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2009-01-25

不妊治療を受けなければならないほど妊娠しにくい女性(女性不妊)はもともと赤ちゃんが育ちにくい 不妊治療によって周産期に問題が起こるわけではない@ノルウェーの研究

不妊治療などという医学的手段がなかったころ
 子どもに恵まれにくい女性
とは、
 全く妊娠しないか、運良く妊娠しても、その子がお腹で育たなかったり、生まれてきても、亡くなることが多い
女性のことを指した。現在は不妊治療が発達し、上記のような女性であっても、幸運ならば、子どもに恵まれる可能性が出てきた。とはいえ、不妊治療を受けている人たちの全員が子どもに恵まれるわけではないし、子どもに恵まれたとしても、その子どもが早い内に亡くなってしまったり、亡くならないまでも、生まれたときの条件が悪い事実は知られている。
今までは
 不妊治療で多胎妊娠をする
のが、その原因と考えられてきたが、現在
 多胎にならないように胚を戻す
ようになっている。ところが
 多胎でなく、お腹に一人の赤ちゃんしかいなくても、同じように、不妊治療を受けている女性の赤ちゃんには問題が起きやすい
ことが分かってきた。
では、
 不妊治療を受けた女性から生まれた赤ちゃんに問題が起きやすい理由は「不妊治療」によって、人工的に妊娠をコントロールしたからなのか、それとも「母胎自体に問題がある」のか
を切り分けなければならない。この難しい問題について、ノルウェーで研究が報告された。

僻地の産科医先生のblog「産科医療のこれから」の記事、
 生殖補助医療技術は周産期リスクに関連せず
に詳しい内容が紹介されているので、是非ご一読下さい。

解説部分を引用しておく。


母体要因が周産期の結果に影響
   国立成育医療センター・周産期診療部 不妊診療科医長
             斉藤英和

(略)
 生殖補助医療に関連する問題の1つとして、この方法で妊娠した周産期における予後が悪いことが指摘されてきた。その主たる原因は多胎妊娠によるもので、単胎妊娠に比較し多胎妊娠では、この不妊治療法を用いない自然の多胎妊娠でもリスクが高いことが知られている。多胎妊娠率は2006年に生殖補助医療で妊娠した患者の約13%と、自然妊娠の1%弱に比べるとかなり高頻度となっている。このため、わが国を含め全世界で、単一胚移植の実施が急務となっており、わが国でも2008年の日本産科婦人科学会の総会で、原則単一胚移植とすることを議決している。これにより、生殖補助医療が高頻度に引き起こしていた多胎妊娠による、周産期のリスクは回避されると思われる。

 しかし最近、単胎妊娠においても、生殖補助医療で妊娠した症例は、自然に妊娠した症例よりも周産期のリスクが高いとの報告が相次いでなされた。早産が多く、低出生体重児を出産しやすく、出生体重も妊娠週故に比較し低い児の割合が高く、周産期死亡率が高いことが、生殖補助医療で妊娠した症例のリスクとして指摘された。しかしこれらの報告では、このようなリスクの差が、生殖補助医療の手技そのものが原因なのか、この治療を受けた患者自体が自然に妊娠できる人と異なり、もともと周産期のリスクを引き起こす素因があったのかが、明確にされていなかった

 そこで本研究では、2つの方法を採用して検討を行っている。(略)
 従来の報告と同様に、自然妊娠した女性と比較し生殖補助医療で妊娠した女性は、妊娠期間が短く、低出生体重児を出産しやすく、出生体重も妊娠週数に比較し低い児の割合が高く、そして周産期死亡率が高いことが、生殖補助医療で妊娠した女性のリスクとして指摘された。
 一方、自然妊娠と生殖補助医療での妊娠の2種類を経験した女性における周産期リスクを比較すると、2種類での妊娠期間、出生体重は同等であり、出生体重が妊娠週数に比較し低い児の割合も同等であった。また、周産期死亡率は生殖補助医療での妊娠で低値を示した。
 よって、生殖補助医療で妊娠した女性における周産期リスクの上昇は、生殖補助医療技術そのものではなく、この治療を受ける女性の素因によるものである可能性が高い。この研究より、われわれは、不妊女性のもつ周産期リスク素因が何であるのか、さらに追究し解明していかなければならないことを強く意識しなければならない。

女性不妊で、不妊治療を受けているとすれば、
 もともと赤ちゃんが育ちにくい母胎
であることが、この研究の示すところである。
 女性不妊で不妊治療を受けて妊娠した場合
に、産科がどう関わり、どういう周産期管理をしなければならないかは、これからの課題だ。

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コメント

×低出生体重犯
○低出生体重児  

投稿: 麻酔科医 | 2009-01-25 22:44

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