full-term ectopic pregnancy.

Against all odds, baby Durga survived despite developing in her mother's ovary instead of her uterus.

Her mother Meera Thangarajah, 34, had shown no signs of abnormality and doctors only realised when they performed a Caesarean section.

Most ectopic pregnancies end in miscarriage or are terminated early because of the risk to the mother.

With an ectopic pregnancy, the embryo can rupture the fallopian tube, leading to massive internal bleeding - and possibly death - for the mother.

Just 1-2% of all pregnancies are ectopic, and in 95% of those cases the egg is fertilised in the fallopian tubes on its way to the uterus.

In 0.5% of cases, including this one, the baby grows inside the ovary itself.

Pre-natal scan

Mrs Thangarajah gave birth on Thursday at the Darwin Private Hospital in Australia's Northern Territory.

General manager Robyn Cahill told the Associated Press news agency that mother and baby were both doing well.

There is a great risk in such a pregnancy of bleeding Dr Maggie Blott Royal College of Obstetricians and Gynaecologists

Normally, a woman with an ectopic pregnancy would present with severe pain and bleeding in the first few weeks after conception.

But Ms Cahill said Mrs Thangarajah had experienced no symptoms, and the abnormality did not show up on a pre-natal scan.

She said only 1 in 40,000 fertilisations implant in the ovary, and it was unheard of for one of those foetuses grow to full term. But despite those statistics, Durga - meaning Goddess - was born at 38 weeks weighing 6lb 3oz (2.8 kg).

"We're calling it a miracle," Ms Cahill said.

Risk of bleeding

The Royal College of Obstetricians and Gynaecologists said the odds of survival in such a pregnancy were "no more than one in a million".

Spokeswoman Dr Maggie Blott said: "One that goes to produce a live healthy baby is very unusual.

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Dr Blott on the rare occurrence of full-term ectopic pregnancies(元サイトに動画あり)

"There is a great risk in such a pregnancy of bleeding.

"And had it been picked up at six to eight weeks, it would have been removed because of the risk to the mother.

"This type of pregnancy is very rare indeed."

Obstetrician Dr Andrew Miller, who delivered Durga, told AFP news agency that he had not realised there was a problem until he saw the ovary stretched almost to breaking point.

"And you can't believe that the baby, just by normal movement, wouldn't have caused the sac [inside the ovary] to rupture," he said.

"It was so paper thin you could see the baby's hair."

The baby's father, Ravi, told local television that doctors had told him: "You're one of the luckiest men in the world at the moment."

Published: 2008/05/31 11:33:24 GMT

帝王切開でお腹を開けるまで、卵巣妊娠だとは分からなかったというのも凄いな。
写真を見ると分かるけど、インド系のお母さんのようですね。てか、名前も
 Meera Thangarajah
だし。娘の名前は、ヒンドゥー最強の女神
 ドゥルガー
から貰ったのね。

世の中は広い、とつくづく思い知らされるニュースだ。

続き。(13:22)
暴利医先生とスーザン先生にコメントを頂いたので、上記記事の
 卵巣妊娠の描写部分
を簡単に訳しておく。赤字で示した部分。


Obstetrician Dr Andrew Miller, who delivered Durga, told AFP news agency that he had not realised there was a problem until he saw the ovary stretched almost to breaking point.
(ドゥルガを取り上げた産科医のアンドリュー・ミラー医師は、AFPニュースの特派員に、彼が卵巣がほとんど破裂しそうになるところまで延びきっているのを見るまで、問題があることを理解してなかった、と語った。)

"And you can't believe that the baby, just by normal movement, wouldn't have caused the sac [inside the ovary] to rupture," he said.
(「それに、信じられないだろうけど、その赤ちゃんは、[卵巣の中の]胎嚢を、普通の動きで[胎動のことか?]、破裂させることはなかったんだ。」と彼は言う。)

"It was so paper thin you could see the baby's hair.
(「胎嚢は赤ちゃんの髪の毛が見える位、紙のように薄くなっていたんだよ。」

ううむ、位置関係が分かりません。
更に詳しい発表を待て、かな?
 

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コメント

はじめまして。日々更新を楽しみにしている者です。とてもびっくりしたので思わずコメントしてしまいました。

3キロ近い胎児が卵巣という1-2センチ大の充実性臓器の「中に」育つとは考えにくいので、卵巣内とはいうものの実際には卵巣と一体化した皮膜に覆われていたのではないかと推測しますがどうでしょうかね(産科の先生方、できればコメントをお願いします)。精子が卵巣皮膜を破って卵巣内に侵入したという話を聞いたことがありませんので、卵巣外に卵子が出てこないと最初の受精も成立しないはずですし。胎盤や臍帯はどうなっていたのか、医学的な興味をそそられる話です。

それにしてもこれが今の日本だったら、検診をしているのにどうして事前に分からなかったのか?とか、無駄に子宮を傷つけたと因縁を付けられて、訴えられる可能性がありますね。

投稿: 暴利医 | 2008-06-03 12:36

ニュースを聞いたときは「子宮副角妊娠」かと思っていました。
1例だけ見たこともありましたので。
卵巣妊娠だったなんて…卵巣が特別柔軟性に富んでいたってことでしょうか?
不思議です。

投稿: スーザン | 2008-06-03 12:38

>赤ちゃんは約2800グラム

し、信じられない。奇跡だ。\(^o^;)/

>娘の名前は、ヒンドゥー最強の女神
> ドゥルガー
>から貰った

子宮外妊娠でそこまで育ってお生まれになる強運(宝くじで何度も一等を当てまくる位の威力がある)をお持ちということなので適切なお名前かと。

投稿: BUNTEN | 2008-06-03 20:08

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