小児科医療崩壊 「スパルタクスの叛乱」か? 広島大学医学部でこの3月末でに小児科医10人辞職3人が産休 すでに9月以降2人が辞職、1人が4月以降に辞職予定
嗚呼、広島大学医学部小児科教室。
朝日関西版より。
広島大小児科医師、10人辞職へ 地域病院に派遣困難2009年2月20日
広島大学病院小児科医局の医師10人が今年度末で辞職することが、広大への取材でわかった。ほかに、昨年9月からすでに2人が辞職し、今年4月以降も1人が辞める見込み。4月に後期研修医7人が入局するが、同医局がこれまで通りに地域の各病院に医師を派遣するのは困難で、小児医療が十分提供されなくなるおそれがある。
広大によると、同医局には約120人の医師がおり、うち約100人が広大病院以外の広島県内の公立と民間の30病院へ派遣され、常勤している。
3月末で辞職するのは、広島市立舟入病院(広島市)や呉共済病院(呉市)に派遣されている医師ら8人と、広大病院内で勤務する2人。辞職する医師たちのほか、昨秋から今年度末までに3人の医師が出産にともなう休暇に入る。このため4月以降は各病院への派遣体制を見直さざるを得なくなり、入院機能を維持できずに、外来のみとなる病院が出てくる可能性もある。
呉共済病院では、4人の小児科医のうち広大からの1人が年度末に退職するため、市内の3病院で実施している夜間救急輪番制のあり方を見直すよう関係機関に求めているという。
13人の辞職理由は「県外の医療機関に赴任する」5人、「開業する」4人、「家庭の都合」2人、「眼科医になる」1人などだが、多くが「疲れた。体力が持たない」と述べているという。小児科は夜間に診療を希望する患者が多く、他科より勤務がハードだとされる。
医師の大学病院離れの背景には、04年に始まった国の新臨床研修制度がある。制度によって、新人医師は大学の医局を経ずに自らの意思で全国どこの病院でも研修先に選べるようになった。大学病院の医局に入ると中山間地域へ派遣されることなどを理由として、都市部の民間病院に人気が集中。大学病院で研修する割合は新制度実施前の7割から半分以下に減少した。
広大の小林正夫教授(小児科学)は「大学病院以外の病院にも地域の病院への派遣機能を持ってもらわないと、地域医療は破綻(はたん)する」と話している。(辻外記子)
ええっと、整理すると
9月以降に辞めた先生 2人
3月までに辞める先生 10人
4月以降に辞める先生 1人
産休入りする先生 3人
の
計 16人
が、現場を離れるか既に離れている。
で、
これから入局する後期研修医 7人
で、新年度始まってそれほど経たないうちに
現有勢力から 9人足りない状態
になるってことね。しかも7人は後期研修医だから指導医が必要。
今のところ、広大医学部小児科のページには、特に4月以降についてはなにも書いてない。
広島市立舟入病院小児科の現有勢力。
小児科
・兵藤 純夫 部長(兼) 昭和55年医師免許証取得
広島大学医学部臨床教授 日本小児科学会専門医 日本小児神経学会専門医
・岡野 里香 部長 昭和62年医師免許証取得
日本小児科学会専門医
・髙本 聡 部長 平成2年医師免許証取得
日本小児科学会専門医 麻酔科標榜医
・金子 陽一郎 副部長 平成5年医師免許証取得
日本小児科学会専門医
・下薗 彩子 副部長 平成9年医師免許取得
日本小児科学会専門医
・米倉 圭二 医師 平成13年医師免許取得
日本小児科学会専門医
・田辺 真奈美 医師 平成17年医師免許証取得
・岡本 珠緒 医師 平成16年医師免許証取得
・田中 麻希子 医師 平成18年医師免許証取得
・今中 雄介 医師 平成18年医師免許証取得
田辺先生以下の4人の先生は、卒後5年以内の若手医師で、3人が恐らく女医さんである。卒後5年以内ってことは
後期研修医の先生方
ってことですかね?
舟入病院の後期研修医の待遇は以下の通り。
後期臨床研修医募集(小児科・小児外科)
募集資格 2年間の初期臨床研修修了者または修了見込者
募集人員 小児科・小児外科とも若干名
身分 非常勤嘱託医
待遇
月額報酬 免許取得後の経験年数3年の方で、37万7,600円
増額報酬 2.21月分(6月に1.05月分、12月に1.16月分)
※月額報酬は免許取得後の経験年数に応じて設定します。増額報酬は年度により改定されることがあります。
通勤手当 月5万5,000円以内
社会保険 健康保険(広島市職員健康保険組合)・年金保険(厚生年金)に加入
労働保険 労働者災害保険と雇用保険に加入
健康管理 定期健康診断・結核検診・B型肝炎検診など
医師賠償
責任保険 任意加入
宿舎 無
勤務時間 1日6時間 週30時間
小児科:8:30~15:15、17:00~23:00
小児外科:8:30~15:15
休暇 年次有給休暇 20日(4月採用の場合)
特別休暇 夏期休暇(5日)・結婚休暇(5日)・忌引・産前産後休暇など
時間外勤務 1日の勤務が6時間を超えた場合、時間外勤務手当を支給
選考方法 見学実習・小論文・健康診断・面接
専攻日時 随時 (場所:広島市立舟入病院)
提出書類 1 履歴書(写真添付)2 医師免許証の写し
舟入病院勤務の後期研修医の小児科の先生方、ちゃんと
時間外勤務の手当
を支払って貰ってますか?
