福島県立大野病院事件に福島地裁が無罪判決(速報)→「周産期医療の崩壊をくい止める会」のサイトで「控訴取りやめ要望署名」を募集中→検察が控訴を断念しました
亡くなられた産婦さんのご冥福を心からお祈りします。また、お子さんが健やかにご成長されますよう願っております。
(追記 9/4 9:30)
本日午前零時をもって、K先生の無罪が確定した。
河北新報より。
大野病院事件 産科医の無罪確定福島県立大野病院(大熊町)で2004年、帝王切開中に子宮に癒着した胎盤の剥離(はくり)を続けた判断の誤りから女性患者=当時(29)=を失血死させたとして、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた産婦人科のK医師(40)を無罪とした福島地裁判決が4日午前零時、確定した。
福島地検は裁判所の判断を覆すのは困難として、控訴断念を決めていた。無罪確定に伴い、地方公務員法の規定で休職となっていたK医師は復職扱いとなる。県病院局は減給処分の取り消しを検討する。今後についてはK医師と相談して決める。
K医師は06年、癒着胎盤の剥離を続けた判断ミスから大量出血で女性を死亡させたとして、福島県警に逮捕され、起訴された。8月20日の地裁判決はK医師の過失を否定し、医師法違反も含めて無罪とした。
2008年09月04日木曜日
(追記終わり)
(追記 8/30 6:30)
検察が控訴断念を決め、K先生の無罪が確定することになった。
「控訴取りやめ要望署名」にご協力くださったみなさま、ありがとうございました。
通常の治療を行って、不幸にして患者さんが亡くなるのは、「過失」ではなく「病死」である。極めてまれな難しい疾病による「病死」を「業務上過失致死」とあげつらったのが、「福島県立大野病院事件」の警察・検察であった。
この間、K先生は医療現場に立つ機会を失い、医師としてもっとも充実する筈の時期を逃した。産科受診が一層困難になった福島県民のみならず、日本の産科医療にとって、大きな痛手である。
近年、
「不慮の死」というのはあり得ず、必ず「誰かが悪い」から死に至った
と原因を外部に求める傾向があるが、いかに医療技術が発達しようとも、
人間は生物である以上、死は避けることができない
のだ。
医療には限界
がある。
不幸な病死や、手の施しようのない事故死
というのは、医療が始まって以来の課題であるが、21世紀の現在に至っても、
人類は「不死」を得てはいない
のである。また
解剖しても、死因がよくわからない
こともある。なぜなら
人間は生物であり、一つとして同じ肉体は存在しない
からだ。
生体の機構は複雑で、人類は未だ「人造人間」を作り得てない
のだから、
医療は、人体というブラックボックスに、確率論的にもっとも確かな治療を施す
ことしかできない。ほとんどの患者さんが治るからといって、
自分がその治療で完治する
とは限らないのである。(わたしの弱視も、手術がうまくいかなかったのが大きな原因だが、主治医はその分野では有数の名医であり、ほとんどの患者さん達は、視力を回復している)
読売より。
「帝王切開」大野病院事件、福島地検が控訴を断念福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故で、業務上過失致死罪などに問われたK医師(40)に無罪を言い渡した福島地裁判決について、福島地検は29日、控訴を断念すると発表した。
裁判では、子宮に癒着した胎盤をはがし続けた加藤医師の処置が医学的に妥当だったかが争点になったが、20日の判決は、検察側の立証について「根拠付ける臨床例を何ら示していない」と指摘していた。
控訴断念の理由について、同地検の村上満男次席検事は「控訴しても裁判所の判断を覆すのは困難と判断した」と述べた。
現在、休職中のK医師は、「ほっとしています。(逮捕後の)2年6か月はとても長かった。これからも地域医療に私なりに精いっぱい取り組んでまいります。改めて(亡くなった)患者さんのご冥福(めいふく)をお祈り申し上げます」と、弁護団を通してコメントを出した。
一方、死亡した女性の父、渡辺好男さん(58)は、読売新聞の取材に対し、「娘が死ななければならなかった理由は十分明らかになっていないと思う。有罪、無罪に関係なく、それを知りたい」と語った。
(2008年8月29日20時50分 読売新聞)
NHKのニュースより。
医師無罪判決 検察が控訴断念8月29日 18時24分
