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2008-10-07

ノーベル物理学賞を受賞した3人の研究者に対するNHKニュースウオッチ9の非礼ぶり

研究者の世界で
 Dr.とMr.とは天と地ほども違う
ことは、他国ではよく知られている。
もともとはイギリスの植民地だった時代にできた香港大学の教員の部屋に掲げてある名札は、それは露骨に
 Mr.とDr.の区別
がされている。学位がない教員の名札には
 Mr.〜
ときっちり書いてあるのだ。
日本の大学には
 Dr.なんて関係ない教員
が、あちこちにいるから、こうした「学位」明記を言い出すと、必ず教授会で反対されたりするところがある。
もし、大学の教員紹介のサイトで、学位が明記されてないとすると、その大学は少なくとも
 研究業績に対してリスペクトを払わない大学だ
と思われても仕方がない。学位は、現在の日本では
 研究者の免許証
のようなもので、45歳以下の研究者ならば、持ってないとかなり辛いことになる。

今時博士なんて珍しくもない、とDr.を軽々しく扱うのは、NHKの社風なのか。
今夜
 ノーベル物理学賞を受賞した3人の研究者
に対し、NHKニュースウオッチ9のキャスター2人はあろうことか
 さん付
で呼んだ。最近流行の重点化して定員が増えた大学院修了の課程博の若い研究者に対するならともかくも、長年理論物理学で指導的立場にあった碩学をさん付で呼ぶ。
 敬意もへったくれもない
のだ。しかも、青山キャスターは、たしか益川先生に対してだったと思うが、
 学者としてどうですか
と、実に失礼な口のきき方をした。「学者」は、見ず知らずの専門外の他人が、一流の研究者に向かって面と向かって使っていい言葉ではなかろう。相手は
 ノーベル賞受賞者
ではないか。こうしたくだらない口のきき方を誰も注意しないのは
 NHKの慢心
だと思う。

しかも、キャスター2人とも
 素粒子なんて勉強もしてない
という感じだ。中高生の頃に、ブルーバックスを繙いた風には見えませんでしたな。2人とも、中高の頃は、理論物理学の打ち立てた理論が実験物理学によって証明されたり、ダメ出しされたり、実にホットな時代だったはずなんだが、今日のやりとりを聞く限り、彼ら2人の中高生時代に、ちょっとでも理論物理学に興味があったとは思えない。

結局は
 碩学に「芸能人」の役割を振った
というのが、今夜のニュースウオッチ9の演出だ。キャスター2人ももちろんだが
 編責がダメすぎる
のだ。

失礼だとは思わないのか。

わたしは、はらはらしながら、インタビューを聞いていた。
3先生が、実に戸惑っておられた理由は
 先生
と呼びかけなかった、キャスターの非礼がまず第一だろう。
NHKの内規がどうなっているか知らないが
 碩学に対しては、最低でも先生と呼びかけるのが礼儀
だろう。

日本はTitleをゴミのように扱うね。
医師も使い捨て、Dr.もその業績の内容には一切のリスペクトなしで、いきなり
 〜さん付
ですか。
日本では、長い教育を受けた、ということをリスペクトせず、むしろそうしたことをバカにする風潮があるよね。

これが
 悪しき平等主義
でなくてなんだろう。
そんなに偉いのか、NHK職員。

全然
 ノーベル物理学賞受賞のお祝いインタビュー
になってないどころか、ぶちこわしに近かった。

コメントを頂いたので続き。(10/08 7:20)

で、もし、ノーベル賞受賞者にインタビューするなら
 どんな研究をしていて、どういう意義があるか
は、取材する側がきちんと予習した上で、モノを尋ねるのが基本ではないのか。
NHKニュースウオッチ9の2人のキャスターは、予習が不十分を通り越してマイナス。田口キャスターは
 業績はどうわたしたちの生活に生かされるのですか
と、あろうことか
 理論物理学者に聞く愚挙
を公共の電波を使って行った。
 理学部と工学部の違いも分からない人間がニュースキャスター
ですか、NHK。青山祐子が使えないのは、本人に学習能力がない上に向上心もあまりないというのが明らかなのでしょうがないのだが、科学文化部にも所属したという触れ込みの田口五朗がこれなら、NHKって
 勉強しない、努力しない、ただ思いつきで話をする人間が夜9時台のキャスターで大丈夫
だと思っているのか?
 分からないならば、最低でも、相手に敬意を払う
のが、インタビューアのすべきことだ。その敬意すら欠いていた。

