記者クラブ制度の腐臭「自民党に捜査が及ばない」と口を滑らせた「政府高官」=「漆間巌内閣副官房長官」オフレコの記者懇談会が出所なので名前が出せないだけなんだけど
まずは、新聞協会が1996年に出した
オフレコ取材に関する見解
の全文。
オフレコ問題に関する日本新聞協会編集委員会の見解1996(平成8)年2月14日
日本新聞協会編集委員会は、昨年、オフレコ取材内容が外部のメディアなどに流れ、問題となったことから、オフレコ取材のあり方を再検討し、同問題に対する見解をまとめ、その基本原則を確認した。
オフレコ問題に関する日本新聞協会編集委員会の見解
最近、閣僚や政府高官などの取材をめぐり、いわゆるオフレコの扱いが相次いで問題となり、とくに昨年末、江藤元総務庁長官のオフレコ発言の一部が外部の他メディアなどに漏らされたことは、取材記者の倫理的見地から極めて遺憾である。オフレコ(オフ・ザ・レコード)は、ニュースソース(取材源)側と取材記者側が相互に確認し、納得したうえで、外部に漏らさないことなど、一定の条件のもとに情報の提供を受ける取材方法で、取材源を相手の承諾なしに明らかにしない「取材源の秘匿」、取材上知り得た秘密を保持する「記者の証言拒絶権」と同次元のものであり、その約束には破られてはならない道義的責任がある。
新聞・報道機関の取材活動は、もとより国民・読者の知る権利にこたえることを使命としている。オフレコ取材は、真実や事実の深層、実態に迫り、その背景を正確に把握するための有効な手法で、結果として国民の知る権利にこたえうる重要な手段である。ただし、これは乱用されてはならず、ニュースソース側に不当な選択権を与え、国民の知る権利を制約・制限する結果を招く安易なオフレコ取材は厳に慎むべきである。
日本新聞協会編集委員会は、今回の事態を重く受けとめ、右記のオフレコ取材の基本原則を再確認するとともに、国民の知る権利にこたえるため、今後とも取材・報道の一層の充実に力を注ぐことを申し合わせる。
ということで、今回の
西松建設問題は自民党には捜査が及ばない
と口を滑らせたのは
内閣記者会での「オフレコ懇談(略称 オフ懇)」がニュースソース
なので
取材源を秘匿するために政府高官・政府筋などと報道
されているわけだ。
これについて、朝日がこんな言い訳をしている。見出しにご注目。
民主、漆間氏とみて追及へ 「自民立件ない」発言の高官西松建設の違法献金事件で「自民党側は立件できない」と発言した政府高官は6日夜、改めて記者団の取材に応じ、「一般論として、違法性の認識の立証がいかに難しいかという話をした。『自民党側に捜査が及ばない』とは言っていない」と発言を否定した。一方、民主党はこの政府高官を元警察庁長官で官僚トップの漆間(うるま)巌官房副長官とみて、週明けの国会で追及する。
政府高官は記者団に「記者の皆さんのとらえ方で、私の本意ではない」と釈明。「捜査は検察が決めることで、私は情報が入る立場ではない」と捜査情報を踏まえた発言でないことも強調した。朝日新聞はこの高官に身分を公表するよう求めたが拒まれた。
この問題で民主党は、9日の参院予算委員会に政府参考人として漆間氏の出席を要求し、発言の主であるかどうかを直接ただす構え。だが、政府は応じない方針だ。
また新党大地の鈴木宗男代表は6日夜のBS放送の番組で、「漆間氏が『自民党に発展しない』と言うことがおかしい。権力側が裏でつるんでやってるという話になる」と実名を挙げて批判した。漆間氏は警察庁長官を経て、麻生内閣発足の08年9月に中央省庁を束ねる事務担当の官房副長官に就任した。
政府高官の発言が出たのは定期的に開かれる記者団との懇談。メモをとらないオフレコ扱いで、政策などの真意や背景を聞く場だ。記者はニュース性があると判断した発言は、「政府高官」を主語にして報じる。
内閣記者会で
政府高官=官房副長官
というのは、報道の文法で、麻生内閣の官房副長官は
内閣官房副長官 松本 純 (まつもと じゅん) 衆院
内閣官房副長官 鴻池 祥肇 (こうのいけ よしただ) 参院
内閣官房副長官 漆間 巌 (うるま いわお)
と3人いるが、誰がどう考えても
元警察庁長官の漆間巌内閣官房副長官がネタもと
と考えるだろうね。
こないだの
中川昭一前財務・金融担当大臣疑惑の会見
でも、
記者クラブが「中川昭一前財務・金融担当大臣の体調不良を見過ごした」可能性が高い
上に、「体調不良を引き起こした原因の一つとなった記者との懇談の場」が
「オフ懇だから、知ってるクセに、ちゃんとした情報を流さなかった」疑い
が強かった。
今回も
オフレコ破りで「記者クラブから追い出されると情報を取れなくなるので困る」
とばかりに
政府高官・政府筋
と、どの大手新聞もテレビも、報道側は名前を出さずに、ニュースソースを誤魔化しているのは、
記者クラブ制度の腐臭
に塗れすぎていて、自分たちがどれだけヤバくなっているか、気がつかないだけだ。
今回の発言は
「国策捜査」という疑いを、漆間巌内閣副官房長官自身が裏書きする発言
だったわけで、新聞協会が96年に出した
ニュースソース側に不当な選択権を与え、国民の知る権利を制約・制限する結果を招く安易なオフレコ取材は厳に慎むべき
という見解は
見事な空文
だって話だ。
で、朝日の記事のように
鈴木宗男が言った
とか
民主党は「漆間巌内閣副官房長官と見て追及」
とか
自分たちが誰だか知ってるくせに、知らない振りを通そうとする
という
極めて卑劣な事態
がまかり通ってるわけ。
利権としての記者クラブ制度を守り抜く
ための
漆間巌内閣官房副長官という実名は絶対に出さない報道
だからな。
小沢一郎の建設利権がどうのこうのという報道
が堂堂と出来るような清廉潔白なメディアはどこにもないだろうよ。
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コメント
実際に氏だったのか、確証はないし本人も否定。
宗男も、自分が言ったんじゃない記者がそう言ったからと前言を翻しましたし、
発言もトリミングされた可能性もあります。
マスコミのオフレコ制度がどうこうより、マスコミ自身の捏造体質や、情報や報道に対する姿勢自体を考えるべきかなあと思いますが…
まあ、二階氏は元々小沢氏の「懐刀」でしたから、何が出てきても驚きませんが(笑)
民主党と違ってさっさと切った場合、自民のダメージは少なくなるかもしれませんね。
むしろ相手党首と差し違えなら本望?
小沢氏はこれから、旧自由党の政治資金隠匿疑惑や不動産疑惑、金丸から続く様々なルートなどのネタが出てくるかもと思うと、ワクテカが止まりませんね。
投稿: うーん | 2009-03-08 03:49
記者クラブ制度が腐臭を漂わせているのは事実としても、オフレコ発言をソースを伏せて報道する事は別に日本に特有の慣習じゃないようですが。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090311/stt0903111210006-n1.htm
それよりも自民を叩くために「取材源の秘匿」を事実上なし崩しにした朝日新聞がどうなの?と私は思いますね。
投稿: HG | 2009-03-11 16:38