4年前、福島県立大野病院で行われた帝王切開手術で女性を死亡させたとして業務上過失致死などの罪に問われ、無罪判決を受けた産婦人科の医師について、検察側は「裁判所が示した判断を覆すのは難しい」として控訴をしないことを決めました。
福島県大熊町にある福島県立大野病院のK医師(40)は、4年前の平成16年12月に当時29歳の女性に帝王切開手術を行った際、胎盤を無理にはがし、大量出血で女性を死亡させたとして、業務上過失致死などの罪に問われていました。今月20日、福島地方裁判所は「医療行為について刑罰を科すのは一般的な医学基準に反した場合に限られる」という判断を示したうえで、手術について「多くの医師が用いる標準的な処置だった」
として、無罪の判決を言い渡していました。これについて、福島地方検察庁では「起訴した当時の検察側の判断がまちがっていたとは思わない」としながらも「医療行為に刑罰を科すケースについて裁判所が示した判断を覆すのは難しい」
として控訴しないことを決めました。これについて、死亡した女性の父親の渡辺好男さんは「判決のことは別として、医療の現場でリスクの高い患者が安心できるよう事故を起こさないための仕組み作りを急いでほしい」と話しています。
(追記終わり)
いまNHKで速報が出た。
福島地裁は、K医師に無罪判決
を下した。(10:07)
CBニュースより。
大野病院事件、被告医師に無罪判決福島県立大野病院で2004年12月に帝王切開手術を受けた女性が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法違反の罪に問われた当時の産婦人科医長、K被告(40)に対する判決公判が8月20日、福島地裁であり、鈴木信行裁判長は、無罪判決を言い渡した。
起訴状などによると、K被告は2004年12月17日、女性の帝王切開手術をした際、胎盤と子宮の癒着を認識。胎盤を無理にはがせば大量出血する恐れがあるのに、子宮摘出術に移行するなどの危険回避の措置を怠り、剥離(はくり)を続けて女性を失血死させたとされた。
また、異状死を24時間以内に警察に届けなかったとして、医師法21条違反にも問われたが、鈴木裁判長は、検察側の主張を退けた。検察側は今年3月21日の論告求刑公判で、禁固1年、罰金10万円を求刑していた。
更新:2008/08/20 10:05 キャリアブレイン
NHKの第一報。(10:15)
帝王切開で死亡 医師無罪判決08月20日 10時13分
4年前、福島県立大野病院で行われた帝王切開手術をめぐり、無理な処置で女性を死亡させたとして業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科の医師に対し、福島地方裁判所は無罪の判決を言い渡しました。
続き。(8/23 12:30)
控訴取りやめ要望署名を、これまでK先生を支援してきた
周産期医療の崩壊をくい止める会
のホームページで募集中だ。
以下、その部分を転載する。
控訴取りやめ要望署名募集(2008/8/20)検察庁が本件判決に控訴しないことを要請するために、本会は署名活動を再開します。署名は総理大臣、官房長官、法務大臣、検察庁長官、国家公安委員会、厚生労働省など関係各位に提出予定です。この1週間が勝負です。ご協力お願い申し上げます。
別ホームページの署名投稿フォーム(別ウィンドウで開きます)で署名を募集中です。
署名投稿フォーム(別ウィンドウで開きます)
http://spreadsheets.google.com/viewform?key=pVSu1jKcdiL1dT7HDioKlfA
ご賛同頂ける方でメールを送信される場合、医療関係者の方は、お名前、御所属、専門分野をmailto:perinate-admin@umin.ac.jp までご連絡下さい。医療関係者以外の方は、その旨ご記載の上、ご氏名のみをご連絡賜れれば幸いです。
署名受付は郵送でも受け付け予定、署名書式を準備中です。
ご賛同いただける方は、よろしくお願い申し上げます。
追記。(8/23 12:40)
福島県立大野病院事件地裁判決に関する重要なサイト。
K先生の支援を続けてきた「周産期医療の崩壊をくい止める会」のサイト。
周産期医療の崩壊をくい止める会
ロハス・メディカルブログの川口恭さんの傍聴記。
福島県立大野病院事件 判決公判
産婦人科医として支援を続けてきた「僻地の産科医」先生のblog「産科医療のこれから」のまとめ。(新着順)
大野事件、傍聴券あたらなかったの記(>▽<)!!!
