鍼治療を受ける
縁あって、名手の鍼治療を受けた。主に目や耳の鍼を得意にされている先生である。
鍼灸治療を医療センターとして運営しているところで、初診は問診票を書く。その問診票のデータは、コンピュータ入力して、管理している。
その後は、まず問診。
問診票に基づき、問題のある部分を触ってチェック、顔や舌などの状態を見て、脈を取る。伝統的な四診をおこなってから、治療方針を決める。
今回は、目の鍼を打っていただく、というのが中心課題。漢方では目は肝に属するが、腎もかなり虚しているので、一般の人にもわりと有名なツボを中心に鍼と灸で刺激する。鍼は0.16mmの細い鍼で、浅く打つ流儀。痛みは感じない。太陽・風池・三陰交・曲池・合谷などに鍼を打ち、湧泉・失眠・腎輸に灸を据える。お灸は、無痕灸で台座灸といわれる種類。市販のせんねん灸などと同様、皮膚に火傷の痕がつかないお灸。夏場で中が冷えていて外側だけが汗だらけ、という状態を改善するお灸で、身体の中が暖まるのを感じる。鍼は、目の疲れを和らげ、第二頸椎の凝りをとり、体調を損なっている滞っているものを流れるようにする鍼だ。目から来ているのか、右肩と右肘を痛めているので、そちらも鍼を打ってくださった。
鍼治療を受けたのは数年ぶりだ。目の鍼を得意にされている先生はそんなにいないので、治療を受ける機会がなかった。
鍼を抜くときに、滞っているところはよく分かるのだそうだ。
だいたい1時間ほどで治療は終了した。鍼治療は、最初が肝心。いままで滞って流れていなかった気が動き始め、かなり眠くなる。
一晩経って、治療の効果を実感する。冷えが取れ、見違えるほど体調がよくなった。肩もかなり改善したので、あとは家でストレッチなどをして、少しずつ元に戻そう。目も調子がよい。しつこい疲れが取れてスッキリした。今後は一ヶ月に一度くらいは、鍼を打って、疲れを取る予定。
鍼灸は代替医療と呼ばれる。目や耳の鍼のように、ツボを刺激して、感覚器官の働きを整えたりするのは、鍼灸治療の得意分野の一つでもある。鍼は人によって効く、効かないというのがあるけれども、わたしの場合は幸いに鍼が効きやすい。
その後、別な先生と、病院で働く医師や看護師さんなど医療スタッフの疲労を取るのには、鍼灸はいいのじゃないか、などという話をしていた。医療スタッフが苛酷な労働条件で燃え尽き、前線から撤退していく原因の一つには、医療スタッフ自身の健康管理が出来ないほど忙しいことが挙げられる。心身のバランスを失う前に、何か手だてがないか、その一つにこうした代替医療ができることがあるかもしれない、なんて話をしたのだった。いまの病院の殺人的忙しさからすると、マッサージを受けたり、灸を据えたり、鍼を打って貰うより、寝たい、というのが、激務の医療スタッフのホンネかもしれない。自分の身体をケアする時間まで削られる段階まで追い詰められてしまうと、あとは、身体をこわすまで働かざるを得ない。
病院で働く鍼灸師の人たちには、体調を損なっていく同僚達の姿はどう見えているのだろう。ある程度の腕を持った鍼灸師であれば、深刻な状態に陥りつつあることは、目に見えているんじゃないのかな。体調を損なっていくのが医師であれば、たぶん、鍼灸師の人たちは、自分の判断を口にしないだろうなあ。
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