木簡学会 12/6-7@奈文研講堂
毎年恒例、12月の第一土日は木簡学会。
今年は発表しなくてはいけなかったので、半分死にかけつつ参加。30分で中国古典文献学の話をする。木簡学会は半分は現場で掘っておられる方達なので、できるだけ漢文をわかりやすく説明するのがポイント。てか、白文で出さないとわからない資料なんだけど、白文は、実は国史の先生方もお嫌いらしい。訓点打ってあるほうがダメなんですが、わたし。当然、訓点は打たず、問題となる部分の色を変えて説明。
2分で分かる『経典釈文』序録(もちろん一部だけ)
とか、荒技を繰り出してなんとか終了。
『経典釈文』序録について言えば、それだけで半年間は授業が出来るわけで、その一部とはいえ、大学の授業(大抵は中文・中哲専攻の二回生向け授業だろう)であれば、2-3コマかけて説明するところを2分(スライド4枚)で片付けたんだから、まあ、なんと申しましょうか。白文をおまけにつけようか、最後まで悩んだんだけど、白文だけ付けても、たぶん、資料としては再利用していただけないだろうと思い、止めた。『経典釈文』序録に訓点を打つのは、ちょっとイヤだし。中文や中哲の授業だったら、説明するときに訓読はするけど、資料は白文で渡す。点は学生が各自自分で打つのが原則だ。そっちに慣れているので、どうも、配付資料に訓点を打つのには抵抗がある。
今回は
歌木簡とその周辺
の実にホットな話題が凄かった。
一番感動したのは、犬飼隆先生の
万葉仮名は「渡来人の作った書記法」
という指摘で、
上代特殊仮名遣いを聞き分けたのは、日本語のネイティブスピーカーではなく「外国語の耳を持っていた渡来人」
というお話だった。いや〜、長年の
上代特殊仮名遣いの疑問が氷解
しました。
恒例の「木簡観察」の時間では、単眼鏡をぶら下げて、舐めるように出土木簡の現物を眺めてきた。石神遺跡から出ている「天王」木簡が面白く、以前調査した徳島・観音寺遺跡の『論語』木簡との字体の類似性を感じた。ちょうど、徳島県埋蔵文化財センターの藤川さんがいらしたので、「天王」木簡を見ていただいて、奈文研の飛鳥・藤原調査部の市さん達と意見を交わした。
しかし、石神遺跡は何が出て来るかわかりませんな。
今後の課題は
紫香楽宮の遺跡である、甲賀の宮町遺跡を見に行きたいが、足がない
という件。担当の方から
車で来ると、ICから5分の現場なんですけど、バスだと、一番近い停留所から1時間歩きます
と伺った。今週から現場の発掘を再開するらしい。行きたいけど、そもそも免許を持てない身体的問題があるので、困っている。だいたい、世の中に、
宮町遺跡まで車を飛ばす趣味
のあるヒトがそれほどいるわけでもないしなあ。
ところで、何人もの方から、拙blogの記事に関して、お尋ねがあった。むむむ。木簡学会では、結構読んでる方が多いのね、とちょっと冷や汗をかく。
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コメント
木簡学会で発刊している木簡学会誌を求めたいのに、どうすればいいんですか。
詳しいのが分かりたくてインターネット検索をしたが、木簡学会のホームページや関連内容を探すことができなかったです。そうしてこちらを通じてなら情報を得ることができそうだと思ってこんなに質問申し上げます。 すみませんが、分かっていれば教えて下さい。
投稿: hikari | 2009-08-25 16:16
hikariさん、
木簡学会の事務局は以下の通りです。
木簡学会
〒630-8577奈良市二条町2−9−1
奈良文化財研究所史料研究室気付
電話は庶務が取り次いでくれるか、直通番号を教えてくれると思います。
電話 0742-30-6733 (管理課庶務係)
投稿: iori3 | 2009-08-25 16:30