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2008-08-26

産科崩壊 大野病院報道を地元福島の視点から@8/25 21:00-22:00 ニュースウオッチ9

東京からたまに取材に行く
 「漁業」型ジャーナリストの飯野奈津子解説委員
とは異なり、
 地元福島で生活していると、「大野病院事件」が実生活にいかに影響を与えるか
は、皮膚感覚として感じられるようになる。
あまり期待してなかった、昨日の
 ニュースウオッチ9の福島局の記者が取材した「揺れる産科・医療の現場で何が」
は、同じ放送局が流したものとは思えないほど
 福島県内の産婦人科医療に密着した取材内容
だった。食事中にメモも取らずに見ていたのだが、印象的だったのは
 福島県立医大の佐藤章教授のコメント
だった。たしか
 重症者を高次の医療施設に割り振るのが、難しい状況である
といった内容だったと思う。
「福島県立大野病院事件」で、K先生が逮捕されて以来、福島県内では産科に限らず、そうでなくても潤沢でなかった県内の救急医療の資源が逼迫し、ちょっとでも危険が予測される患者さんは、高次の医療施設にどんどん送られるために、そうした医療施設では
 そろそろ限界
を迎えている、という例として、
 いわき市立総合磐城共立病院では年間ハイリスク妊婦を医師5人で800件受け入れている
ことが紹介されていた。
 ハイリスク妊婦のみを受け入れていて、年間800件のお産を5人の医師でまかなっている
というのは、
 帝王切開などの異常分娩の頻度
を考えると、かなり厳しい状況だと思う。


 《産婦人科の診療体制について(お知らせ)》

 総合磐城共立病院の産科については、平成18年4月よりハイリスクの妊産婦さんのみをお受けしております。
 当院では、平成19年4月より産婦人科体制の変更がありましたが、産科の受入れ体制が未だ整わないため、引き続き同様の扱いとさせていただきます。
 なお、県外在住の方の里帰り分娩につきましては、産科病棟が満床の状況であることから、当面、他の医療機関で受診されますよう、市民のみなさんには、事情を御理解の上、御協力をお願いします。

 
【お問い合せ先】 いわき市立総合磐城共立病院 産婦人科外来
午後3時から午後5時まで(土・日・休日を除く)

もともと、福島県の産科医療は、「県立大野病院事件」以前から厳しかったのだが、K先生の逮捕後は
 1人医長体制の解消と産科の集約化
が進められ、地域によっては、産科医の薄い地域ができた。これは
 産科の集約化
のためにはどうしても起こる問題なのだが、それ以前にお産を済ませた人たちやその家族には
 地域でお産が出来たという「社会的通念」
があるために、これから赤ちゃんを産もうという妊産婦さんやその家族の理解を得るのは、なかなか難しいだろう。
 母子の健康を守る体制作り
のためには
 複数の産科医が必要
というのが、「福島県立大野病院事件」が現場にもたらした「新しい医療的常識」なのである。

30歳を超える妊婦が増えている日本の現状からすると、
 複数の医師による産科運営
は、何かあったときに対処するためには必須だ。
飯野奈津子解説委員が深夜に暴論を展開したのと同じ放送局であるNHKが、視聴率の高い夜9時台に「母子のためのより安全な医療体制」作りに苦悩する福島県の姿を手短に描いている点では、評価できるレポートだったと思う。

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コメント

福島県立医大の教授は佐藤章先生です。

投稿: shy1221 | 2008-08-26 22:41

shy1221先生、ご指摘ありがとうございます。
最初に書いたときに別な文章に上書きしたときの消し忘れがあって佐藤章先生のお名前が間違ったままになってしまいました。
早速訂正いたしました。

投稿: iori3 | 2008-08-26 22:49

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