近鉄大阪線の脱線事故は復旧の見込みたたず 近畿では名阪特急や伊勢志摩方面への足が麻痺状態→明日から「まわりゃんせ」の利用期間開始だったが、復旧しないのでは使えないし
近鉄沿線に住んでいるので
青山町行き
という表示の電車は見掛けることがあるが、三重方面や名古屋方面など遠方へ行くときは、たいてい特急に乗るので、青山町がどの辺りかはよくわかっていなかった。
今朝のこと、
近鉄大阪線東青山町で脱線事故
というニュースが流れた。
朝日より。
近鉄大阪線、東青山駅近くで脱線 復旧めど立たず2009年2月27日
脱線した近鉄の普通列車。運転席のガラスが割れている=27日午前8時36分、津市白山町上ノ村、斉藤佑介撮影
27日午前5時35分ごろ、津市白山町の近鉄大阪線東青山駅付近で、名張発伊勢中川行きの始発の普通列車(2両編成)が線路脇の鉄柱に衝突し、脱線した。近鉄や三重県警によると、本来は空間がある、小型の保守作業用車が走る側線と本線との間が接続された状態になっており、列車が側線に入り込み、車両が2両とも側線右側に約1メートルずれて完全に脱線した。先頭の車両は側線脇の鉄柱に衝突、右側に大きく傾いた状態で止まった。運転席のガラスが割れたが、乗客9人と乗員2人にけがはなく、約300メートル離れた東青山駅まで歩いたという。
近鉄によると、27日未明に現場付近では架線の保守作業をしていた。作業後も、側線と本線との空間を埋める「移線横取装置」を設置したままにしていたという。現場付近には側線への進入を示す信号などはなかった。
この事故で、午前11時現在、大阪線は伊勢中川(三重県松阪市)—青山町(同県伊賀市)間で上下線とも運転を見合わせ、代行バスを走らせている。復旧のめどは立っておらず、上下約70本が運休、約1万2千人に影響が出ている。
国土交通省は鉄道事故調査官2人を現地に派遣した。
現場は山あいで、近くに住む主婦(46)は「ガッシャーンと大きな音が響いて驚いた」と話した。
一方、途中駅で足止めされる通勤、通学客も出た。
近鉄津駅(津市)では大阪方面への行き方を問い合わせる人が相次いだ。大学職員の男性(33)は近鉄難波駅(大阪市)経由で新幹線で岡山まで行く予定だったが、まず名古屋駅に向かうことにした。「今日から研修で、本当なら午前10時に難波につくはずだったのに」と話した。
名張駅(同県名張市)で名古屋に向かう予定という男性会社員(40)は「乗ろうと思っていた特急がなくて途方に暮れている。バスで行こうか、車で行こうか迷っている」と話した。
◇
この事故で、大阪や京都から名古屋方面へ向かう電車に大きな影響が出た。近鉄によると、近鉄難波と近鉄名古屋を結ぶ名阪特急は始発からほとんどが運休。大阪から伊勢・志摩方面へ向かう特急は名張駅まで、京都—賢島(かしこじま)(三重県志摩市)間の特急は京都—橿原神宮前までの折り返し運転となった。近鉄秘書広報部は「なるべく早く現場作業を終え、明日以降は運転したい」としている。
近鉄難波駅では、夫婦で賢島まで1泊旅行に向かう途中の大阪府羽曳野市の男性(68)が「2時に着く予定だったが、事故の影響で途中でバスに乗り換えねばならず、到着は夕方になりそうだ」と弱り顔。妻が入院している津市へ向かうという同府阪南市の男性(68)は「もっと早くわかっていたら、車で向かっていたのに。何時に着くのかわからない」と困惑した様子だった。
東青山町駅というのは、
近鉄大阪線路線図
特急が止まることがある山の中の温泉「榊原温泉口」の1つ大阪寄りの駅で、名張から名古屋へ行くにも、伊勢志摩方面に行くにも、必ず通る経路になる。三重のヒトの話では
大阪から電車で簡単に行ける温泉の一つが榊原温泉
だそうで、特急が止まるのは、大阪からの温泉客のためだ。
伊勢中川駅は、近鉄の重要な中継駅の一つで、
名古屋方面
大阪方面
京都・奈良方面(奈良は西大寺で奈良線乗り換え)
伊勢志摩方面
とそれぞれの方面へ繋ぐ役割がある。大阪と名古屋を直通で繋ぐ
名阪ノンストップ特急
は、伊勢中川を経由せず、川合高岡駅から直接名古屋線に入る。どっちにしても
