妙なところに『四庫全書総目提要』
最近、中国では古典籍が大量にデジタル化されて、CDになったり、あちこちにばらまかれたりしている。日本古典のデジタル化が大幅に遅れていることを考えると、世界への文化発信の意味では、彼我の差は大きい。
中国では、元々、個人がもの凄い馬力で、どうやって入れたのかわからん、という量のテクストを個人サイトにアップしてたりしてたんだけど、最近は人海戦術で大学などがデジタル化しちゃってるから、何が元データかよくわからない電子化テクストがあちこちに落ちている。
使う方が、ちゃんとした校訂本さえ持っていれば、電子化テクストを使うのは、問題ない。直して使えばいいだけだからだ。
で、なぜか、中国医学専門のサイトらしい
中医e百(簡体字)
に
『四庫全書総目提要』(簡体字)
が入っている。肝心の中国医学の古典籍の電子化テクストは大した量が入ってないのに、二十五史や『四庫全書総目提要』が置いてあるのがかなり謎。
他にも同様のサイトはあるんだけど、ここは登録不要で『四庫全書総目提要』を使えるので、感謝して落とす。
各巻ごとの目録はこちら。
『四庫全書総目提要』目録(簡体字)
「存目」提要で炸裂する悪口を読むのが堪らない。
『四庫全書』に収録されている書物の解題は、現代でも、『四庫全書総目提要』を土台にしてるのが多い。いま調べている書物についても、そういう類の解題が大量にあるのを確認。『四庫全書総目提要』の出来がいいのはわかるんだけど、なんだかな。
提要を読んで、あとは余嘉錫の『四庫提要弁証』とか、適宜情報を補いつつ、それ以外に分かっていることを書き足すのが、仕事といえば仕事だけど。
| 固定リンク
コメント
そういうのは、テキストだけじゃなく、画像として、デジタル化されていれば問題ないように思います。
投稿: 麻酔科医 | 2008-09-30 08:33
麻酔科医先生、コメントありがとうございます。
「そういうの」とは、書籍のことでしょうか?
中国では刊本中心、日本では写本中心で古典籍の善本が残っています。写本の場合は、「釈読」をつけないと利用者が限られてしまうので、やはり電子化テクストが必要です。中国の古典籍では善本の基準が決まっており、大量の活字本・影印本がすでに流布し、安価で入手できますが、日本の場合は、写本の自由な比較自体が難しく、影印本は高価で、部数が限られています。すべての代表的写本が電子化されて公開されているわけではなく、日本の古典籍はアクセスの悪さが問題です。
投稿: iori3 | 2008-09-30 11:04