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2008-07-29

除籍本

古本屋で本を買うと、時々
 図書館の除籍本
を手に入れることがある。除籍本というのは、もう蔵書として置いておく価値がないと、図書館に判断されて、売り払われてしまった書籍のことである。元図書館の蔵書であった印があちこちについている。
今までで一番悲しかったのは、関東の公立図書館の除籍本で
 ジョセフ・ニーダムの『中国の科学と文明』の和訳の揃い
を入手したときだった。この話を科学史関係者にしたら、みんな一様にショックを受けていた。更に悲しかったのは、その除籍本は、たぶん、結構な年月その公立図書館の蔵書だった筈なのに、ほとんど開かれた形跡がなかったことだ。要するに
 定評のある「いい本」だから購入したが、利用者がいなかった
から、除籍されちゃったってことなのだ。世界で認められている名著でも、こんな悲しい運命をたどるのだ。

最近は知らないけど、昔は北京工人体育館前で、よく図書館の除籍本を格安で売っていた。わたしたちのような、古典研究者には有り難い話で、中華書局の『二十四史』とか、一冊1元しない定価のついた、古い縦組繁体字の古典の排印本とかが並べられていた。当然ながら、汚い本ばかりなのだが、用があるのは中身だから、外側の汚れは気にしない。印刷がちゃんとしていて、ページが飛んでなければ、それでいいのである。

この頃は、中国の除籍本も海を渡る。昨日届いたのがまさにそれで、
 除籍本の『建康実録』
である。
 日本では、古典は高く売れる
と聞きつけた、耳ざとい誰かが、日本に売りに出したのか、それとも、中国の街中で日本人が見つけた除籍本が、国内を転々としているのか、それは分からない。

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