大野事件、今日の特集o(^-^)o その3
大野事件シンポ「医師と患者、不安の共有を」
癒着胎盤で子宮摘出し、大病院であっても救命できなかった一例
大野病院事件判決要旨
こんなにも多彩な人々が加藤克彦氏の無罪を信じていた―判決直後にシンポジウム
大野事件にまつわるニュース その2
署名のお願い&各学会の声明 大野事件
大野事件に関する社説!
大野事件、無罪ニュース ..。*♡
産科医が見守る「大野病院事件」判決 AERA
確たる証拠もなく起訴した検察に大きな疑問を感じる 被告主任弁護人 平岩 敬一氏
大野事件、判決前の関連ニュース ..。*♡
福島県立大野病院事件 「医療刑事事件の変節点」
同じく産婦人科医の立場で支援を続けてきたtyama先生の「ある産婦人科医のひとりごと」より。(新着順)
癒着胎盤をどう処置すべきだったか?(朝日新聞・時時刻刻)
大野病院事件 産婦人科医 加藤克彦被告に無罪判決 (詳細)
大野病院事件 産婦人科医 加藤克彦被告に無罪判決 (速報)
大野病院事件 8月20日に判決
医療関係のまとめサイト「春秋」より。
産科医不当逮捕事件
北欧から医療関係の記事を発信されている「カーリングおやぢ」先生のblog「Heja Japan(旧・カーリング漬け)」から。
福島大野病院事件で感じたこと
げに恐ろしきは医療事故調査委員会
| 固定リンク
コメント
速報ありがとうございます。
医局で思わず「やった~」と叫んでしまいました。
通りがかりの他科の先生に「大野病院事件ですね、よかったですね」と言われました。
でも、控訴するんだろうな…
投稿: suzan | 2008-08-20 11:32
婦人科問題は裁判の結果が気になってました。この問題があってから、休診や、廃業沢山でています。医療事務をしていた私には分かる気もしないではない、婦人科問題はこれから先もっと問題になると思います。女性にとって大切な診療科であり、経験を積んだドクターが必要です。今回の判決は如何なものかと思います。
私からもご冥福をお祈りします。そして、安心な医療を提供して頂きたいと思います。
投稿: のりこ | 2008-08-20 13:20
「なぜ事故が」…帝王切開死、専門的議論に遺族置き去り
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080820-OYT1T00370.htm
この記事を読んで意味が分からなかったのですが、
「公判は医療を巡る専門的な議論が中心で、遺族が置き去りにされた」
のに
「大野病院でなければ、亡くさずにすんだ命」
と断定できるネタってなんなんでしょうかね?
つまり、不可避であった若しくは回避可能であったと証明する議論について
その内容の是非が分からないまま、こんな失礼な事書いてるわけなんですよね・・・。
明らかな過失があるというのではれば上申書として証拠提出すればいいわけですからねぇ。
やっぱりなんなのかよくわかりません。この記事は。
投稿: ねこねこかれー | 2008-08-20 18:15
天漢日乗老子のこれまでの御声援に感謝申し上げます。
昨日は、福島駅東口・西口のタクシーの運転手さんに今日の裁判のことについて御理解を頂いて、無罪を求めるボールペンを700本、配らせて頂きました。福島のタクシー運転手さんは、今日の裁判について非常に御理解頂いて、裁判に掛けられた被告人の医師に対する同情と、本来こんな裁判があってはならないということに共感していただけました
これも老子のお力添えがあってのことであり、感謝の言葉を尽くすことは私の言語能力を超えております
本当にありがとうございます
投稿: Med_Law | 2008-08-20 22:04
控訴をあきらめたようですね、
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080829/trl0808291543004-n1.htm
なくなった女性の冥福を祈ります。
ただ検察と警察の責任は追及されるべきだと思います。
投稿: ざんぶろんぞ | 2008-08-29 17:15