近畿地方の各駅から伊勢中川に行き着く前の駅での脱線事故
だ。
したがって
大阪・京都発伊勢志摩方面行き電車は全滅
大阪発名古屋方面行き電車は全滅
名古屋発近畿方面行き電車は全滅
伊勢鳥羽方面から近畿方面行き電車は全滅
という、非常に困った事態になった。
近鉄からのアナウンスはこちら。
【大阪線】列車脱線による運転状況について
15:20現在で、復旧の見込みは立っておらず、
・名阪ノンストップ特急は運休
・大阪から名古屋、伊勢方面行の特急は名張駅で折返し運転、その他は青山町行きに
・京都から賢島行の特急は橿原神宮前行に変更
・名古屋から伊勢方面行の列車は運転、ただし山田線(伊勢中川〜宇治山田間)で遅れや一部運休あり
で、
・青山町~伊勢中川間でバス代行輸送を実施
しているとのこと。
てことは、近畿方面からの場合、
・特急で名張まで行って、急行などに乗り換えて青山町まで行き、代行輸送のバスに乗って伊勢中川に着いたら、また近鉄各線に乗り換える
という、極めて迂遠な話になる。東青山町は榊原温泉口の一つ前なので
山の中
にある駅である。ここから伊勢中川まで出るのに一体どのくらい時間が掛かるのだろう。かなり大変そうだ。
三重県内への移動は、近鉄がないと極めて不便なので、影響は大きい。
早期に復旧するといいのだが、近鉄は事故からの復旧があまり早くない印象がある。
一番痛いのは
期末の多忙な時期に、名阪特急が使えない
って辺りだろうな。伊勢志摩方面行きの特急はどちらかというと
レジャー用
で、平日は閑散としているが、
名阪特急のアーバンライナー
はビジネス客で比較的混んでいる印象がある。一番困っているのは、近鉄名古屋線の伊勢中川〜名古屋間で、今日大阪方面に行こうと考えてたヒトだろう。名古屋に一旦出て、新幹線を使うことになるんだろうなあ。
で、今夜とか明日に
伊勢志摩に遊びに行こう
と思ってた人たちが大打撃。近鉄が通ってないと、近畿からは気軽には行けないし、時間が掛かりすぎて、行く意味がなくなる。たぶん、今頃、一部団体旅行などのキャンセルが出ていると思われる。旅行に行けなくなったヒトも、観光客からキャンセルされたホテルなども、どっちにとっても悲しい話だ。
近鉄では、伊勢志摩の観光に便利な3日間有効の特急券と周遊券などがセットになった
伊勢・鳥羽・志摩スーパーパスポート まわりゃんせ
は、明日2/28から利用可能だったんだけど、復旧しないんじゃ払い戻しが出そう。
おまけ。
今回脱線の原因となった「横取装置」が使用されている動画。HO_TECさん撮影。
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コメント
阪神なんば線開業(3月20日)まで一ヶ月を切ったこの時期にこの事故は、近鉄の印象を悪くしてしまってとても痛いでしょうね。
伊勢志摩への観光業は近鉄の収入源としてとにかくなんとか維持しなければならない位置づけだとかつて耳にしたことがあります。阪神なんば線開業も近鉄側としては関西→伊勢志摩への観光誘致を一番の念頭に置いていたんだろうになぁ。
投稿: お弟子 | 2009-02-27 23:34
詳しい事故内容等をお知らせ頂きありがとうございました。事故を知り、びっくりしてます。何よりケガ人等がでなくて本当に良かったです。三重県内の移動は近鉄が欠かせないですから、早期復旧と事故発生原因と今後の対策を願います。事故により計画を変更せざるようになった皆様は大変だったと思います。近鉄電車好きの一人としてお詫びします。
投稿: 夏見 | 2009-02-28 02:22
詳しい記事をのせていただき、ありがとうございます。もう30年ほど前ですが、近鉄をよく利用してました。引越し後は、あまり乗る機会もなくなりましたが、たまに乗ると懐かしさを感じますし、それだけに今回の事故は、たいへん残念に思います。
あと、一つお願いですが、通常日本の鉄道車両は、運転席は左側なんです。記事と写真をみますと、どうやら間違った記述になっているようなので、お知らせ致します。
投稿: 小椋 | 2009-02-28 02:54