ノーベル賞余話 光らないオワンクラゲに下村脩博士から直電でアドバイス(その2)クラゲが光った!
2008-10-26 ノーベル賞余話 光らないオワンクラゲに下村脩博士から直電でアドバイス@鶴岡市加茂水族館
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/10/post-b497.html
の続き。
上記記事に「光ったみたい」さんからコメントを頂き、読売新聞の記事をご教示いただいた。「光ったみたい」さん、ありがとうございます。
「下村先生、クラゲ光りました」助言でピカリ…山形の水族館発光したオワンクラゲ。水槽内の照明の影響で青く写るが、肉眼では緑色の光が確認できる(1日撮影)
発光する前の状態。光って見えるのは照明を受けて(10月9日撮影)山形県鶴岡市の市立加茂水族館が、今年のノーベル化学賞の受賞が決まった米ボストン大名誉教授下村脩さん(80)から思わぬ形でアドバイスを受け、オワンクラゲの発光に成功した。
下村さんの研究で一躍知名度が上がったオワンクラゲ。しかし、飼育するオワンクラゲは、海に生息するものとは異なり、発光しないのが難点だった。
下村さんとの縁を作ったのは、村上龍男館長が送った一通の手紙。受賞のお祝いを述べるついでに、「うちはたくさんクラゲを飼育していますが、オワンクラゲは残念ながら光りません」と書いたところ、下村さんから10月24日、国際電話がかかってきた。下村さんは「セレンテラジンという物質を餌に混ぜればよいと思います」と助言したうえ、「日本の研究者から取り寄せられるよう手配しておきましょう」と申し出た。水族館は、下村さんから紹介があった三重大から、セレンテラジンを取り寄せ、今月1日に水槽で実験を開始。餌になるシロクラゲ5匹に、海水に溶かしたセレンテラジンを注入して水槽に入れると、10分ほどでオワンクラゲの傘の周りが淡い緑色に発光した。
「下村さんの言う通りにしたら、本当に発光して感動した」と村上館長。「日本に帰った時には、ぜひ来館してほしい」と話している。
(2008年11月2日00時09分 読売新聞)
おお、三重大がセレンテラジンを譲ってくれたのね。下村先生とホタルイカの発光について共同研究している寺西克倫教授がいるのだ。寺西教授と下村先生の関係については、三重大学長のblog「ある地方大学長のつぼやき」の以下の記事に詳しい。
地方大学に勇気を与えてくれる下村脩さんのノーベル賞受賞~ホタルイカの発光の研究をしている三重大の寺西克倫さんは下村先生のお弟子さん~2008年10月 9日 20:02
前回紹介した河北新報も、当然ながら、この
オワンクラゲが光った
ニュースを掲載。
下村さん助言クラゲ鮮やかに発光 加茂水族館オワンクラゲのかさの縁が、ほんのかすかに緑色に発光した。照明の関係で全体は紫色に見える(写真)
山形県鶴岡市の加茂水族館は1日、ノーベル化学賞を受賞した下村脩・米ボストン大名誉教授の研究で話題のオワンクラゲを光らせる公開実験を行い、鮮やかな緑色の発光に成功した。国内の水族館では初の快挙という。
実験では、発光の元となる薬品セレンテラジンを注射した餌用クラゲを、オワンクラゲ1匹が入った水槽に投入。餌を食べたオワンクラゲは数分後、かさの縁が緑色に光り始めた。光は極めて細い筋状で、来館者は水槽に顔を近づけ「光っている」と驚きの声を上げた。
同水族館では長年オワンクラゲを飼育してきたが、餌などの影響で光を発しなかった。村上龍男館長が、オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質(GFP)を発見した下村さんに受賞祝いと相談の手紙を送ったところ、先月24日に本人から電話があり、発光方法などの助言を受けた。
下村さんの仲介で、三重大大学院生物資源学研究科の寺西克倫教授からセレンテラジン約50ミリグラムと発光方法を記したメモが届き、今回の実験に踏み切ったという。
水槽には、東大の田口英樹准教授から贈られたGFPも展示した。村上館長は「先生方のアドバイスに従っただけ。感動している」と話した。
2008年11月02日日曜日
なるほど、下村先生が三重大の寺西教授を紹介して、寺西教授がセレンテラジンと「クラゲの光らせ方マニュアル」を送ってくれたのね。いい話じゃない。
東大の田口准教授が"GFPを贈った"というのも、いいよね。
ノーベル賞の元になったオワンクラゲと抽出された"GFP"を一緒に展示
している水族館は、国内でもあんまりないだろう。これまで熱心にクラゲの展示を続けてきた加茂水族館。一つのことを続けていると、いつかは、こんなちょっといいこともある。一番うれしいのは、これまでクラゲの展示を続けてきた飼育員の人たちだろうな。
クラゲはそんなに長生きしないだろうから、当然、標本も作っておくのだろうな。
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