産科崩壊 「自然なお産」を標榜する40代の助産師による指導で自宅で思いがけなく水中出産してしまった末に産褥熱に しかも臍の緒を切る鋏などの器具を陣痛の始まった産婦に煮沸消毒させる 消毒薬は「アルコール」と「松の油」のみ持参
先日、TBを頂き、また拙blogの記事をご紹介くださった「琴子の母」さんのblog「助産院は安全?」に
自宅で水中出産させてしまった上に、臍の緒を切る鋏などの器具を事前に陣痛の始まった産婦自身に「煮沸消毒」させた助産師
の話が紹介されている。このお産で、「ちまの母」さんは、
産褥熱
に罹ったとか。現在、助産師会と係争中という。
詳しくは
産褥熱
をご一読ください。
「ちまの母」さんの受けた仕打ちの部分を上記記事から引用する。
2人目を自宅出産したものです。
助産師からは、陣痛がきて時間があったら、お産のときに使う器具の入った金属製の容器に、水を入れて、ガスにかけて10分程度煮沸消毒するよう指示されました。容器には臍帯切断のためのはさみや会陰裂傷したときに使ったクリップ、せっし等が入っていました。
(略)
破傷風菌も芽胞を作ります。煮沸消毒では効果がないようです。
助産院や自宅だからといって、感染管理を怠ってはいけないはずです。私の関わった助産師さんは「助産院は化学的なものは使わないで、なるべく自然のものでという方針」だと言っていました。それから、「自宅は妊婦が住んでいるところなので常在菌がいるから安全とか言ってました。だから、消毒類も一切持ってきてなかったです。助産行為するのに。私は産褥熱でひどい思いをしました。
自然にこだわらないで、母子の安全を一番に考えて欲しいです。助産師さんがその責任をおっているのですから。私の場合は、特に希望したわけではなかったのですが、自宅のお風呂で水中出産してしまいました。
和痛のために入浴するよう言われて、お風呂に入っていたら陣痛が強くなりそのまま動けなくなってしまい、赤ちゃんの頭がでました。
入浴前に助産師さんによる浴槽の洗浄・消毒もなく、さらに、助産師さんのすすめで事前に貸し出しされていたジェットバス(家庭用気泡浴装置)を出産中に使用していました。産後は、39℃台の発熱、じっとしていても汗が出るくらいの腹痛で、そんな状態で通院するのも大変でした。
その装置から水アカが出ていたので、後で聞いてみたのですが、その装置は何年間も妊婦間で洗浄・消毒をせず、使いまわしていたようです。
産科で経緯を話したら、水中出産時の感染ではないかということでした。赤ちゃんは幸い、肺炎を起こすことなく、無事でした。それから、なぜ、妊婦に煮沸消毒させたかということですが、簡単な作業だから任せてよいと思ったんですかね。助産師さん自身でしっかりと管理するべきだと思います。
それから、赤ちゃんの臍の消毒は、臍セットに入っていたアルコールを使っていました。それ以外、消毒薬はもってきてなかったのですが、助産師さんが用意してくれた入浴剤に松の油が入っているから、そこに抗菌効果を期待していたみたいです。出産時の入浴や、導尿のときに会陰を拭くのに使っていました。
唖然というか
よく「ちまの母」さんと赤ちゃんが予後が悪くなく済んだ
と思う。
自宅には常在菌がいるから安全
って、
どこの世界の衛生学
なんでしょうか。
これが
自然なお産
の目指すところらしい。
え〜、こないだ医学史のおさらいをしていたんだけど
19世紀の細菌学並の知識
だと思うんですけど。
破傷風菌の芽胞の発見は19世紀
だからね。で、
破傷風菌の嫌気培養に成功したのは北里柴三郎
でしたね。
で、「ちまの母」さんは、現在係争中の様子なのだが、こんな感じだそうだ。不潔な器具で新生児破傷風のコメント欄より。
助産師会と交渉を続けていますが、担当だった助産師さんとの連絡を一方的に断たれたり、記録開示に応じなかったり、非を認めなかったりと対応がひどいので精神的に参ります。(2009.01.27 00:17:41)
その助産師さんは40代でした。総合病院で勤めているたこともあるらしいので、感染管理について知っているはずだと思っていましたが、そこの助産院のやり方に染まってしまったのかなと思います。それから、助産院は閉鎖的な環境なので、新しい情報が入ってくることもないのかなと思います。井の中の蛙というか。
はじめは助産師会も公にされたくないからか下手に出ていましたが、私たちが保健所に苦情を出した頃から態度が一変。交渉の日が近づいてきたある日、金銭的な賠償と助産師の免許証をみせて欲しいとお願いすると、「はー?もぐりだと思ってんの?弁護士に相談してくるわ」と逆切れされ、ドタキャン。私たちが我慢を重ねて、ようやく延期となっていた交渉の日が近づいてきました。
(2009.01.27 23:55:22)
かなりひどい話のように思います。
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コメント
ご紹介の記事の事実関係が正確なのであれば、今後、地域からの産科医の撤退が進むと、こういう事例は増えるでしょうね。
もちろん、病院や診療所での分娩でも深刻な合併症は起きますし、しばしば命に関わります。
しかしながら、さすがに最善を尽くして結果が悪かったと言うことと、基本的な感染予防が行われていないということは別問題です。命に別状がなかったということであれば、どんな合併症が出ることをも覚悟しなければならないという時代がまもなくやってきそうですね。
ただ、合併症が増えればやがて死亡例も出始めます。助産所や自宅助産での母児の死亡はこれまでほとんど報告されてきませんでしたので、数が増えて社会問題化するまで手を着けられることはないでしょう。
投稿: rijin_md | 2009-01-29 03:37
これが、自然なお産を推奨する団体の希望するお産、というわけですね。
投稿: 暇人28号 | 2009-01-29 13:48
はっきりいってその助産師は女性の敵ですね。
出産する者を危険な目に遭わせる(しかも医学的根拠なしに)のですから、こういわざるを得ません。
投稿: 須原 | 2013-05-28 21:54