発足したばかりの東京都「スーパー総合周産期センター」の1つを担う日赤医療センターにも渋谷労基から是正勧告
昨日、ロハス・メディカルがつかんでいた情報の裏が取れた模様。
xyz先生にご教示頂いた。どうもありがとうございます。
(速報)日赤医療センターにも是正勧告(2009年3月26日 13:21)
東京都渋谷区の日赤医療センター(幕内雅敏院長)が、渋谷労働基準監督署から、36協定を締結していないことなどを理由に、労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが分かった。同センターは、心臓病など緊急の救命処置が必要な妊婦を必ず受け入れることを目的に、東京都から指定を受けた3つの「スーパー総合周産期センター」の1つで、今月25日から稼働が始まったところだ。愛育病院が是正勧告を受けたことに続き、全国的にも注目を集めている「スーパーセンター」にも同様の指摘が入ったことで、都の周産期医療体制の維持を危ぶむ声も上がっている。(熊田梨恵)
同センターは今月13日、36協定を締結していなかったことや職員の休憩時間が短かったこと、昨年10月に研修医の宿直業務について時間外労働時間に対する割増賃金を払っていなかったことの3点について労基署から指摘を受けており、改善を求められていた。同センターはこの指摘について、36協定については職員代表と既に合意できているとして4月中に締結し、休憩時間についても就業規則を改定して対応するとしている。また、研修医の時間外労働時間の割増賃金については4月の給料日に振込みを予定しているという。労基署への改善報告の期日は特に指定されていないが、病院側の対応が整い次第順次報告し、4月半ばには対応を終えるとしている。
今回の是正勧告については、「『スーパー総合』が始まるのに、労基法を遵守できるような体制が取れるのか」と危惧を示す病院関係者もいるものの、同センターの竹下修管理局長は、「今回の勧告についてはすべて対応できる。(同センターに)医師が多過ぎるということはないが、潤沢に働いていただいていると思うので、『スーパー総合周産期センター』としてやっていくことに、今回の件が影響するとは思わない」と話している。同院の産科医は研修医を含めて24人。
「スーパー総合周産期センター」は、国内で相次いだ妊婦の救急受け入れ不能問題の解消を図るために東京都が今月25日から始めたシステム。脳や心臓に重篤な疾患があるなど緊急の救命処置が必要な妊婦に限定して、指定を受けた3つの総合周産期母子医療センターが輪番を敷き、24時間体制で受け入れる。地域の周産期医療ネットワークでの受け入れが難しい場合、かかりつけ医などが東京消防庁を通じて受け入れを要請する仕組みだ。同センターのほか、昭和大病院(品川区)、日大医学部附属板橋病院(板橋区)が指定を受けており、全国の医療関係者から注目を集めている。
稼動初日となった25日は、日赤医療センターが午前9時から翌朝9時までを受け持った。「スーパー総合周産期センター」の受け入れに該当する搬送ケースはなかったという。日赤医療センターは、総合周産期母子医療センターの指定を受けており、年間分娩件数は約2500件。総病床数は733床で、このうち新生児集中治療管理室(NICU)は12床、母体・胎児集中治療室(MFICU)は6床。
というわけで
日赤医療センターにも渋谷労基が是正勧告
ですか。
・36協定(労働基準法36条に基づく時間外労働に関する労使協定)を結ばずに残業
・休憩時間が短い(労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与える)
・宿直した研修医の時間外労働時間に対する割増賃金をバックレ
と、労基法違反を突っつかれている。てか
・8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩
って、本当に休憩を取ることが出来る医療スタッフって、どのくらいいるんだろう。あまりにも労基法違反が常態化していて、その辺りは麻痺している病院が多いように思う。
日赤医療センターは
大丈夫、3つともクリアできる
と自信満々ですな。(15:56)
続き。(17:59)
Med_Law先生から貴重なコメントを頂いたので再掲する。
日本赤十字医療センターは、事の重大さが分かっていないようです。宿直許可がないから、3交代で残業なしで回さないといけないのは、産科だけでなく、全ての科、全ての医療業種になります。
内科、外科、整形、麻酔、小児科、、、全てです。
医師、看護師、放射線検査技師、臨床検査技師、薬剤師、臨床工学士、事務、、、全てです。36協定がありませんので、残業命令を出すことも違法であれば、残業しないといけない状況で結果的に働いてしまった場合にも刑罰を受けます。
つまり、病院としての機能の殆どを見直す必要が出てきます。
是正勧告は拘束力を持たない行政指導に過ぎませんが、第三者からの告発状、内部からの告訴状があれば、刑事罰を受けることになるでしょうし、違法状態が続く限りは、行政罰も続くことでしょう。
第一、独立採算制である日赤病院が継続可能かどうかの問題も出てくることでしょう。
Med_Law先生、懇切丁寧なご教示ありがとうございます。
ほんと、日赤医療センターは、どこへ行きたいんでしょうね。
日赤医療センターは何も考えてない
ように見えますね。ひょっとして
竹槍でB29が落とせる
と今でも信じているとか? この場合B29は労基ですが。
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コメント
日本赤十字医療センターは、事の重大さが分かっていないようです。
宿直許可がないから、3交代で残業なしで回さないといけないのは、産科だけでなく、全ての科、全ての医療業種になります。
内科、外科、整形、麻酔、小児科、、、全てです。
医師、看護師、放射線検査技師、臨床検査技師、薬剤師、臨床工学士、事務、、、全てです。
36協定がありませんので、残業命令を出すことも違法であれば、残業しないといけない状況で結果的に働いてしまった場合にも刑罰を受けます。
つまり、病院としての機能の殆どを見直す必要が出てきます。
是正勧告は拘束力を持たない行政指導に過ぎませんが、第三者からの告発状、内部からの告訴状があれば、刑事罰を受けることになるでしょうし、違法状態が続く限りは、行政罰も続くことでしょう。
第一、独立採算制である日赤病院が継続可能かどうかの問題も出てくることでしょう。
投稿: Med_Law | 2009-03-26 17:50
きゃーっ(>▽<)!!!
