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2008-09-23

佐々木俊尚『ブログ論壇の誕生』文春新書→商業出版や商用サイトが個人blogを引用しても連絡してこない件→追記あり

先日の『諸君!』の鼎談のときに
 『諸君!』の連載を纏めたものを文春新書で出す
と佐々木俊尚さんご本人から伺っていたのだが、発売されたので、珍しくbk1から買ってみた。(いつもはアマゾンか楽天)

内容は、ご本人の仰るとおり
 『諸君!』の「ネット論壇時評」のリライトが中心
だ。ただ、時系列に沿って並べてあるのではなく、章立てには工夫が見られる。
なかなか面白かった。
で、社会学なんかでネットを対象にしている研究で、佐々木さんより調べがたりなくて、更に何も知らない上のおじさん・おばさんをダマしている論文はあるな、と感じた。学生や院生に舐められてますな、文系大学人は。つか、今年のネット関連卒論・修論には、佐々木さんの著書の何冊かを下敷きにしてリライトした論文が多数出そうな悪寒。

問題は、「あとがき」にあるように
 本書ではさまざまなブログから、さまざまな文章を引用させていただいた。ひとつひとつのブログの書き手にご連絡を差し上げてないことについて、ご容赦いただければと思う。
という点だ。
佐々木さんは忙しいんだろうけど(凄い数の講演をこなしているらしい)、他人のblogをタダで見て原稿料を得ているんだから、最低でも、掲載月には、参照したblogにはメールで一言挨拶しておけばいいのに、と思う。
ちなみに拙blogが、なにかに引用されて挨拶が来たことは、ある美術雑誌から一度だけあるが、それ以外は、商業誌や商用サイトに引用されても、何も言ってよこしたことはない。ネットで飯を食ってる年月が長い日経BPやアスキーでもそうだ。
そういえば、昔日経BPが運営していた商用BBS「日経MIX」があった頃、『日経バイト』には日経MIXのログを紹介する頁が巻末の方にあって、そこに発言が掲載されると、些少な原稿料代わりのものが送られてきた(確か図書券だったかな)記憶がある。その頃に比べると、ネットは広大になり、発言は星の数ほど増えたが、ネット上の発言を引用して商用利用する側のモラルは地に墜ちた。せめて引用しましたくらいの連絡はよこせないのか、と、後から引用されていたことを人から教えてもらったり、飛んでくるサイトを逆引きして知って、いつも思う。メール一通書けば済む話だ。引用する手間を考えたら、メールを出すことくらい造作ないだろうに。

で、巻末に
 特別付録 佐々木俊尚が選んだ著名ブロガーリスト
というので200弱程のサイトがリストアップされてるんだけど、本来なら
 このリストに上がるブロガーに事前にまず断りを入れてから掲載するのがスジ
だと思うんだよね。拙blogもリスト上にあるが、佐々木さんからは何も聞いてない。今日、書物を開いて初めて知ったような次第だ。

というわけで、『諸君!』編集部、佐々木さんが自分で断りのメールを出せないくらい忙しいなら、担当編集者がちゃんと引用元の筆者に連絡をいれるクセを付けていただきたい。毎月、引用されるblogの量が100も200もあるわけではないんだから。
 タダだから、blogの文章はいくら使ってもイイ
と、天下の文藝春秋社が考えているんだったら、情けなさ過ぎますが。

続き。佐々木さんの連載とはちょっと違う話だが、blogを出版する場合、記事につけられたコメントをどうするのかという好例を「麻酔科医」先生からコメントで御教示いただいたので再掲する。


日々是よろずER診療—時間外診療に潜む「地雷」回避術   三輪書店 (2008/6/6)

ブログの内容を出版したものですが、
本が出版される前に、コメントを載せていいか、丁寧なお問い合わせを頂きました。
私のコメントはそれこそ、ほんの1行だったのですが。
膨大なコメント全てについて、同様に、コメントした方に問い合わせをされたようです。
ちゃんと医師のコメントであるか確認する意味もあったのかもしれませんが、ブログ同様、誠実な先生だなああと感じました。

「なんちゃって救急医」先生のblog「日々是よろずER診療」はわたしも愛読していて、
 いかに診断が難しいか
を具体的な症例に基づいて、最初は診断名を明かさずにコメント欄で医師の回答を求め、ある程度時間が経ってから、正解を出すというコンテンツが実に勉強になる。

「出典を明示する」そして「商業出版や商用利用の場合は、著作権者に連絡を取る」って普通のことだと思ってたんだけど、blogを利用した出版や商用サイトでは、どうもそうじゃないらしい。既存の出版メディアは、多分
 blogなんて「活字」より下の位
だと思ってるんじゃないかな。だから、商業出版や商用サイトでは、個人blogは勝手に引用してもいいし、引用しても連絡を寄越さないのが当たり前と考えているフシがあるのではないか。

この件については2004年くらいから何回も書いてる話だと思うけど、状況は変わりませんね。

(追記 9/24 16:39)(一部補正 9/30 13:50)
ところで、
 お前の所はヒトの記事や2ちゃんねるの引用や転載(9/30 13:50)ばっかりじゃん
という批判がくるのをある程度は予想した上で、上記の文章を書いたんだけど、ここで想定しているのは
 編集とそれによる感想の部分についてはどうなの
という話である。その辺りがグレーだといつも思っている。

編集作業のオリジナリティがコンテンツの主眼になるblog、たとえば、2ちゃんねるの「まとめサイト」というのはたくさんある。で、商用サイトと商業出版はそれすらパクっていたりする。「まとめサイト」には膨大なログの中から価値のあるスレッドを拾い集める「編集」という過程があるんだけど、そうした手間をそのまま頂いて、まるで自分がその記事を広大なネットの中から「発見」したような顔をしている商用サイトや商業出版があるわけだ。

