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2008-10-22

首都圏産科崩壊 東京大空襲始まる 自分の足元が燃え始めた朝日とNHKが狼狽して墨東病院を叩こうしている件 そんなに首都圏を焼け野原にしたいのか そもそも総合周産期母子医療センターに不適な人員不足に陥っている墨東病院の指定を解除しなかった都政の怠慢が原因だろう

亡くなられた産婦さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

こうなることは2006年にはすでに予見されていたことである。首都圏の産科崩壊が確定したのは
 共同通信の「横浜焦土作戦」横浜・堀病院ガサ入れの時
からだ。2006年は福島県立大野病院の加藤医師逮捕に始まり、堀病院のガサ入れ、そして
 大淀病院産婦死亡事例
と続いた。

2006年12月の段階で、墨東病院の産科がかなり厳しい状況になっていたのは以下の記事の通りだ。
 2006-12-06 東京でも産科崩壊の危機 都立墨東病院産科来春閉鎖or周産期医療センター機能停止か?
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/12/or_804c.html
そして、上記で扱った2006年11月13日以来、墨東病院では、産科診療を縮小し、今も回復してない。
その墨東病院が、いま批判に晒されている。
朝日の記事。


妊婦搬送7病院が拒否、出産後に死亡 東京

2008年10月22日10時30分

 出産間近で脳内出血の症状が見られた東京都内の女性(36)が7病院から受け入れを断られ、出産後に死亡していたことがわかった。手術を受けた病院に到着するまで約1時間15分かかっており、東京都は詳しい経緯を調べている。

 都によると、女性は今月4日、頭痛などの体調不良を訴え、江東区のかかりつけの産婦人科医院に救急車で運ばれた。かかりつけ医は脳内出血の疑いがあると診断し、午後7時ごろから電話で緊急手術ができる病院を探した。しかし、都立墨東病院(墨田区)など7病院から「当直医が他の患者の対応中」「空きベッドがない」などと次々に断られたという。

 かかりつけ医が午後7時45分ごろ、改めて都立墨東病院に電話したところ、受け入れ可能になったという返事が来たため、同病院に搬送。午後8時18分に到着した女性は帝王切開で出産し、脳内出血の血腫を取り除く手術も受けたが、3日後の7日に脳内出血のため死亡した。赤ちゃんの健康状態には問題がないという。

 都立墨東病院は、リスクが高い新生児と妊婦に24時間態勢で対応する総合周産期母子医療センターに都から指定されている。同病院の当直医は本来は2人体制だが、産科医不足で7月から土曜日と日曜日、祝日は1人になっていた。4日も土曜日で1人しかおらず、1人の時間帯は原則として急患受け入れを断っているため、最初の要請に対応できなかった。2度目の要請があった時は、当直以外の医師を呼び出して対応したという。

 都の担当者は「改善を検討していたが、都内でも産科医不足が深刻なため、十分な体制が確保できていなかった」と話している。石原慎太郎都知事は22日、救急搬送拒否について「そういうことのないために東京ER(救急室)をつくった。調べて対処します」と述べた。

極めて難しい
 妊婦の脳疾患
が起きた。責められるべきは墨東病院ではなく
 すでに深刻な産科医不足で、総合周産期母子医療センターとしての機能を果たせなくなっている墨東病院の指定解除をしない都政の怠慢
だ。看板を上げるだけあげさせておいて
 必要な人員がいないのに、それを見過ごして、「総合周産期母子医療センター」の看板を下ろさなかった
のだ。

だいたい、当夜の宿直医は
 研修医
だったのだ。
中国新聞より。


7カ所診療断られ妊婦死亡 医師不足、研修医が当直 '08/10/22

 体調不良を訴えた東京都内の妊婦(36)が都立墨東病院(墨田区)など七カ所の医療機関に診療を断られた後、最終的に救急搬送された墨東病院で赤ちゃんを出産後、脳内出血の手術を受け、三日後に死亡していたことが二十二日、分かった。赤ちゃんは無事だった。

 墨東病院は、緊急対応を必要とする妊婦や新生児を受け入れる都が指定した医療機関。当直に当たる産科医師の一人が退職し、妊婦が搬送された今月四日の土曜日は研修医一人が当直していた。都は、指定医療機関としての態勢に不備がなかったか経緯を詳しく調べる。

 都によると、妊婦は吐き気などを訴え、江東区のかかりつけの産婦人科医院を訪れた。医院は緊急な措置が必要と判断し、墨東病院への搬送を手配。しかし墨東病院は産科の当直医が一人しかいなかったため対応できず、いったん断った。

 妊婦の診療がほかの六カ所の医療機関にも断られたため、医院が再度依頼し、約一時間後に墨東病院が受け入れを決めた。墨東病院は医師一人を呼び出して対応。妊婦は、帝王切開で赤ちゃんを出産後、脳外科で脳内出血の手術を受けた。

