産科崩壊 年間30万=月額2万5000円=日額822円の「お小遣い」をくれてやれば「産婦人科研修医」が来る? 産科医療絶賛崩壊中の山梨県の考えること→地域勤務希望の医師からの申し出に栃木は即答、山梨はタナ晒し これじゃ医師招聘は無理
山梨は産科医不足である。
つい最近、都留市立病院の産婦人科常勤医が9月末で辞めることが発表された。
読売山梨版より。
常勤産婦人科医ゼロ 都留市立、10月から /山梨都留市立病院で唯一残っていた常勤産婦人科医が、9月末で派遣元の山梨大医学部に引き揚げることがわかった。
これに伴い、市立甲府病院の産婦人科医が1人増員されるとみられる。都留市立病院では10月以降、
同大から派遣される非常勤医が週3日診察を続けるという。
都留市立病院によると、今年3月末に3人いた常勤産婦人科医のうち、2人が同大に引き揚げたため、
4月からは出産の扱いを取りやめ、妊婦の検診や避妊などを扱っていた。
常勤医の引き揚げは数か月前から決まっており、8月から患者に周知を始め、混乱はないという。
都留市立病院は「非常勤化による不都合が生じないよう山梨大にお願いしている」としている。
市立甲府病院は同大から派遣された常勤医が3人所属し、年間800件以上の出産を扱う県内最大規模の病院。 4人になることにより、出産の受け入れ件数を増やすことができるほか、医師の過酷な勤務状況の緩和につながる。
いわゆる
産科集約化
の動きに伴って、都留市民病院の産科医非常勤化が決まった。
もともと山梨は、産科が少ない。今年2月の読売山梨板より。
【5】産科、農業深刻な人材難「少子化対策と叫ぶなら産婦人科医を一人でもよこしてほしい。地方で子どもを産めなきゃ始まらない」
県内で最も面積が大きい北杜市の白倉政司市長が、市内に産科医が一人もいない現状を自嘲(じちょう)気味に語るように、産科医不足は深刻だ。この3年間で塩山市民病院など6病院が出産の扱いを取りやめ、3月末からは都留市立病院も休止する。
「産婦人科医の確保が難しい中で次善の策としてご理解いただきたい」。新年度予算案を発表する8日の記者会見で、横内知事が苦渋の表情を浮かべたのは、産科医不足対策の新規事業に質問が及んだときだった。
「次善の策」とは、出産の扱いをやめた地域の病院に助産師を配置して病院の医師と連携を取る「妊婦の安全・安心ネットワーク事業」。もう一つは、助産師の技術の向上を目指し、山梨大で寄付講座や研修などを行う「助産師外来促進制度事業」だ。横内知事は「医師がいない中、妊婦が安心して出産するには助産師の力を借りて体制を作るしかない」と説明する。
山梨大医学部付属病院で、2年間の初期研修を受けた23人のうち、今年4月から始まる後期研修で産婦人科を選んだ研修医は、一昨年、昨年と2人ずつだったのが、今回初めてゼロになった。同大の平田修司准教授(産婦人科)は「過酷な勤務、リスクの高い治療。学生に刷り込まれた悪いイメージを変えなければ事態は改善しない」と頭を抱える。
横内知事自ら県外の大学病院に「トップセールス」を仕掛け、県東京事務所にも医師確保を最重要課題として指示しているが、現時点では効果は見えない。
(以下略)
山梨県の医療を支える
山梨大学医学部で産婦人科研修医ゼロ
という事態を受けて、県が打ち出した
研修医に来て貰うための「ご褒美」
がこれだ。ssd先生経由。
産科研修医に30万円
県が奨励金
産婦人科医を確保するため、県は、県内7病院で産婦人科の後期臨床研修を受ける研修医に対し、年間30万円の奨励金を出す方針を固めた。すでに後期研修を受けている5人分の150万円を9月県議会に提出する補正予算に盛り込む。新人医師は、2004年度から2年間の初期臨床研修が義務づけられたが、各診療科を回るため専門的な知識や技能が身につきにくい。多くの医師が、専門性を高めるため、初期研修終了後も3年間ほどの後期研修を受けるという。しかし、初期研修で産婦人科の過酷な労働環境を見ていることから、産婦人科は敬遠されがちだ。
県によると、奨励金は、産婦人科の後期研修を行う県内7病院での研修プログラムを受ける医師が対象で、30万円の用途は自由。多くの医師が初期研修終了間際の12月に進路を決めるといい、県議会の承認後、さっそく今年度から導入したい考えだ。
(2008年9月11日 読売新聞)
年額30万円=月額2万5000円=日額822円のお小遣い
をくれてやれば
山梨大学医学部産婦人科や県内の病院に後期研修医が押し寄せる
とでも?
さすがだな、山梨県。産科崩壊が進んでいく理由がよく分かりますね。
今年ゼロだった山梨大学医学部産婦人科の後期研修医
は
日額822円のお小遣いで増える
という発想が誰から出たのやら。この額を見たら
いかに山梨県が「産科医を大事にする」
か、医学生ならたちどころに理解するだろう。
続き。
田中山先生から貴重なコメントを頂いたので再掲する。田中山先生、御教示ありがとうございます。
私は僻地医療で食べている医者ですが、こないだ山梨県と栃木県に勤務先となりうる診療所がないかたずねましたら、両者の対応の違いに唖然としました。
栃木はすぐにでも直接話を聞きたいとのこと。色々条件について教えてくださり、県発行の冊子もくださいました。
山梨県はだいぶ時間が経ってから、「病院に務める気はありませんか」と。こちらが診療所を指定しているのに。ない旨をお伝えして終了したのですが、後日あわてたような文面で、診療所を考慮するのでこちらの連絡先を詳しく教えてほしいとのこと。残念ながら栃木に勤める予定になったので断りましたが、山梨県の厚生科はダメですよ。
あらま〜、せっかく
栃木か山梨の地域医療に携わろうという熱意のある先生から、貴重な申し出
があったというのに
初動が遅い
のじゃ、山梨にはなかなか医師は増えないどころか、
逃散を促進
するばかりですな。
| 固定リンク
« 国が業者に売却した農薬・アフラトキシン(猛毒のカビ毒)汚染米が食用米に混入されて流通(その2)汚染米を売りさばくために農水省が業者に圧力? 応じなかった業者には嫌がらせの噂 | トップページ | シロクジャクの引き取り手探してます@奈良市営「野鳥の森」引取先がなければ殺処分も »
コメント
私は僻地医療で食べている医者ですが、こないだ山梨県と栃木県に勤務先となりうる診療所がないかたずねましたら、両者の対応の違いに唖然としました。
栃木はすぐにでも直接話を聞きたいとのこと。色々条件について教えてくださり、県発行の冊子もくださいました。
山梨県はだいぶ時間が経ってから、「病院に務める気はありませんか」と。こちらが診療所を指定しているのに。ない旨をお伝えして終了したのですが、後日あわてたような文面で、診療所を考慮するのでこちらの連絡先を詳しく教えてほしいとのこと。残念ながら栃木に勤める予定になったので断りましたが、山梨県の厚生科はダメですよ。
投稿: 田中山 | 2008-09-11 15:56
しばしば拝見しております。
>産婦人科医を一人でもよこしてほしい。
これ、何言ってるか自分でわかってないでしょうね。
投稿: cobonzu | 2008-09-12 06:58