わたしの本業は
 引用と編集のオリジナリティで成立する稼業
である。同じ書物をみんな引用するが、それをどう引用して組み合わせるかで、ご飯を食べていると言っても過言でない。
同じ引用まではみんな出来る。それをどう組み合わせて解釈するかが、わたしの業界でのオリジナリティだ。

これをblogの話に移すなら、その「組み合わせと解釈」が、ニュース系や掲示板まとめ系の非商用blogの生命線だろう。ただし、それらはその解釈に対価を求めているわけではない。
そうした資源をタダで使って、しかも自分が考えたような風に記事にしている商用サイトや商業出版がある。商用でない個人blogであれば、お互い様で済む話だが、
 情報は金で売る
のが原則の商用サイトや商業出版が同じことをするのは、どうなんだ、それは他人が「タダで提供」しているのをいいことに、自分が働いた振りをしてるだけではないのか、と思うのだ。
最近、
 コピペで卒論を書くのはけしからん
などと、マスコミは言うけど、じゃ、ネットの話を書くときに、果たして、マスコミはある事象に関する一々の発言を全部拾って、自分で編集し直した上で記事を書いてるんだろうか。まずそんなことは不可能に近いだろう。たぶん、そうした過程では、どこかの纏めサイトやblogを利用したりしてるはずだが、そのことに触れることはない。

「僻地の産科医」先生のblog「産科医療のこれから」は、毎日膨大な産婦人科周辺の情報をOCRなどを駆使して網羅しようとしている労作だ。医療記事を書こうとして、これを参照しているマスコミは結構あるんじゃないかと思うんだが、記事を書いた後に、ちゃんと「僻地の産科医」先生にお礼を言ってるのかな。
数多あるblogには、こうした労苦を無償で提供しているものがいくつもあるけれども、そうしたものであっても、「無償である」ことにいいことにして、単なる「踏み台」に使っている商用利用者があまりにも多いのではないか。
それで金を稼ぐつもりなら、タダで配布されているモノであればなおのこと、引用させてもらう時に一言断れよ。それは文筆で対価を得ている人間の最低限の礼儀じゃないの?

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コメント

日々是よろずER診療―時間外診療に潜む「地雷」回避術   三輪書店 (2008/6/6)

ブログの内容を出版したものですが、
本が出版される前に、コメントを載せていいか、丁寧なお問い合わせを頂きました。
私のコメントはそれこそ、ほんの1行だったのですが。
膨大なコメント全てについて、同様に、コメントした方に問い合わせをされたようです。
ちゃんと医師のコメントであるか確認する意味もあったのかもしれませんが、ブログ同様、誠実な先生だなああと感じました。

投稿: 麻酔科医 | 2008-09-23 15:32

ただ、今までも本の中で他の本のあれこれを引用した人は、その引用した本の著者に連絡していたかというと、していない人のほうが多いと思いますよ。している人はしていただろうけど。
巻末に「おすすめブックガイド」をつけた本もよくありますが、リスト作成者がその作者に連絡していたかといえば、やはりしていない人のほうが多いと思います。

既存の出版メディアが、逆にblogを「活字」と同等に扱うなら、連絡なしも普通になっていくのではないかと。
もちろん、全部に断りをいれ、お礼を述べるとしたらその著者はすごく偉いと思いますが、それはたぶん「普通以上にすばらしい」のではないかと。

まあ、私は出版社関連の実例は数例しか知りませんので、出版界の多数派の常識が「引用の際は連絡、お礼をしている」ということなら失礼しました。

投稿: Gryphon | 2008-09-24 03:19

> 「僻地の産科医」先生のblog「産科医療のこれから」は、
> 毎日膨大な産婦人科周辺の情報をOCRなどを駆使して
> 網羅しようとしている労作だ。医療記事を書こうとして、
> これを参照しているマスコミは結構あるんじゃないか
> と思うんだが、記事を書いた後に、
> ちゃんと「僻地の産科医」先生にお礼を言ってるのかな。

そもそも当該のブログは、新聞記事などの転載に際して、
その都度引用元に許可を取っているのでしょうか?
当該ブログに限らないことですが、
「個人ブログが商業出版物や商用サイトを引用するのにあたって
連絡はする必要がない、しかし、
商業出版物や商用サイトが個人ブログを引用するのにあたって
連絡はする必要がある」
というのでは、筋が通らないというか
自分だけにとって都合の良い二重基準ではないでしょうか。
2ちゃんねるにしても、過去ログの閲覧が有料である
などの点からして、
商用サイトの一種であると考えることができますが。

投稿: うみねこ | 2008-09-28 12:36

著名ブロガーではないスポンタです。私は、サイバージャーナリズム論の共著者ですが、佐々木さんと面識はありません。

私が問題にするのは、200人弱のブロガーの中に、懺悔も反省も一切していない、また、現在も信者であることが疑われている元オウム信者がいることです。

佐々木氏は「フラット革命」においても、ことのは事件に言及しるし、今回もあのリストにおいて、M氏の復権を画策しているようです。彼が夢想するブログ論壇なんてどこにもないし、あったとしても、すでにカルト汚染されている。そして、著名であると彼に賞賛された多くのブロガーが無断掲載で憤っている…。やはり、ブログ論壇なんて存在しないんですよ。

ありがとうございました。

投稿: スポンタ中村 | 2008-09-30 09:53

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