ニセ柳葉魚の刺身? 10月中旬からが漁期の柳葉魚の刺身が首都圏などで売られている奇怪
畏友T氏から、
ニセ柳葉魚の刺身が出回っている
というメールが来た。
7月末の札幌でシシャモの刺身、9月中旬の青山でシシャモの刺身
だって。で、T氏は
ニセ柳葉魚のカペリンが、流通が良くなったので生で出回るようになったのを「柳葉魚の刺身」と称して売っているのでは
と言う。
ホンモノの柳葉魚の漁期は、今年はまだ始まっていない。
毎年、10月中旬から1カ月ほどが漁期だ。川に遡上して産卵する柳葉魚を捕まえるのだ。
柳葉魚については、我が家は、柳葉魚の産地・鵡川のカネダイ大野商店から買うことが多い。
カネダイ大野商店のサイトでは、
柳葉魚とニセ柳葉魚カペリンの違い
について、詳しく説明してある。
カペリン サケ目 キュウリウオ科 マロータス属
シシャモ サケ目 キュウリウオ科 シシャモ属
で、カペリンは「カラフトししゃも」なんて名前で売られているから、知らないと間違えるけど、属が違う、真っ赤なニセ柳葉魚だ。
もちろん、漁期以外に生の柳葉魚があるとすれば、
間違って網にかかっちゃったホンモノ柳葉魚
の可能性はあるけど、札幌や東京に流通するほどの量ではあるまい。
漁期に柳葉魚の握り寿司を出すので有名な、鵡川の大豊寿司で、今年の8月に網に掛かった柳葉魚を食べた、という人がいる。ごりすかさんのblog"Go My Own Way!!"の8/30付の記事。
北海道ツーリング2008 柳葉魚 [ツーリング]
迷い柳葉魚が掛かるとしても、T氏が耳にした
7月末の札幌、9月中旬の青山の柳葉魚
は、限りなく怪しいと思う。
カペリン自体は、そんなに高く取引される魚ではないが
ホンモノ柳葉魚の刺身
という触れ込みがあれば、
元値の何倍にも化ける
のではないか。
以前、
ティラミスブーム
が起きたとき、ティラミスの原料である「マスカルポーネチーズ」の輸入量が突然増えて、どこの菓子屋やイタリア料理屋にも出回るようになったわけではなく
不二製油が「マスカルポーネ」という植物性油脂で出来た、マスカルポーネ風味の油脂加工食品
を作って、それを売り込んだのがブームの火付け役だったことを思い出す。
カペリンの刺身を「柳葉魚の刺身」と言って売ってるならば、それは、
不二製油の純植物油脂由来の「マスカルポーネ」風味調味料で作った「ティラミス」
と変わらないだろう。
だいたい、突然わき起こった「ティラミスブーム」以前に
マスカルポーネチーズの味
を知っていた日本人がどれだけいただろう。
ホンモノ柳葉魚の刺身は漁期に、鵡川など、柳葉魚の上がる場所に行かなければ食べられない。だから、日本人で
生のホンモノ柳葉魚を食べ付けている人
というのは、実に少ないのだ。
柳葉魚の刺身と名の付くものを食べるのは初めて
な人ばかりが、札幌や青山で高い金を払って感激しているんだろうけど、そもそも、そういう人たちは
カペリンの刺身とホンモノ柳葉魚の刺身の違い
も分からないわけだから、いくらでも悪徳商人につけいられる。
売り手がカペリンの刺身を「柳葉魚の刺身」と強弁
したとしても、ウソかどうかを見抜ける人間はほとんどいないわけで、まったくもって
漁期前の産地以外での「柳葉魚の刺身」は、かつての「ティラミスブーム」と同根
である。
T氏が嘆くことには、青山では
本柳葉魚の刺身
と言って売ってたらしいぞ。さすがだな、青山。これがカペリンの刺身なのだとすれば、相変わらず、無知な金持ちをダマす手管はすばらしい。
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コメント
不二製油の製品名はマスカルポーネとは微妙に違う「マスカポーネ」。
投稿: ちいちゃん | 2008-09-22 12:51