(訂正・追記 11/5 22:30)
のりのり先生から、コメント欄に次のようなご教示を頂いたので、再掲する。
○○大学臨床准教授のわたしがきましたよ.筑波大学の制度は知りませんが,わたしがもらったのは,医学部の学生実習を受け入れる病院で働いていて,学生実習のその科における責任者になったときにもらえる称号で,臨床経験10年以上が必要らしいです.英文の論文数は必要ありませんの.臨床教授はその病院での学生実習の責任者で,わたしが働く病院では院長せんせいです.お手当ては1円もでません,でも名刺の肩書きにつかってもいいよん,ということみたいです.知る人ぞ知るありがたみの薄い........ですが,肩書き大好き人間にはうれしいかも.
今,気づいたのだけれど,現場で働く人間にとって,医学部の学生さんの実習指導に対する報酬って金銭的にはゼロなのね.まあ,ひとを教えるということは自分も学ぶことなので,自分にも得るものはあるからいいのだけれど.
のりのり先生、ご教示ありがとうございます。
つまり
臨床教授
というのは、研究所の
客員研究員
みたいな立場だと考えてよろしいのですね? 俸給は発生しないが、肩書きには使えるという点が良く似ています。
ということなので、タイトルを若干訂正した。以下の記事も適宜訂正する。
(訂正・追記終わり)
2008-10-27 首都圏産科崩壊 東京大空襲始まる(その4)自宅出産で緊急搬送になった場合のフローチャート
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/10/4-4495.html
の続き。
ニュースウオッチ9では、「江東区の自宅出産」を取り上げていたのだが、実は江東区には、ニュースウオッチ9に取り上げられた助産師さん以外にも、「自宅出産」を推進している助産師グループがある。
助産婦石村
江東区との交渉で、助産師会が出てきたが、その時、声高に交渉していた助産師さんがこのグループの代表である石村助産師らしい。
こんな紹介をしている。
赤ちゃんとの出会いを大切にしたお産の手助けをしたいと考えてます。
東京都江東区付近の家庭出産のお手伝いをしてます。
ところで、いくら途中までは正常に進んでいたお産だとしても、お産には急変はつきものだ。
この「助産婦石村」には当然ながら
嘱託医
がいる。普通、異常分娩になった時点で嘱託医の指示を仰ぐのだが、この嘱託医は
江東区内の病院の医師ではなく、普段は茨城県内にいるらしい
のだ。
石村の活動報告 2006年 脱・少子化フォーラムより。
パネリスト・佐々木純一氏
「助産師・石村」嘱託医で総合守谷第一病院副院長・産婦人科部長、筑波大学医学専門学群臨床教授でいらっしゃいます。
「産婦人科医の立場から言えば現在の少子化はむしろありがたい。医療現場では分娩を取り扱う産婦人科医が減り、一人の医師が分娩を扱うので宿当直が多くハードワークとなっている。また、出産に関する訴訟が増え産婦人科医を辞める人が増えている。分娩の多くは自然に任せれば上手くいくが結果が悪いと非難されてしまう。トラブルが起こったときに鑑定する第三者機関の設置や公的財政支援の対応があれば我々も安心してお産に取り組める。助産師さん、特に石村さんのような人がどんどん出てきて欲しい」と医療現場からお話しいただきました。
で、佐々木純一筑波大学医学専門学群臨床教授が勤務されている、総合守谷第一病院はこちら。
総合守谷第一病院
交通案内。
交通の案内
電車をご利用の場合
関東鉄道常総線新守谷駅下車(関東鉄道常総線はJR常磐線取手駅乗り換え、新守谷駅まで23分)。
つくばエクスプレス守谷駅西口から市内路線バス、松前台1丁目下車 乗車時間約20分 バス停から徒歩1分
車をご利用の場合
常磐自動車道谷和原インターから5分、谷和原インター取手、守谷方面出口へ。国道294号を取手方面に向かい、新守谷駅前を右折、約1.5km。
(略)
高速バスをご利用の場合
東京駅八重洲南口側 高速バス停にて南守谷・水海道・岩井行き、いずれのバスも乗車可。「松前台」停留所下車0分(所要時間約50分)
(以下略)
ええと
八重洲口から高速バスで50分の嘱託医
ってことは
江東区内から緊急搬送できない距離にいる嘱託医
ってことで、つまりは
助産婦石村からの搬送はすべて、嘱託医は取れないだろう
と思われるのですが、
嘱託医って、緊急搬送は完全スルー
で、いいのですね?厚労省。つまり、
形だけ嘱託医で、搬送は東京都の救急隊に丸投げ
体制だと思われるんですけど、
嘱託医はこの場合どういう職務を果たす
のか、是非知りたいです。
で、総合守谷第一病院のトップに「分娩制限のお知らせ」が。リンク先を見るとこうなる。
産科 分娩数制限のお知らせ
2006年10月より、分娩数の制限を行います。
分娩の予約は電話ではなく、当院受診のうえ行ってください。
(茨城県外の方で、過去に当院で出産なさった方の里帰り分娩は電話で結構です。その際は分娩予定日をお知らせください)
予約はかなり早い段階で満杯となることが予想されます。
早期の受診をおすすめします。
2006年10月から、自院が
分娩制限を行っている病院の医師が嘱託医かつ「茨城県守谷市の病院」勤務
って辺り、
助産婦石村からは搬送できない、搬送されても受けられない
ってことではないのですか? それとも
筑波大学付属病院に搬送を受け入れる
ということなんでしょうか? あるいは
都内にある筑波大学の医局が関係している病院に搬送させるための便法
なんですか?