で、deathよ、
舟入病院小児科は365日24時間診療体制
なのである。
まずはこの
外来診察担当医表
を見ていただきたい。
注目すべきは、曜日の記入のない二つの欄に
24時間診察
と書かれていることだ。最初は何かの間違いかと思った。
病院の別なページを見ると、それが間違いでないことが分かった、
診療受付時間夜間救急診療
・小児科
受付時間 毎日 午後5時30分から翌日午前8時30分まで昼間救急診療
(土曜日、日曜日、祝休日、8月6日、12月29日及び12月30日の小児科のみ)
受付時間 午前8時30分から午後5時30分まで。 (小児科のみです。ご注意ください。)
年末年始救急診療
・内科・小児科
受付時間 12月31日午前9時から1月4日午前8時30分まで
いくら10人で回していたとしても、昼の外来もあり、入院患者もいる病院で、
365日24時間診療受付
はムリだろう。朝日の記事の
「疲れた。体力が持たない」
というのは、過重勤務に疲弊し、心の底から沸き上がった先生方の悲鳴である。
舟入病院小児科救急の惨状は、以前から問題になっていたようだ。一昨年の報告だが、広島市のサイトより。
安佐市民病院における小児救急医療の拡充についての検討 平成18年度(2006年度)達成状況【現状と課題】
小児の救急医療は舟入病院で24時間365日実施していますが、患者が集中していること、また、広島市北部からは来院に不便であることから、広島市北部の小児医療拠点として安佐市民病院の小児救急医療体制の充実が求められてきました。
このため、安佐市民病院では、平成15年(2003年)8月から日曜日の準夜帯(18時~23時)に小児救急医療を開始しましたが、現在では、土曜日や祝日への拡充が求められています。
ところが、安佐市民病院では去年6月から、夜間救急を一部休止している。
安佐市民病院における小児科夜間救急診療の一部休止について(お知らせ)安佐市民病院では、これまで土曜日、日曜日及び祝日に小児科夜間救急診療を実施していましたが、平成20年6月からは、土曜日及び祝日の診療を休止し、日曜日のみの診療とします。
【6月からの小児科夜間救急診療】
日曜日:18時から22時(受付時間)まで
現在、安佐市民病院は4人体制。
安佐市民病院が小児救急を取れない時間帯に、舟入病院小児救急で何が起こっているかは、容易に想像が付く。
広島市の乳幼児医療費助成は学齢までで、所得制限がある。
もう一つ、名前の挙がっている呉共済病院は、4人の小児科担当の先生の内、広大出身者は、部長は確定。残る2人の先生はサイトでは出身大学は不明。この内1人抜けるが、ここには広大出身の女医さんはいないから、産休入りする先生はなし。
3人の男性の先生は月〜金まで外来に出ずっぱり、1人の女医さんだって1日を除いて、4日間外来に出ている。かなりしんどい勤務体系である。
その上
夜間救急輪番
が当たっているわけで、昼も夜もの診療体制を4人で維持してきたことの方がびっくりだ。
呉市の救急体制では
呉共済の小児科は二次救急を輪番で担当(中国労災病院・国立病院機構呉医療センター病院との3病院で輪番制)
している。この分だと、1人抜ける前から
かなりの過重勤務
であったことは間違いない。ちなみに19日付中国新聞によると、
小児科医退職で体制見直しへ '09/2/19呉共済病院(呉市)の小児科医師4人のうち1人が3月末で退職することが分かった。今後もう1人も退職の可能性があり、市医師会などは今月中に市内の小児医療体制について実務者会議を開き、夜間救急などへの対応を話し合う。
市地域保健対策協議会の地域医療検討専門部会が17日夜あり、呉共済病院が説明した。
4月以降の入院、診療業務の具体的な内容は未定で、医師の補充も見込めないため当面、残る医師で対応するしかない状況。市内の公的3病院(共済病院、国立病院機構呉医療センター、中国労災病院)で行っている夜間救急輪番制については共済病院から「検討し直してほしい」と要請があったという。
ぐえ〜。
2人では夜間救急輪番維持どころか外来の受診制限も出てくる
ではないか。朝日が
広大出身者を取材
していて、
1人辞める
と言っているところを見ると
もう1人お辞めになる先生は広大出身じゃない先生
なのか?
呉市の小児医療助成制度では
学齢までは通院・入院に補助、小学生は入院のみ補助で所得制限あり
になっている。
広島大学医学部小児科教室の派遣先病院って、
365日24時間闘える医師
を要求する相当しんどい勤務状況のようで、これでは、大量脱局者が出るのもムリはないだろう。
眼科医になる
という先生が、ちょっと悲しいですね。広島辺りだと、まだ眼科医は飽和状態にはなってない、ってことでしょうかね。
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コメント
以前なら、
「大変なことになる!政府は緊急に対策を練るべし!」
なんて思っていましたが、今となっては、
「さっさと崩壊したら?」
という感情しかありません。
本当に「もうどうにでもな~れ(AA略)」という心境です。
マスゴミも医師を奴隷か何かと勘違いしており、「計画的な配置を」だそうです。俺たちはミサイルかっての。アホか!!!
投稿: 暇人28号 | 2009-02-20 23:50