「わかりやすく報道する」のは、報道する側に求められる話であって、
 ノーベル賞受賞者に「受賞内容をわかりやすく説明を求める」
のは、理論物理学を、そこらの俗流「科学解釈」でOKと思い込んでいるNHKの傲慢以外の何物でもないだろう。緻密に練り上げられた理論だったからこその
 ノーベル賞受賞
ではないのか。その緻密さこそが、3人の碩学がこれまで業績を積み上げてきた根本ではないのか。
 一言で済むような雑な説明
なら、自分のところの科学文化部で素案を作って、インタビュー中で提示した上で
 わたしたちは〜のように考えたのですが、先生、こうした理解でよろしいでしょうか
と聞けよ。まだそっちのほうが遙かにマシ。

たとえて言うならば、精緻な画面作りを画風とする画家に、いきなり
 これをざっと漫画で描いてみて下さい
と頼んだのが、昨夜のニュースウオッチ9でNHKが要求したことである。

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コメント

このニュースを見ました。

ブログで取り上げられた以外にも、
男のアナウンサーが、業績が『何に役立つのですか?』みたいな質問をしていましたし、
女のアナウンサーが『万歳をしていましたが』と、録画インタビューの前後関係を全く無視した、画面の瞬間を切り取って、全く反対のことを、さもそういったかのように質問していました。

報道としては、いかがなものかと思いました。

投稿: nom de plume | 2008-10-08 04:53

本当に恥ずかしいことですね。同じ日本人として悲しくなります。最近のマスコミは医師のことを医者と言いますよね。あれと同じなんだなあと思いました。教養がない人は、言葉の感性もないのでしょうね。学者と言っていいのは学者だけ、医者と言っていいのは医者だけって思うんですがね。

投稿: 恐慌前夜 | 2008-10-08 18:56

>万歳をしていましたが

別の番組で、やってましたが、

「こうやって万歳でもすればおまえらは喜ぶんだろwww」

という嘲笑だったのですが捏造極まれりですな。

投稿: ssd | 2008-10-08 19:01

非礼ではあるでしょうが、
「3先生が、実に戸惑っておられた理由は
 先生
と呼びかけなかった、キャスターの非礼がまず第一だろう」
というのは違う気がします。
敬称が「さん」であっても、それで戸惑うことはないと思います。

物理学者(とくに素粒子関連)は「先生」と呼ばれるのを嫌う人が結構います。
じっさい
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/d/0810.html#07
「デフォルトの敬称をつけて『益川先生』と呼んだら、『先生なんて気持ち悪いからやめろ。益川さんでいい』と言われた」そうです。

投稿: satl | 2008-10-08 21:47

~さん、と呼んだことを非礼とは思わない。
先生という言葉が嫌いですし。

投稿: 妖 | 2008-10-09 01:34

学問分野による認識の違いがはっきり出ていて興味深かったです。

医学や工学の一部の分野と違って、物理の場合あまり年功や博士などの肩書きにはこだ
わらないように思います。むしろ先生と呼ばれるのが嫌な人も少なくないかもしれませ
ん。ヨーロッパならともかく、日本では「さん」付けでも失礼に当たらないのでは?
確かに手紙の宛名には「先生」とつけなさいとは子どもの頃教わりましたが。

昔クローズアップ現代の国谷さんが「あまり調べすぎないように注意している」と言っ
ていたことを思い出しました。専門誌のインタビューならともかく、一般向けのメディ
アで予備知識のある人しかわからない議論を続けるのもどうかなと思います。