 墨東病院の産科医師は、七月からは常勤三人、研修医三人で当直に当たった。平日の当直は二人だったが、週末は一人で、妊婦が搬送された当日の当直は三十代の研修医一人だった。

 重大なケースになると、別の医師を呼び出していたという。

 都は「限られた人材で精いっぱい対応した。痛ましいことで救えなかったのは残念」と話している。墨東病院は、救急患者の診察や緊急手術、救命措置などに当たる「東京ER」を開設。産科は直接は対象外だが、石原慎太郎都知事は「あってはならないことで残念。経緯を調査したい」と話した。

 昨年八月には、買い物中に腹痛を訴えた奈良県の妊婦の搬送先がなかなか決まらず、十カ所目に打診した大阪府の病院に運び込まれたが、死産となった。

最後の緑色で表示した部分、相変わらずマスコミは
 ウソつき
ですね。
 搬送されるかなり前(たぶん数日前)に胎内で死亡していた胎児を娩出した
というのが正しい。
 搬送遅れではなく「自己管理」の範疇の問題を「社会問題にすり替える」
というマスコミ得意の「ウソ」だ。

さて、上記記事では
 東病院の産科医師は、七月からは常勤三人、研修医三人で当直に当たった。平日の当直は二人だったが、週末は一人で、妊婦が搬送された当日の当直は三十代の研修医一人だった。
ええと
 三十代研修医がきちんと対応できなかったのが「墨東病院の怠慢」とでもいいたい
のか、朝日新聞。
それに
 一般的に医療スタッフが薄い体制の10/4土曜日夜間のこの事例受け入れまでの時系列
はこうなる。
 10/4(土)19:00 かかりつけ医から墨東病院に電話、30代の研修医が対応。1人体制なので受け入れ不能と伝える
 同夜 19:45(45分後)墨東病院から連絡を受けた医師が病院へ。受け入れ可能となり、かかりけ医に受け入れ受諾の返事、産婦さんを搬送
 同夜 20:18(最初の連絡から78分後、受諾の連絡から33分後)墨東病院に搬送終了。帝王切開の後、脳外科の手術を受ける。赤ちゃんは無事。
 10/7(火)(3日後)脳内出血のため産婦さんが死亡
これは
 最初の連絡から78分で搬送終了
だから、
 どこの病院も人員の手薄な土曜夜の平均的な搬送時間
でしかも、
 突発的な脳疾患の妊婦さんという「難しい症例」の受け入れ
なのだから、
 「搬送の遅れ」には当たらない
と思われる。

ところが、何が気に入らないのか、朝からNHKも墨東病院を叩き続けている。
NHKと朝日が結託したかのように墨東病院を叩いている理由はただ一つ
 自分たちの足元が燃え始めたのにようやく気がついた
からだ。
残念ながら2005年11月の段階で
 首都圏の産科崩壊が水面下でじわじわと広がっていた様子
は、以下の記事に。
 2006-11-06 首都圏の産科救急崩壊 平日でも産科の搬送に困難 東京・神奈川・埼玉・千葉に平日昼間、NICUに空きがなく群馬の産婦を山梨へヘリ搬送@昨年11月
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2006/11/nicu11_1824.html

このケースは群馬からの搬送先探しだったが、これが都内からの搬送でも目に見える形で現れたのが、今回の
 墨東病院産婦死亡事例
である。
先ほどNHKのニュース7では、冒頭に扇情的な画像をインサートして、墨東病院を叩きまくっていた。
 そんなに朝日の社員やその家族、NHKの職員やその家族の「お産が危機に瀕している」のが怖いのか
朝日とNHK。
煽り立てるのはいいが、やっていることといえば
 東京大空襲
だということに気がついてないところが情けないぜ。NHKや朝日など在京マスコミが騒ぎ立てれば騒ぐほど、首都圏の産科崩壊は速度を増すだけだ。
もう一度聞く。
 研修医の先生が一人しかいない墨東病院産科は「周産期医療センター」として機能しているといえるのか
ちゃんと答えてみろよ、朝日とNHK。

なお、この件については、
 フジテレビの夕方5-6時台の「スーパーニュース」で事実無根の内容(奈良高槻妊婦搬送問題)をあたかも事実のように報道した上、「大淀病院産婦死亡事例」のご遺族をフィーチャーしてインタビューを取っていた
のを見た。

いかに医療が進歩した21世紀にあっても、いまもなお
 お産と死は隣り合わせ
なのだ。
今回の事例では、亡くなられた産婦さんの詳しい病状が不明なのでなんとも言えないのだが、産婦の脳の出血は、残念ながら
 予後不良
になることがある。

そもそも、日本のお産は
 250回に1回は命に関わる危険性のあるお産で、生命に関わる危険なお産の70回に1回は産婦さんが死亡する
のが、2007年の厚労省の調査で判明しているのである。
 2007-03-20 お産の250件に1件は命に関わる危険なお産 命を救ってきたのは産科医
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2007/03/2501_b485.html

