地域医療崩壊 北海道の惨状 今年1月の段階で180市町村のうち145市町村で出産ができない状態
北海道の医療が悲惨なのは今に始まったことではない。
しかし、この地図を見るとさすがにぞっとする。
北海道社会保障推進協議会提供の北海道の医療未来図。
白い部分は地域の病院がなくなる可能性があるところだ。
これが北海道の支庁図。
詳しい市町村名を知りたい方はこちらを御覧下さい。
道内180市町村地図
げげん、
十勝と後志、留萌、釧路支庁管内の病院が寥寥たるありさま
じゃん。
このおっかない白黒地図が掲載されているのは、キャリアブレインの以下の記事だ。
医療を守る多彩な運動が展開-北海道「医療崩壊を超えた医療破壊をくい止めなければならない」-。市町村立94病院のうち38病院を診療所化する計画などが進められている北海道。道内では、既に8割を超える市町村で出産ができなくなるなど、地域医療が深刻な事態に陥っている。こうした中、道内各地で、住民と医療関係者、地元行政が連携して医療を守る多彩な運動を展開している。
全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が7月19日に東京都内で開いた「医療・介護『再生』シンポジウム」に出席した全日本民医連副会長で勤医協札幌病院長の堀毛清史氏が、全国でも特に厳しい“医療崩壊”問題に直面している北海道の実態を報告した。道内では今年1月現在、180市町村のうち80.5%に当たる145市町村で出産ができなくなっている。堀毛氏は、根室市で昨年3月、市立病院の分娩休止のため、23歳の妊婦が55キロ離れた別海町立病院に向かう車内で出産し、新生児が低体温で一時危険な状態になった事例などを挙げた。
救急医療も困難になっており、岩内町では岩内協会病院の院長を除く全医師が退職し、救急の受け入れが不可能になった。このため、町内の救急患者を1時間半かけて札幌市内の医療機関へ搬送しなければならない実態なども報告した。産科や救急など医療供給体制が危機的な状況にある中、道内では国の「公立病院ガイドライン」などによって、市町村立94病院のうち38病院が診療所化されるほか、9病院が規模縮小される計画が進められている。これに対し、堀毛氏は「この計画通りに進むと、道内では多くの市町村が『病院空白地域』になる」と強く批判した。
一方で、堀毛氏は、住民や医療関係者、行政などが連携し、医療問題の解決策を検討する集会や地域医療を守る会をつくる運動が道内各地で起きていることを強調した。
根室市では、住民の呼び掛けで開業医が市立病院の日当直体制を支援する活動を展開。釧路市でも、循環器科が閉鎖されて心筋梗塞の患者などを受け入れられなくなった市立病院に対し、釧路労災病院と釧路医師会病院が勤務医を派遣するなど、地域全体で医療を支える取り組みが進められている。
こうした新たな動きに触れ、堀毛氏は「いま住民が主人公となる医療改革が求められている。道内各地の関係者と医療再生に向けた輪を大きく広げていきたい」などと語った。更新:2008/07/22 10:13 キャリアブレイン
いや〜、お産ができないとなると、えらいことですな。元々潤沢に産科があった地域ではないんだが、最近の産科崩壊の煽りは確実に受けている。道内では一番マシなはずの札幌市内だって、産科救急がうまくいってない。
それに
岩内から札幌に搬送
って簡単に言うけど、これは北海道弁で言う
ゆるくないわ
という状態で、経路を考えるととんでもない話である。夏はともかく、冬はどうする。
原発のある泊村は岩内の隣で、ここも今後空白地域になりそうなところなわけで、事故が起きないに越したことはないが、なんかあったらこれはえらいことである。
リタイア後は北海道で、なんて暢気なことを言ってる内地の人達がいるけど、住む場所を選ばないと、何かあったときに助からない。40年前のナチュラルコースのお看取りで納得できるなら、どこに住んでもいいけど、まさか都会からわざわざ北海道に来る人は、医療資源のないことには慣れてないだろうし、北海道に行っても、今内地で受けているのと同等の医療サービスは受けられると誤解しているんじゃないかと危惧する。
道産子は病院がないのには慣れているので、札幌の人は年を取ると、絶対に札幌からは動かない。動くとすれば、札幌より医療環境のマシな内地へ行く。札幌で何かあっても助からないかも知れないのはよく分かっているからだ。
道南からJRに乗って北大病院に通う、なんて話は昔からあったんだけど、また、同じことが繰り返されるようになるんだろうな。ただ、それが今までは、町に普通にあった診療科でも起きるだろうというのが、頭の痛いところだ。道南には眼科がないから札幌に通うのは、30年前のスタンダードだったけど、これからは、札幌まで出て受診しなくてはいけない診療科の種類がもっと増えるだろう。
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コメント
札幌では二次救急撤退だそうです協議会とかやってたみたいですが茶番だったようです
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/106597.html
投稿: 札幌市民 | 2008-07-23 19:28
マス釣りが好きで、北海道に月2回くらい通っている
釣具屋の店員と知り合いなんですが、
店が潰れるなんて事は当たりまで、
久しぶりに通るとゴーストタウンと化している町や村が
普通にあるそうです。
投稿: nyamaju | 2008-07-24 14:05
なんでもないのに病院に来るひとたちが減ればそれだけで医療は再生すると思う。
鉄棒で頭をぶつけました。症状はなにもありません。といって子供を連れてくる親。
いつもは血圧が120ですが今日は130です。といって救急外来に来るバカ。
こういうのが減ればね……。
投稿: roasted.tea | 2008-08-26 08:38
医療崩壊ー地域医療の崩壊は、今国民的な関心になっていると思いますが、わたしの知人の開業医の先生が最近、このテーマで執筆されています。
この本によると、その崩壊の主な責任は、医療行政の問題にあると指摘しています。つまり、医療費など年間2200億円削減のしわ寄せを、地域の医療現場に押しつけているとのことです。
このような、一開業の方々を含めて、現場の医療関係者から様々な議論が巻き起こってくることを期待したいところです。
『医は仁術か算術か―田舎医者モノ申す』(定塚甫著・社会批評社・1500円)
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/shakai/top/80-9.htm
投稿: 堀口舞 | 2008-10-04 14:56