孤高の戦士、Med_Law先生のコメント挙げてくださってありがとうございます。
この愛育、日赤医療センターの是正勧告の裏には、実は『都立病院』の違法労働が騒がれてしまったという裏があると言われています。
墨東の宿日直許可書が公開されたのが大きいのではないかと。
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/12/post-0f48.html
つまりかなり違法な状態の都立病院の労働状況に、本当は査察を入れたいのだが、(完全に違法状態です。舛添大臣の指摘どおり。)それでは全面的な『東京都』との全面戦争になってしまう。それで、『東京都』運営ではないけれど、『東京都』指定の、しかもスーパー周産期となっている日赤医療センター含めて、是正勧告を出した。
しかも私立の愛育には期日つき、日赤医療センターには期日のつかない(そもそも違法状態だけれども、この二つは総合周産期センターの中でも医師数が多いのでなんとかフォローできる所だとふんで)是正勧告を出した。(結構、老獪ですよね。)
『東京都』は困ってきっと頭を下げてくるだろう。
その時に東京都の都立病院についても内々に話はあるでしょう。
是正勧告を出した病院には比較的(本当に比較的)医師数はある程度あり、勧告をお金で解決できる可能性がなくはないから。
日赤医療センターには今は産婦人科の専門医が10人程度いるはずです。その下もいるでしょう。しかし子持ちの女医さんが春から4-5人と、当直しない部長先生がいらっしゃると聞いています。愛育よりもむしろ日赤の方が大変な状態だと聞いています。
そもそも産婦人科だけの話ではなく、他の科の当直さえ、まともではありませんし、時間外手当については勧告の示す通り、かなり値切って(あるいはまったく)出していない状態であったと又聞きではありますが聞いております。
まぁとにかく、今回は手打ちになるかもしれませんが、同時期に勧告を出した所から見て、今回の厚労省は東京都周産期が瓦解することも覚悟の上で、スーパー周産期に水を指した状態ではないかと思っております。
投稿: 僻地の産科医 | 2009-03-26 21:07
違法状態を解消できるかと、改善への努力をしているかと、雇用者の法的責任はそれぞれ別の問題なんですけどねぇ。
時代を経るごとに(症例が積み重なった結果?)労基署の病院への勧告することがハードル低くなってきたみたいですが、刑事問題にするにはまだまだハードルは高いんでしょうか?
7年も前の(小泉)内閣総理大臣の国会答弁にこんなのあります。
「労働基準法又は最低賃金法に違反している事実が認められた場合には使用者に対し是正のための指導を行うほか、悪質な事案については刑事事件として取り扱うことも含め、厳正に対処していく」
質問 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/154/syuh/s154001.htm
答弁 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/154/touh/t154001.htm
投稿: お弟子 | 2009-03-26 22:39
「病院が職員を宿日直業務に従事させる場合には、「断続的な宿直又は日直許可申請書」を労基署に提出しなければならない。日赤医療センターの場合は未提出だ。「申請書を提出しようとしたが、労基署は宿直等ではなく、通常業務の延長であるとされ、受け取ってもらえなかった」(竹下氏)。」
(M3 橋本氏の取材による)
http://www.m3.com/iryoIshin/article/94681/?pageFrom=m3.com
日赤医療センターに「宿直許可」がないことが、M3の取材によって明らかになりました。
日赤医療センター管理局長の竹下修氏の発言ですから、これは真実と見て良いでしょう。
これで、日赤医療センターは逃げも隠れもできず、研修医一人だけでなく、当直していた医師全員に当直による拘束時間全てについて時間外賃金を支払わないといけないだけでなく、当直命令が出せなくなりました。
36協定があっても、長時間の連続勤務は協定の主旨に反しており、使用者が勝手に命令できる類のものではありません。
日赤医療センターは、労務管理の酷さを反省し、出なおした方が宜しい
投稿: Med_Law | 2009-04-03 01:13