2008年10月のここまで、マスコミは産科医を叩き続けた。
その結果
 いままで250回に1回はある生命に危険のあるお産の内、70回に69回までは無事だった
のが、
 無事だったお産の割合が減っていく
だけなのだ。その一つが、残念なことながら、今回の
 墨東病院産婦死亡事例
だとわたしは思う。
 いままで献身的に、文字通り身を粉にして、赤ちゃんとお母さんを救ってきた産科医
が、
 前線から離脱していった現在の「茫漠たる戦線」の惨憺たる状況
が、これなのだ。

医師の心を折り、産科の前線から立ち去らせたマスコミよ、今度は
 乏しい前線の兵員を総攻撃
するのか? そんなに
 日本から産科医を絶滅させたい
のか?

ましてや、この誠に不運でお気の毒である墨東病院産婦死亡事例が他の何かに利用されることなど、絶対に許すことは出来ない。

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コメント

気持ちには同意してあげるから、医者ではないのだからブログの上のほうに※私は医者ではありません と書いておいてよ。
奈良女子大の栗岡先生とか君を医者だと思っているらしいからさ。

投稿: muras | 2008-10-23 02:51

10月22日 機能しなかったER-仏作って魂いれず
http://www7.plala.or.jp/machikun/shortessay172.htm
今回のケース、スムーズに搬送がなされたとしても、結果はきびしいものであっただろうと結論をしつつも、基本的にはERは受け入れ要請を断ってはならないという主張。
過去のコラムを見ても、現場で奮闘なさってきた方だけに、このブログとは大分見方は違うが参考まで。
http://www7.plala.or.jp/machikun/shortessay91.htm
>特に、地域医療の最後の砦である大学病院がベッド満床を理由に救急患者受入れを拒否るることは、絶対に許されない。

投稿: 通りすがり | 2008-10-23 08:49

先ほど、医師法第16条の2第1項についてコメントした者です。

今回の研修医は後期研修医とか、5年目の研修医とか言われています。(個人的には上記医師法に適応される研修医は初期研修である2年目までと理解しています)。

実際に、この2年に経験の満たない研修医が単独研修している礼もあるようですが、今回の件に絡めますと話がややこしくなるので公表しないで頂いた方が良さそうです。

もっとも、この件に対してきっちりとした報道をしていないマスコミが悪い!!と少し逆ギレしてみます。お手数書けて申し訳ありません。

投稿: 県立病院医師 | 2008-10-23 10:09

>基本的にはERは受け入れ要請を断ってはならないという主張。

墨東病院は『総合周産期母子医療センター』と『ER』は、分けています。

産科救急も、すべて「ER」で受け入れろというご意見でしょうか?

引用
『産科救急が別立てになっているのか。そんなことを考えもしない。』
http://ssd.dyndns.info/Diary/?p=2462


投稿: 龍 | 2008-10-23 10:42

ふーん、大学病院が地域医療の最後の砦ねぇ。大学人のコメントを真に受けて、いまだに大学病院をそんな感じで見てる人がいるんだ。実情を知らない人って、お気楽ですね。

で、断ってはならないと。最後の砦っていうほどの臨床レベルじゃない大学病院もありますがね。人の数でも、臨床スキルでも。

人も揃っていないのに受けてしまって、現場が大混乱するのは間違いです。
そういうことをするから、負担がきつくなって疲弊したスタッフが病院から去っていくのがわからないんですかね。
大学病院であろうと、それ以外の病院であろうとも。

いずれにせよ、医療にコストを掛けない政策に由来するマンパワー不足でハイリスク患者の受け入れが困難になっていることを避けてしまう論調は木を見て森を見ずです。

人不足に由来する救急医療の崩壊、産科医療の崩壊、はかなり前から始まっているのに、東京でこのような症例があって、今頃になって見当違いに大騒ぎしているマスコミって、相変わらず学習能力なし。

2年くらい前に東京で大雪でもないレベルの雪が降って、首都圏の交通機関の乱れのニュースを東京のテレビが全国放送で報じたら、それくらいの雪で大騒ぎするなんてと雪国の人たちが呆れてましたが、それと同じかな、マスコミのレベルって。

周回おくれどころか、とっくにレースは終わっているのに、いまだにレース展開の予想をしているくらいの愚かさ。

投稿: 鶴亀松五郎 | 2008-10-24 09:06

タイトルに

が抜けいている件

投稿: | 2008-10-29 16:51

お医者さんのような書きっぷりですが、あなたお医者さんですか?
言いたいことはわかりますし、最終的に本当に問題なのは都側であることも賛成です。
しかし、どうであろうとERは患者の受け入れを断ったら駄目なのです。
ERとしての自覚が足りていないことと、「他にも基幹病院がある」という慢心した心は墨東病院側も反省しなくてはならないと思います。

投稿: トトメス | 2008-11-04 23:11

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