「どんなことに役立つか」、とても大切な質問だと思います。まっとうな研究者なら
自分の研究がどのような位置づけにあるか、日頃から考えているのではないでしょうか。
何もお金とか社会還元とかに絡んだ話とは限りません。

たてついてばかりで済みません。

投稿: 太郎 | 2008-10-09 13:23

「さん」ですが、業者が呼ぶ場合と、素人しかも見ず知らずの他人が呼ぶ場合と同違うでしょう。また、「さんにして欲しい」というのは、照れ・謙遜・親和の表現として理解できますが、そういう人だからといっていきなり「さん」づけで始めるのは失礼でしょう。

それからNHKに限らず主要全紙で「~博士」ではなく、「~氏」になっていますね。これも失礼なこと。

「~さん」も「~氏」も、博士号を持たず大学の先生でもなかった人がノーベル賞をとって以降の悪習でしょう。

投稿: 一言 | 2008-10-09 14:45

はじめまして。

そのインタビューは、ながらで見ていました。
お二人へのキャスターの呼びかけについては同じように感じました。
易しさや分かりやすさをメディアもウリにする傾向がありますので、その手のものが暴走したといえる一つの例なのでしょう。
ただ、権威主義もはた迷惑なものです。必ず悪しきそれがはびこりますから。


長い期間教育を受けられた方なのでしょうか?
相応しい敬称をつけるなど適切な呼びかけは必要ですが、それ以上は一概になんとも言えないでしょう。リスペクトされるかどうかはその人によります。あくまで程度によるのでは・・・。
医療の世界でも同じことです。悪しき権威主義がはびこれば患者のためにはなりません。

医師個人の力量に応じて扱われるべきですから、使い捨て云々は適当だと思いません。

投稿: おきどき | 2008-10-09 22:03

「照れ・謙遜・親和の表現」としてではなく、先生と呼ばれることを本当に嫌う方はおられるんですよ。
放送前の打ち合わせなりの段階で、「先生」は勘弁してください、というお願いを受けたということは十分考えられます。

投稿: nya | 2008-10-10 12:47

海外なら、医師(Ph.DをもたないMD)であれ、科学者(Ph.D取得者)であれ、Doctor◎◎と呼びかけられます。
MrとかMs◎◎とは言いません。

やはり、日本は、そういう点でダメですね。
本人は先生と呼ばれたくなくても、公の席やインタビューの関では、第三者は先生と呼ぶべきだと思います。
外国人で相応の立場にある人に対して、◎◎さんとは呼べば、同時通訳者はMrとかMsと約すでしょうから、失礼にあたります。
国際的な標準に沿った敬称を使うべきです。

NHKのキャスターは、失礼千万ですね。

投稿: 鶴亀松五郎 | 2008-10-10 19:50

NHKの映像を観ていないので、どの程度の打ち合わせがあったかどうか、どうとも言えませんが
御本人の意思を無視してまで、「先生」とお呼びするのはどうでしょうか?

投稿: 竹 | 2008-10-10 23:42

あの男、金メダルとったソフトボール日本代表にも、「あのエラー、どう思いましかね」「だめじゃないかと思ったんじゃないですか」とか、無神経を通り越して「なにもできなかった星野の差し金か?」と疑うようなことを連発してましたな。「大マスコミ様以外、きさまら国民は平等だからありがたいと思え」って感じで、胸糞が悪かった。伊藤敏恵さんかむばーっく

当然NHK請求書は破り捨てています。

投稿: さいとー | 2008-10-11 17:52

>御本人の意思を無視してまで、「先生」とお呼びするのはどうでしょうか?