実は、この「助産婦石村」勤務と思われる助産師さんが
消してしまったblog
に次のような記述がある。(魚拓)
http://s02.megalodon.jp/2008-1028-1933-14/d.hatena.ne.jp/bunchan_k/20081023/1224730094
より。
出産直後の多量出血は緊急性がないの?!羊水込みで900mlじゃあ、大したことないのかもしれないけれど、出血が止まらないから状態が悪くなる前に送るんじゃないの! 嘱託医じゃ対応できないから、お願いしてるんですけど?!( ←感情的な文章でごめんなさい…当時はこんな気持ちでした。)
嘱託医じゃ対応できない
と、堂々と書いてあるわけで、気になってたんだけど
筑波大学医学専門学群臨床教授で守谷市勤務
じゃ、
形だけの嘱託医
ってことですね。
上記blogの魚拓を読むと
助産婦石村の嘱託医は機能してない
ことが、よくわかる。
これで「安全な自宅出産」を標榜
している事の方が、問題ではないか。
嘱託医がどういう指示を出すのか不明だが、
助産婦石村の提携病院
というのが、Q&Aに掲載されている。
Q. もし、何かあったらどうなるんだろう・・・
A. めったにないことですが、すみやかに紹介先医療センターに送ります。その時は、助産師が付き添い、責任をもって送りますからご安心ください。
で、「紹介先医療センター」と嘱託医の関係はよく分からないのだが、次のような病院の名前が挙がっている。
-紹介先医療センター
社会福祉法人賛育会賛育会病院
日赤医療センター
都立墨東病院
その他
なお、「助産婦石村」は、政界ともつながりが深いようで、昨年の
脱・少子化フォーラム
には、次のような政治家がメッセージを寄せたり、パネリストとして発言している。
http://www.josanpu-ishimura.com/activity/syoushika.html
平成19年7月8日、江東区深川江戸資料館において「脱・少子化フォーラム〜産む喜びを〜」を行いました。
フォーラムにいただいた応援メッセージです。
衆議院議員・防衛大臣(当時)の小池百合子先生
参議院議員・元法務大臣の南野知恵子先生
パネリスト:衆議院議員 萩原誠司氏
ところで、「助産婦石村」では、
次のような「産科臨床的指導」
を行っている。(適宜抜粋)
よくある質問
Q. 会陰切開をしないで、大丈夫なんですか?しないために、たくさん裂けそうでこわいな。
A. ご心配なく。多くの出産に立ち会ってきましたが、大きく裂けてしまったという方はいません。助産師の言葉に耳を傾けて、上手にいきむことで、会陰がよく開くのです。
Q. 水中出産は可能ですか
A.できるだけ希望に沿えるようにいたしますが、赤ちゃんの衛生面を考慮し、お断りさせていただく場合があります。
Q. お産が重なったりしませんか
A. 重なった場合でも、対処できるように助産師が控えておりますので、ご安心ください。皆さまが順調にお産できるようよく祈念してます。
いろんな意味で、突っ込みどころ満載な悪寒。
続き。(18:20)
コメント欄に、麻酔科医先生、地元民さん、Yosyan先生、僻地の産科医先生からコメントを頂いた。どうもありがとうございます。
で、Yosyan先生が、今年1月にこの
ベッドを持たない助産所の「緊急搬送先病院」問題
について、考察されているので、以下をご覧下さい。「新小児科医のつぶやき」より、
2008-01-19 助産師会の実力
問題となっているのは
医政発第1205003号「分晩を取り扱う助産所の嘱託医帥及び嘱託ずる病院-又は診旛所の確保について(協力依頼)」(PDFファイル)
で、この中の
2 対象となる助産所
分娩を取り扱わない助産所については、嘱託医師及び嘱託医療機関を確保しなくともよいこととしたこと(施行規則第3条第1項第5号及び第15条の2第1項)。
というのが、助産師会の解釈では、
助産所の嘱託医・連携医療機関について
良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部改正する法律案が平成18年6月14日成立しました。本会に深く関係する箇所は第19条になります。
改正前:助産所の開設者は、嘱託医を定めて置かなければならない。
改正後:助産所の開設者は、厚生労働省令で定めるところにより、嘱託する医師及び病院又は診療所を定めておかなければならない。
となりました。有床助産所が対象です。
(以下略)
となっていて
自宅出産では「嘱託する医師及び病院または診療所を定めなくてもいい」と解釈
しているようなのだ。
いや、これは、何が恐ろしいって
自宅出産が異常分娩に移行したとたん、アトランダムに地域の病院に「キラーパス」が可能
だということで、しかも
提携している確実な嘱託医がいなくてトラブルが起きたとしても、助産師はお咎めなし
ってことでしょ?
で、10/24のニュースウオッチ9は、知ってか知らずか
産科が足りているとは言えない江東区内の自宅出産で「キラーパス」を通せないのは困る
という助産師会の主張を
肯定的に取り上げていた
ってことになりますな。
助産師会は、これ以上
産科医を殺したいのか
よ。そんなに
産科医が憎い
ですか。このままでは産科医は絶滅するだろう。そうなると、助産師大活躍だが、
全例「自宅出産」に移行して、周産期死亡率を戦後すぐのレベルにまで上げたい
のでしょうかね。
少子化
どころか
母子ともに危険なお産が増える
のだから、
子どもを生むことが可能な若年層=労働人口の中核的年齢層
をも減らして、
将来の労働力である子どもと、現在の労働力である若い女性の社会的寄与を削減する
ことにしかならないのだが。
日本の若年層は中国や韓国ほどではないけど、男女人口比が不均衡になっているから、
もっと子どもを産める若い女性を増やしたいなら、「輸入するしかない」
んですけどね。助産師会がそこまで考えているとは到底思えない。