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2008-12-13

GPF 浅田真央優勝! 国際大会史上女子で初めて2度のトリプルアクセルを成功させる 安藤美姫も認定されなかったが4回転サルコウに挑む

その時は、実に静かにやってきた。

浅田真央が「敵地韓国での開催」という悪条件をはねのけて、国際大会で女子史上初めて二度のトリプルアクセルを成功させ、GPFで2度目の優勝を果たした。

その飛躍があまりにも自然であったために、わたしはしばらく、
 世界初の成功
ということを、実感できなかった。それほど
 あのフランスでの惨敗からわずか1カ月後で、浅田真央は、すばらしい飛躍を取り戻していた
のである。

正直な話、わたしは
 五輪前のシーズンなのだから、今シーズンは「勝負」にこだわる必要はない
と思っていた。
 GPFは、開催国韓国のキムヨナに譲っても構わない、ともかく、ケガなどせずに、無事シーズンを終わって欲しい
というのが、本音であった。
しかし、浅田真央は自分の課題を易々と解決し、その結果、
 GPFでの優勝
をも手に入れたのである。

ISUの発表したGPF女子フリーのジャッジペーパー(PDF)


1 Mao ASADA JPN
Total Segment Score=Total Element Score+Total Program Component Score (factored)-Total Deductions
123.7=64.52+59.60-1.00

Executed Elements / Base Value / GOE /The Judges Panel(in random order )/ Scores of Panel
1 3A+2T/ 9.50/ 0.80 1 1 2 1 0 0 1 1 1 - - - 10.30
2 3A 8.20 1.40 2 0 1 2 1 1 1 2 1 - - - 9.60

3 3F+2Lo+2Lo 8.50 0.40 1 1 1 1 0 -2 0 0 1 - - - 8.90
4 FSSp3 2.60 0.30 1 1 1 1 1 0 0 0 1 - - - 2.90
5 SpSq4 3.40 1.60 2 1 1 2 1 2 0 2 1 - - - 5.00
6 3S 4.95 x 0.60 1 0 0 0 0 1 1 1 1 - - - 5.55
7 3F< < 1.87 x -1.00 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 -3 - - - 0.87
8 3T 4.40 x 1.00 0 1 1 1 1 2 0 2 1 - - - 5.40
9 2A 3.85 x 0.40 0 0 0 0 1 1 0 1 0 - - - 4.25
10 FCoSp4 3.00 0.60 1 1 1 2 1 1 1 2 1 - - - 3.60
11 SlSt3 3.30 1.00 2 1 2 2 2 2 2 2 1 - - - 4.30
12 CCoSp4 3.50 0.40 1 0 1 2 1 1 1 0 1 - - - 3.90
Total 57.07 64.57

Program Components Factor
Skating Skills 1.60 8.25 7.50 7.75 7.75 7.75 8.25 7.00 7.75 8.25 - - -7.80
Transition / Linking Footwork 1.60 8.00 6.25 7.25 7.50 7.75 6.25 6.25 7.00 7.00 - - - 6.95
Performance / Execution 1.60 8.00 7.25 7.50 7.50 7.50 7.75 7.00 8.00 8.00 - - - 7.60
Choreography / Composition 1.60 8.25 7.25 7.75 7.50 7.75 7.50 7.00 7.50 7.50 - - - 7.50
Interpretation 1.60 8.00 7.00 7.25 7.50 7.50 7.50 7.25 7.25 7.50 - - - 7.40
Judges Total Program Component Score (factored) 59.60
Deductions: Falls: -1.00 -1.00

ご覧のように
 最初のコンビネーションジャンプ 3A+2Tとその次の3Aが認定
されている上に、どちらも
 加点
されているのだ。特に二度目の3Aは、NHK杯の加点1.6には及ばないが
 1.4
も加点された、高さのある、素晴らしい質のジャンプだった。
この2つの3Aを浅田真央は、実に軽々と決めた。それがあたかも当たり前であるかのように。

演技構成点(TES)の基礎点から見ると、
 浅田真央は57.07点
であるのに対し、
 キムヨナは51.19
 ロシェットは52.78
 コストナーは57.15
 安藤美姫は48.65
 中野友加里は45.03
で、一度のジャンプ転倒を除けば、高い基礎点の演技構成を、ほぼ確実にこなした浅田真央が圧倒的に有利ではあったのだ。

タラソワコーチに
 死ぬ気で滑りなさい!
と指導されたというSlStは、レベル3で加点もNHK杯とは変わらない。NHK杯のBS放送恒例の
 豊の部屋
に呼ばれた浅田真央は、細かいステップにまだ取りこぼしがある、と樋口豊に指摘されていた。今日の試合では、その辺りを完成することよりも
 3Aを2度飛ぶ
ことに集中していたのだろう。

これが今シーズン3試合目の浅田真央だと思うと、昨年までの浅田真央とは全く別人のように見える。
 大人になった
といえば簡単だが、そうではなく
 波立つ感情を、押さえて、集中できるようになってきた
つまりは
 アスリートとして、より一歩進歩した
のではないか。

昨年の浅田真央は、ともすると、感情の揺れが演技に現れていた。そこが魅力でもあり、また、浅田真央ファンをはらはらさせる要素ともなっていた。
今年の浅田真央は
 自分の課題を一つ一つこなし、着実に成長するアスリート
に変わった。練習環境も落ち着き、斯界のベテランにして優れた指導者につき、
 まだまだのびしろがある
ところを見せている。昨年までの浅田真央は
 成長の痛み
を見せることがあったけれども、今年の浅田真央は、
 痛みを表に見せない「プロ」のアスリート
になっている。少女らしい茶目っ気はまだ残ってはいるものの、
 自分の「仕事」に対する態度はまさにプロそのもの
である。愚痴をこぼさず、前へ進む。そしてその
 浅田真央の求める「高み」の高度
を思うと、慄然とするのだ。

かつてのプルシェンコがそうだったように、浅田真央は、すでに
 女子選手の枠を超えたスケート
に挑み始めている。
天才だけが許される、未知の領域へ、足を踏み入れているのだ。

その成果を見られるのが、再来年のバンクーバー五輪なのであれば、喜びに堪えない。
1人の天才が成長していく様子を見守ることが出来る時代に生きていることは実に幸せだ。
天才と同じ時間を共有できないことの方が、遙かに多いのだ。

安藤美姫のジャッジペーパーには、確かに
 4S<
と記録されている。
 4回転サルコウを行おうとしたが、回転不足に終わった
という意味だ。
今シーズンも、安藤美姫は好調とは言い難いのだが
 4Sに挑む気持ちが戻ってきた
のは、よい兆しだと思う。

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