キャリアのある人物に対して、公式の場で相応の呼称(例えばMrやMsではなく、Dr)を用いるのは、ある意味、国際的常識です。
NHKのキャスターと番組担当者には、その認識が無かったのですよ。
外国人で同様のキャリアのかたがインタビューを受ける場合も、同じです。
本人の意思うんぬんよりも、社会的なエチケットの問題です。

投稿: 鶴亀松五郎 | 2008-10-12 19:20

これって、同僚同士で、お互いを「先生」と呼び合ってる環境に身を置いてる人の反応ともいえるのではないでしょうか。
かつて、教職についていた者としてふとそんな感想を持ちました。

投稿: 人それぞれ | 2008-10-13 10:32

>お互いを「先生」と呼び合ってる環境に身を置いてる人の反応

ていうか、職場内の身内で「・・・さん」と呼ぶのは結構なんですが、
インタビューのような公の席で「・・さん」呼ばわりは、国際的にみても失礼に当たると思いますよ。
例え本人が「・・・さん」で構わないと言ったとしても、TPOをわきまえて敬称を使うべきです。
呼び捨てで構わない、◎◎ちゃんと呼んでよい、本人に言われて、相手に対して公の席でそういう言い方をするのが相応しいか、おわかりでしょう。

私も、職場内の身内で個人的に話題が出たときには、「・・さん」と言うのを見聞きしまし、私的な場面ではそれが許されても、公の席では、「Dr・・」と呼ぶのがエチケットだと思います。

敬称を使う際の、公私の区別をつけることも大切なエチケット(マナーと言い換えても良い)です。
相手が、日本市民であろうと、海外の市民であろうとです。

わたしは、海外に留学していたときは、職場内でファーストネームで呼ぶこともありましたが、それまで面識のなかった方やそれなりの地位の方には敬称を用いました。
海外にいたときの外国人の同僚も、同じように敬称を使分けていました。

日本でも、きちんと敬称を使分けるマスコミもありますから、NHKのキャスターの対応が貧相に思えました。

マナー教育をきちんと行うべきでしょう。
お笑いタレントのエドはるみさんは、舞台女優のころにマナー講師の資格を取って、それを仕事にしておられたようですが、NHKのかたもエドはるみさんから、敬称の使い方のTPOのマナーを教えてもらったら如何でしょうか(笑)。

投稿: 鶴亀松五郎 | 2008-10-13 12:01

>放送前の打ち合わせなりの段階で、「先生」は勘弁してください、というお願いを受けたということは十分考えられます。

ならばその旨をインタビュー冒頭に言うべきでしたね。
「~ちゃん」づけしてと言われていても、説明なしでそう呼んだのでしょうか。
「~先生」と呼べれるべき人を「~さん」づけするのは、一般に「~さん」づけする人を「~ちゃん」で呼ぶのに等しい馴れ馴れしさだと思うのですが。

投稿: 一言 | 2008-10-13 19:03

「先生」を巡って興味深いコメントがいくつもありますが、
インタビューにおいては、敬称を、○○教授、○○博士のようにすれば、この件はすっきり解決なんですがね。
マスコミ、特にNHKには、こうした表現を使うようにしてもらいたいですね。
特に、博士については、○○博士とご本人に対して、敬称として用いる場面は日本ではあまりなじみがないですが、国際的には、インタビュアーがDr.○○と普通に用いていることからも分かるように、立派な敬称です。
ただ、ゆるいアナウンサーにかかると「はかせ」と言いそうで、その点は心配ではありますが。
いずれにしても、まずはNHKに博士を敬称として定着させるべくがんばってもらいましょう

投稿: 敬称のあり方についてNHKにメールしました。 | 2008-10-13 20:19

> ならばその旨をインタビュー冒頭に言うべきでしたね。

「馴れ馴れしいな」と思う人もある程度存在するであろうことを見越した上でそうしておいた方がNHKにとっては無難だったでしょうね。でもそのことと、NHKが御三方に対して非礼であったかどうかということとは別の話です。(僕が拘っているのは「先生」に関してだけで、その他の発言に礼を失したものがあったことについては否定しません)

打ち合わせで「さん付けで呼んでください」という話があったのなら非礼ではないし、なかったのなら非礼です。現時点ではどちらであったのかの断定はできない。それだけのことでは。

投稿: nya | 2008-10-15 18:16

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